【シンザン記念】アーモンドアイに似た「新馬差し損ね」を狙う 京大競馬研の本命は穴馬デルマグレムリン

京都大学競馬研究会

シンザン記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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新馬戦からの直行はマイナス

1月9日(日)に中京競馬場でシンザン記念(GⅢ)が行われる。名門・藤沢和雄厩舎がラストイヤーに良血ラスールを送り込んだ他、レッドベルアームやウナギノボリなど重賞で戦ってきた馬も多数参戦した。

初年度から好調のキタサンブラック産駒でルメール騎手に「新しいグランアレグリア」と絶賛されたラスールであるが、評判に違わぬ活躍を見せることができるのか、あるいは他の穴馬の台頭があるのか、今回は出走馬のキャリアと騎手に注目しながら調べた。


過去10年シンザン記念キャリア別成績,ⒸSPAIA


過去10年間のシンザン記念出走馬のキャリア別成績を調べた。勝ち馬を最も輩出しているのがキャリア2戦組で【4-2-3-18】、複勝率33.3%。その経歴も様々で、ジェンティルドンナやアーモンドアイのように新馬戦で差し損ねて未勝利戦を1倍台で勝った馬や、サンクテュエールのような新馬を勝って前走重賞で2着だった馬もいた。ただし内容が充実している分、人気も集めるため複勝回収率は78%と並の数値に落ち着いている。

推したいのはキャリア4、5戦組で、キャリア4戦組が【2-1-2-16】の複勝率23.8%、5戦組が【2-2-3-17】の複勝率29.2%と、2戦組ほどではないがかなり走る。一方で1戦1勝組は【1-2-0-12】と好走例が多くない。2020年1番人気7着のルーツドールのように血統だけで過剰人気になることもあるため、良血の肩書きに甘えることなく能力を見極めて判断すべきだ。


中京でも鬼の走り川田将雅、複勝率ベースなら優秀な池添謙一、武豊

過去5年中京芝1600m騎手別成績,ⒸSPAIA


次に過去5年の中京芝1600m戦における騎手別成績を調べた。今回騎乗する騎手の中で勝ち数がダントツなのが川田将雅騎手で、【17-12-6-31】の複勝率53.0%。これだけ見ればとりあえず買いで問題ないのだが、回収率は単複ともに75%止まりで妙味は全くない。今年はレッドベルアームに騎乗する。

川田騎手に次いで複勝率が高いのは池添謙一騎手【4-2-3-13】、武豊騎手【3-10-10-31】となっている。両者ともに複勝回収率も優秀で、昨年のエルフィンSで大穴をあけた(12番人気2着スンリ)池添騎手が243%、普段から堅実な武豊騎手が108%。穴で狙ってみるならこの2名になるだろうか。池添騎手はショウナンアメリアに、武豊騎手はデルマグレムリンに騎乗する。どちらも人気薄が想定され面白そうだ。

穴馬の単勝という面で期待したいのが岩田康誠騎手で【4-4-4-23】、昨年京都金杯をケイデンスコールで勝つなど単勝回収率は242%あり、こちらも狙い目。展開を握りそうなビーアストニッシドに乗るため、逃げ切りを考える必要もありそうだ。

毎回人気するルメール騎手は【4-0-1-15】。差し脚届かず4、5着という例が非常に多く、昨年の同レースでは1番人気のククナで4着だった。全幅の信頼は置きづらい。ラスールにとっては不安なデータだ。短期免許で来ているCデムーロ騎手は【1-1-1-2】。技量の高さ、馬質の良さから大幅に崩れることはなく、十分買える騎手となっている。ソリタリオとのコンビで帰国前にもう一つタイトルを取りたいところだ。


今年は大穴から攻めたい

◎デルマグレムリン
新馬戦は後方から進んで6着止まり。しかし超スローペースで先行有利の絶対に届かない展開の中で、勝ち馬と0.4秒差まで詰めたのは能力の現れ。未勝利戦は外から豪快に差して勝利。馬場有利はあったものの思い返せば当然の勝利とも言える。フロックと見られたか全く人気がない想定だが、末脚自体は重賞でも通用するものがあるため、中京で好成績を残す武豊騎手とのコンビで一発狙いたい。新馬差し損ね、未勝利戦1着のキャリアは先述のジェンティルドンナやアーモンドアイと似ており、ここで好走するようなら2度とこのオッズでは買えないだろう。

◯ソリタリオ
最初2戦はつまずいたが、その後は2連勝でウナギノボリを下すなどこちらも重賞級。東京新潟中京と左回りしか経験しておらず、いかにもNHKマイルCを狙ったレースの選び方で、ここも左回りを狙っての出走と考えられる。好走例多いキャリア4戦馬なのもプラス。先行早め抜けだしの戦法上崩れはしないが、負けた2戦は後方から差されて敗北。末脚で上回る相手にまた勝ち損ねてもおかしくない。

▲レッドベルアーム
東スポ杯5着。ほぼ同じ位置からの競馬をしたアサヒと比較すると物足りなさを感じるが、中京巧者の川田騎手を配し、前走よりレースレベルが多少落ちる。距離短縮さえこなせば巻き返せるだけの素質はある。

△ビーアストニッシド
京都2歳S2着からの参戦。展開のカギを握る馬で、前走も前有利を活かした逃げ残りではあったが、3着に下したフィデルがホープフルSで4着になり、レースレベルが保証された。持ち時計は平凡だが同型が多くないため、展開有利を作れたら馬券内は十分ある。

×カワキタレブリー
デイリー杯3着。最内をついて何とか3着に食い込んだため頭はどうかも、成績上位の松山弘平騎手にキャリア5戦馬でデータ上は走る。前走同様の展開なら。

×ラスール
新馬戦は中だるみの展開から上がりだけの勝負。末脚自体は一枚上で、3、4着馬が勝ち上がるなどレースレベルも低いとは思わないが、前半のペース次第では経験不足から取りこぼす可能性は十分ある。1番人気は過剰人気。

買い目はソリタリオからの馬連5点で保険をかけつつも、デルマグレムリンの単複、ワイド馬単5点ずつで高配当を狙いたい。現状の予想オッズならデルマグレムリンから総流しでも儲けが出そうで馬連総流しの可能性も考える。(文:福山)

2022シンザン記念 予想印
◎デルマグレムリン
◯ソリタリオ
▲レッドベルアーム
△ビーアストニッシド
×カワキタレブリー
×ラスール

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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