【AJCC】データ上は混戦模様も 好成績の菊花賞組オーソクレース

門田光生

AJCCの斤量増減別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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長距離GⅠ組に注意

2022年1月23日に中山競馬場で行われる第63回アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)。このレースで思い出すのは、2015年に1番人気で7着に敗れたゴールドシップ。皐月賞と有馬記念を勝ち、ステイゴールド産駒らしい中山巧者ぶりを発揮していただけに、その敗戦には衝撃を受けたもの。

中山競馬場でよく施行される条件だと、芝1200m、芝1600m、芝2200mが外回りで行われる。京都ほどでなくても、やはり内回りと外回りは違うのだと再認識させられたレースであった。

それを示したデータのひとつが、AJCCにおける種牡馬成績(過去10年)。冬場の中山が苦手なディープインパクト産駒が【2-3-0-8】と好成績を挙げており、逆に得意のはずのステイゴールド産駒は【0-2-2-15】と勝ち星がない。

そういう傾向も頭に入れつつ、今回も2012年から2021年まで、過去10回の成績を参考にしてAJCCを検証していきたい。

AJCC出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆所属
先週に似たような条件のGⅡ戦が中京競馬場で行われたが、あちらはハンデ戦でコース形態も違う。この条件を求めて、今年も栗東勢がたくさん出走してくることが予想される。過去10年の成績はというと、東西5勝ずつで互角。

2着は美浦7回、栗東3回。連対数では美浦勢が上回っているが、勝率と連対率では栗東勢が優勢。所属別はそこまで気にしなくてもよさそう。

AJCC出走馬の年齢,ⒸSPAIA
AJCC出走馬の年齢(所属別),ⒸSPAIA


☆年齢
最も連対数が多いのは4歳馬(7連対)で、勝率がいいのは5歳馬。若い馬が強い傾向と出ているが、7、8歳からも連対馬は出ており、高齢馬にノーチャンスというわけでもない。これを東西別に分けると、面白い傾向が見えてくる。

まず栗東所属馬だが、4歳と5歳の成績が【4-2-2-9】となり、半分近くが馬券に絡んでいる。これが7歳以上になると【0-0-0-17】。7歳以上で馬券に絡んだのはすべて美浦所属馬だ。その美浦所属馬は、4歳馬から勝ち馬が出ていない(2着馬は4頭)。栗東は若馬、美浦は高齢馬が勝率が高い傾向にあるようだ。

AJCC出走馬の前走距離,ⒸSPAIA
AJCC出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆距離と前走クラス
前走で2300m以上の距離を走っていた馬が7勝、2着が3回。連対馬の半分が距離短縮組となる。距離延長組も3勝、2着7回で、残る半分はこの組。ということは、不振なのは今回と同じ2200mを使っていた組。合計12頭とサンプルは少ないものの、連対馬は1頭も出ていない。

前走クラスの方は、条件、オープンを使っていた組より重賞組の方が優勢。最多はGⅠ経由組の9連対で、3勝のGⅡが続く。前走GⅠ組では、AJCCより距離が長い有馬記念や菊花賞を使っていた馬が好成績を残している。

特に菊花賞組は該当馬8頭のうち、半分が馬券圏内と好成績。長期休養となる天皇賞(春)(2017年・タンタアレグリア)や、凱旋門賞(2019年・ブラストワンピース)組も結果を出していることから、休み明けにかかわらず長距離GⅠを使っていた馬には注意したい。

AJCCにおけるその他データ,ⒸSPAIA


☆その他
ほかに気になったデータ。このレースが年明け2戦目だった馬は28頭いて、連対したのは1頭だけ。また、前走から斤量が増えた25頭のうち、連対馬は1頭しかいない。このデータに該当する馬は割り引いてよさそうだ。

菊2着は実力の証

AJCCのデータをまとめに入ってみよう。まず好走パターンだが、A「ディープインパクト産駒」B「栗東所属の5歳以下」C「前走から距離短縮、特に長距離GⅠ組」。勝率が低くなってしまうのはD「栗東所属の7歳以上」E「前走が2200m」F「今年すでにレースを使っている」G「前走から斤量増」。

結論からいうと、今回はこれといった決め手を欠く馬ばかり。そこで、好データの中でもC「前走から距離短縮、特に長距離GⅠ組」に注目してみる。前走から距離を短縮して、なおかつ長距離GⅠを使っていたのはアサマノイタズラ(有馬記念)とオーソクレース(菊花賞)。ともに実績を残しているレースだが、【1-3-0-4】と、出走してきた半分が連対している菊花賞組のオーソクレースを本命視。

菊花賞連対馬に絞ると、2019年の2着馬フィエールマン(菊花賞1着)、そして2021年の勝ち馬アリストテレス(菊花賞2着)で、連対率が100%となる。「強い馬が勝つ」といわれる菊花賞で結果を残したのだから、その実力は本物ということだろう。また、菊花賞から連対した4頭はここ4年での話。菊花賞組が強いのは近年のトレンドにもなっている。

一方のアサマノイタズラだが、気になるのは前走から斤量が増えること。有馬記念組で好走した馬はすべて圏外からの巻き返し。16着という着順は気にしなくていいとしても、好走した馬はすべて斤量減か、斤量据え置き。有馬記念に限らず、前走から斤量が増える馬は【0-1-0-24】だから、データ的には推しづらい。

対抗評価は、唯一のディープ産駒であるポタジェ。冒頭で書いたように、ディープ産駒にとっては中山で行われるレースの中で比較的相性のいいレースとなっている。また、ポタジェはB「栗東所属の5歳以下」にも当てはまる。

アンティシペイトとダンビュライトも好走パターンの距離短縮組だが、前者は【0-0-1-7】と連対馬が出ていないアルゼンチン共和国杯組で、後者は【0-0-0-17】と1頭も馬券に絡んでいない栗東所属の7歳以上。ここはバサッと切りたい。

代わりに加えておきたいのがエヒト。サンタクロースS組は過去1頭だけ出走していて、それが2018年の1着馬ダンビュライト。そのダンビュライトもサンタクロースSを勝ち、弾みをつけての参戦だった。

あとは美浦所属の高齢馬の成績がいいということで、クレッシェンドラヴ(8歳)、ソッサスブレイ(8歳)、マイネルファンロン(7歳)に注目。このうち、クレッシェンドラヴとマイネルファンロンはAJCCで人気ほど走れていないステイゴールド産駒ということで、残ったソッサスブレイが押さえ。

◎オーソクレース
◯ポタジェ
▲エヒト
△ソッサスブレイ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
親子3人、初詣で引いたおみくじが「吉」「末吉」「凶」。それを象徴するように年明けの馬券は散々でしたが、これから上向くと信じて、この1年も謙虚に過ごしていきたいと思います。

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