【日経新春杯】今年も4歳世代から目を離せない! ヨーホーレイクとステラヴェローチェ、勝敗を分けたポイントとは

勝木淳

2022年日経新春杯のレース展開,ⒸSPAIA

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先に動いたステラヴェローチェ

有馬記念を勝ち、年度代表馬に輝いたエフフォーリアと同じ4歳世代が中心視された日経新春杯。最後の直線はクラシック三冠3、3、4着、有馬記念4着のステラヴェローチェと、皐月賞5着、日本ダービー7着のヨーホーレイクによる競り合い。勝利したのはヨーホーレイクだった。

レースは伏兵トップウイナーが先手を奪い、前半1000m通過1.00.2、緩めの平均ペース。どの馬にも不足なし、力差が正直に出る流れだった。ヨーホーレイクはスタートを決め、外目の中団後ろにつけた。昨春は同じ中京のきさらぎ賞2着でクラシック出走に必要な賞金を獲得したが、まだ緩さが残っていたのか、流れには乗らず、後方待機から直線一気で差を詰める競馬に徹していた。日本ダービーから7カ月半と長期休養したことで、成長とともに緩さが解消、このレースでは以前より流れに乗った競馬ができた。

一方のステラヴェローチェもこれまで後方に控え、末脚を活かす競馬をしてきたが、今回は先行集団の背後につけ、これまで以上に積極的な競馬を試みた。差して届かずを繰り返す現状を変更、勝ち切る競馬に徹した。陣営は有馬記念のあと中山金杯に登録し、周囲を驚かせた。これはハンデがどれほどになるのか試してみた意味合いが強い。念には念を入れた。舞台はダービー馬シャフリヤールを破った神戸新聞杯と同じ中京芝2200m。日経新春杯にかける意気込みは強かった。

まだまだ巻き返す余地はあり

結果は積極的な競馬をしたステラヴェローチェがヨーホーレイクの目標になった。後半1000mは12.2-11.8-11.4-11.8-11.9と3コーナー手前からスパートする流れ。ステラヴェローチェは包まれて進路を失うことを嫌い、早めに外に出して追撃態勢をとった。600~400m11.4で大外から追いあげ、脚を使った。この動きの背後を狙っていたヨーホーレイク。1、2着の差0.1はこの差と斤量2キロの差だった。

母クロウキャニオンはPOGでも人気のクラシック血統。カミノタサハラ、ベルキャニオン、牝馬ラベンダーヴァレイなどクラシック出走馬は多い。一方でクラシック後、古馬になって活躍する産駒が少なかった。だからこそ、ヨーホーレイクの復活は大きい。おそらく、ダービー後に目の外傷で7カ月半休養したことが大きかった。クラシックで消耗したダメージを引きずる馬は多い。それを長期休養で解消、成長を促すことができた。まだキャリア7戦。今後も活躍し、クロウキャニオンの牝系を代表する1頭になってほしい。

ステラヴェローチェは積極的な競馬を含め、打てる手をすべて打っての2着。近年多い善戦マンといった評価が早くもみられるが、昨秋には神戸新聞杯を勝った実力馬。日経新春杯で不振な有馬記念組、ハンデ57キロ、目標になる位置どり、最速ラップ区間での動きなど敗因は明確。まだまだ巻き返す余地はある。間隔を詰めて使った影響は心配だが、もっとスタミナを活かせるタフな流れでこその馬。今回の積極策は今後いい方向に出るはずだ。

3~5着の伏兵、今後の狙いどころは

3着は9番人気ヤシャマル。左回りの芝はこれで【4-2-3-5】のサウスポー。中京の日経新春杯らしい激走といえる。前走中日新聞杯はスローペースを後方追走、上がり最速34.4を繰り出すも、物理的に厳しかった。だが、最後は脚を使っており、復調傾向でここに挑んだ。今回は中団から早めのペースアップに対応、動いて最後まで粘った。ハンデ差もあるが、引き続き左回りで期待したい。

最後に13番人気4着エフェクトオン。後方待機策から前が苦しくなっての追い込みではあるが、直線はかなり狭いスペースを抜けてきた。重賞は新潟記念0.5差8着、福島記念で5着。地味ながら力をつけた。小回りを追い込んで勝つなど意外性のあるタイプで、今後も複穴として面白い。また12番人気5着アフリカンゴールドは前崩れの流れを考えると、4角2番手からよく粘った。中日新聞杯2着に続き先行策での好走は、またいつか結果につながる。

2022年日経新春杯のレース展開図,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。




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