【シンザン記念】アーモンドアイやジェンティルドンナら競馬史に名を刻む馬が活躍 年初を彩る3歳重賞の歴史

緒方きしん

シンザン記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA

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第二のアーモンドアイ、ピクシーナイトが現れるか

東西の金杯はそれぞれ7歳馬レッドガラン・6歳馬ザダルとベテラン勢が勝利。昨年絶好調だった明け4歳世代は掲示板に食い込めず、まずはベテラン馬が意地を見せた形だ。

今週末は3歳マイル重賞のシンザン記念が開催される。ここ数年でもアーモンドアイやピクシーナイトを輩出している、言わずと知れた超出世レース。過去にはジェンティルドンナやタニノギムレットといったクラシック活躍馬や、ミッキーアイルやシーキングザパールといったマイル・スプリント路線の活躍馬が輩出されている。

今年は京都2歳Sの2着馬ビーアストニッシドや4戦2勝2着2回のソリタリオ、未勝利ながら1勝クラスに挑戦して勝利したマテンロウオリオンなど素質馬が出走予定。さらにシャケトラの半妹ラスールやレッドベルオーブの半弟レッドベルアームなど、期待の良血馬も出走する。クラシックを占う上でも重要な一戦というのは間違いない。今回はそんなシンザン記念の歴史を振り返る。

1番人気は大苦戦の出世レース

シンザン記念過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年間で、1番人気馬はアーモンドアイの1勝のみと大苦戦中。範囲を1〜3着に広げても、1番人気を背負って好走したのは2017年ベルシアンナイト(3着)が加わるのみという状況だ。2016年、2015年も1番人気は馬券圏外に敗れているため、1番人気馬はこの7年間で1勝ということになる。

馬連が万馬券になったのは、この5年間で3度。2017年は8番人気キョウヘイ・4番人気タイセイスターリーでの決着で189.5倍、2019年は4番人気ヴァルディゼール・10番人気マイネルフラップでの決着で112.2倍。京都競馬場の改修工事により中京開催となった昨年も4番人気ピクシーナイト・8番人気ルークズネストの組み合わせで119.8倍と、流れは変わらなかった。

上記の通り、この5年間の万馬券すべてに4番人気馬が絡んでいる。過去にはガルボ (2010年)やアンバーライオン(1993年)などが4番人気でここを制しているが、ここ数年は特に4番人気馬の活躍が顕著である。また、2番人気馬もここ3年は1勝、3着2回と安定傾向にあるため、シンプルに人気順に着目するのも面白いかもしれない。

並みいる素質馬を撃破したセン馬・レッドデイヴィス

数々の名馬を送り出した出世レースとして知られるシンザン記念。ここから出世を果たした馬は、決して優勝馬だけではない。例えば2着馬も非常に層が厚く、90年代にはダイタクヘリオスやナリタタイシン、アグネスワールドやロゼカラーらがそれに該当する。それ以降もダイワスカーレットやジュエラー、ウインフルブルームらが2着になっている。

そして2011年も、2着に強い馬がきたシンザン記念だった。この年は3番人気以降が単勝オッズが二桁と離され、1番人気ドナウブルーVS2番人気アドマイヤサガスという構図。しかしその「二強」が4、5着に沈む波乱が巻き起こり、馬連配当も88.9倍となった。ただ、今になってメンバーを見れば上位各馬の好走は決して不思議なものではない。

2着のオルフェーヴルはその年の三冠馬となり、3着のマルセリーナは桜花賞馬となった。敗れた「二強」も、ドナウブルーはマイル重賞2勝でマイルCSでも3着と活躍、アドマイヤサガスは交流重賞・北海道スプリントC制覇と、それぞれの道で開花している。結果的に、非常にレベルの高いレースだったことがわかる。

その2011年シンザン記念を制したのは、レッドデイヴィスというセン馬だった。強力なメンバーに勝利しただけに、当然クラシックでも勝ち負けを意識できるような素質を持っていただろう。しかしレッドデイヴィスは、皐月賞にもダービーにも出走していない。何故なら、皐月賞もダービーも、出走条件は牡馬・牝馬。セン馬のレッドデイヴィスは、前哨戦への出走権しか有していなかったのである。

レッドデイヴィスはシンザン記念に続いて毎日杯に出走し、トーセンレーヴやコティリオン、スマートロビンやデスペラードといった素質馬を相手に勝利を収めたが、その次走・京都新聞杯後に右第1指骨の剥離骨折を発症。無事ならば……と思うと同時に、ルールが違えば……とすら思わせる、素晴らしい素質を持つセン馬だった。

新興勢力の種牡馬に注目

昨年はピクシーナイトとルークズネストによる、モーリス産駒のワンツー決着。さらに3着にはキズナ産駒のバスラットレオンが食い込んだ。2018年の覇者アーモンドアイはロードカナロアの初年度産駒で、翌年にも同じくロードカナロア産駒のヴァルディゼールが勝利している。

他にもリーチザクラウン産駒やストロングリターン産駒、ヴィクトワールピサ産駒などが馬券圏内に食い込んでいるように、新興勢力の種牡馬が存在感を示しているのが、近年のシンザン記念。今年もキタサンブラックやドレフォン、アメリカンペイトリオットやディーマジェスティなど、売り出し中の種牡馬が産駒を送り込む予定だ。

ここから出世する馬、そして父の名声を高める馬はどの馬か。新年の華やかな雰囲気を感じつつ、素質馬たちの激突を見守りたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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