【AJCC】1番人気安定もヒモ荒れ注意 ネヴァブションなどベテラン勢も強いAJCCの歴史

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メジロブライト、スペシャルウィークらも制した一戦
京成杯はオニャンコポンが勝利。父エイシンフラッシュの産駒としても、母父にヴィクトワールピサを持つ馬としても、重賞初制覇となった。
今週はアメリカジョッキークラブカップ(AJCC)。ヴィクトワールピサ産駒アサマノイタズラ、エピファネイア産駒オーソクレースら、勢いに乗る4歳勢が参戦を予定している。さらには昨年のJDD勝ち馬キャッスルトップ、ベテランのクレッシェンドラヴやダンビュライトなども顔を揃え、多彩なメンバー構成による熱戦が期待される。
古くはスピードシンボリやタケホープ、グリーングラスが勝利。平成に入ってからもメジロブライトやスペシャルウィーク、マツリダゴッホらが制している伝統の一戦。今回はAJCCの歴史を振り返る。
1番人気は安定感抜群

ここ5年で1番人気は2勝。他の3年も全て2着で、連対率は100%となっている。2021年は1番人気と3番人気の決着で馬連は11倍、2020年も1番人気と5番人気での決着で馬連は12倍と、馬連の配当は手堅いことが多い。
ただし1番人気が大崩れしていなくとも3敗しているため、単勝は決して手堅いものではない。2019年にシャケトラが制した際は単勝38.5倍、2017年にタンタアレグリアが制した際も単勝14.7倍となっている。その2年はどちらも7番人気→1番人気での決着だった。
7番人気馬は、他にも2016年3着馬ショウナンバッハや2015年2着馬ミトラなど、馬券圏内に食い込む活躍が少なくない。1番人気馬と一緒に注目したい。
ベテランになっても活躍を続けたネヴァブション
AJCCを語る上で欠かせないのが、ネヴァブション。1982、83年にアンバーシャダイが勝利して以降なかなか連覇する馬が出てこない中、ついに登場したのがこの馬だった。
ネヴァブションの重賞初制覇は4歳の日経賞。中山競馬場でマツリダゴッホを撃破し勢いに乗ったかと思いきや、その後は骨折などで満足にレースを使えない時期が続いてしまう。
2戦0勝で5歳シーズンを終えると、ネヴァブションは中山金杯→AJCC→日経賞というローテを踏む。6歳とベテランになりつつあったが、中山金杯5着からAJCCを制した。
そんなネヴァブションのAJCC初勝利は、エアシェイディやドリームジャーニー、アルナスライン、マイネルキッツといった強いメンバーを相手にしてのもの。特に2着エアシェイディは前年度覇者であり、前走では有馬記念3着と絶好調だったので、価値ある一勝だった。
AJCC制覇後の日経賞では7着に敗れたものの、ネヴァブション陣営は翌年もAJCC→日経賞のローテに挑戦。結果は1着→4着と上々で、アンバーシャダイ以来の連覇も達成した。
そしてなんとネヴァブションは翌年8歳シーズンでもAJCCに挑戦。そこでは惜しくも3着に敗れると、骨折により1年間の休養に。9歳で復帰すると、再び中山金杯→AJCC→日経賞のローテで新春競馬を盛り上げてくれた。
シャケトラ、タンタアレグリアに想いを馳せながら
上述したネヴァブションの父は、マーベラスサンデー。マーベラスサンデー産駒といえば、シルクフェイマスが同じくAJCCを制している。マーベラスサンデーの他にも、ルーラーシップ、ダンビュライトが親子制覇を達成するなど、勝ち馬たちの血統的な繋がりも少なくないレースである。
一方で、ここを制しながらも現役時代に命を落とし、自らの血をのこすことが出来なかった名馬もいる。1年以上の休養明けで制したシャケトラ、8ヶ月の休養明けで制したタンタアレグリア。この2頭はどちらも、その後の調教中の怪我により、予後不良となってしまった悲運の名馬である。
今年のAJCCにも4歳から8歳まで、様々な馬が集まった。どの馬も怪我なく走り切ることを、先週に引き続き応援したい。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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