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【有馬記念】差しも届くが「内有利」の馬場状態 瞬発力と立ち回りの巧さ、勢いで上回るエフフォーリア有利

2021/12/23 11:00
三木俊幸
2021年有馬記念出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

最内から4頭分が伸びる馬場

JRAの開催も残すところ今週末と来週火曜日の3日間のみ。中京の京都金杯からスタートした撮影は無観客開催となった期間を除き、北は札幌、南は小倉まで毎週のように飛び回った。平日は地方競馬、3月にはドバイにも行き、ハードではあったがあっという間の1年だった。

そしていよいよ12月26日(日)、グランプリ有馬記念(GⅠ・芝2500m)を迎える。競馬ファンそれぞれがこの1年見守ってきたトップホースたちに夢に託す、総決算の一戦を占っていきたい。

はじめに過去10年の3着内馬の脚質を見ると、4角5番手以内につけていた馬が8勝と、勝負所で前のポジションにいた馬の活躍が目立つ。それでも2012年は10番人気オーシャンブルーが2着、2018年は9番人気シュヴァルグランが3着、2020年は11番人気サラキアが2着と4角10番手以下から穴をあけるケースも度々見られる。

続いては、先週末の中山芝コースのレース結果から馬場状態について分析する。火曜日に5.5mm、金曜日に15.0mmの雨が降り、土曜日は稍重。日曜日は良馬場でレースが行われた。ハイペースになった重賞のターコイズSは、稍重発表ながら良への回復途上で1:32.8がマークされるなど雨の影響はなく、良好な馬場状態が続いていたと言える。

前週の中山芝コース上位入線馬脚質,ⒸSPAIA



3着内馬の4角通過順位を見ると、4角先頭だった馬が3勝、3着1回。2〜4番手が4勝、2着5回、3着5回と好走。差し・追込も全く届かないわけではないが、先行有利の傾向が強かった。

前週の中山芝コース上位入線馬進路取り,ⒸSPAIA



そして3着内馬の直線残り200m付近での進路を調べると、最内〜4頭目までのコースが8勝、2着8回、3着7回と大半を占めていた。ターコイズSを勝利したミスニューヨークこそ内から9頭目と外を通って伸びてきたものの、引き続きインコースを通った馬の好走が目立っていた。

2強に割って入る可能性がある馬は?

当初は土曜日に雨の可能性も出ていたが、曇りマークへと変化したことで今年の有馬記念は良馬場となりそう。そうなればエフフォーリアvsクロノジェネシスの一騎討ち濃厚だが、そこに割って入れそうな馬も含めて注目馬6頭をピックアップした。馬名の前の☆は特に注目したい馬を表している。

2021年有馬記念出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA



【☆エフフォーリア】
前走の天皇賞(秋)はコントレイル、グランアレグリアを完封。世代ではもちろんのこと、現役馬の中でもトップクラスの能力を証明したレースだった。ベストは広いコースの2000m前後という気がするが、皐月賞でロスなく立ち回り完勝したパフォーマンスを見る限り、中山のコーナー6回の舞台は問題なし。瞬発力とロスなく立ち回る巧さを兼ね備えており、時計がある程度速い今の馬場にもマッチする。死角はないと言っても良さそうだ。

【クロノジェネシス】
昨年の宝塚記念からグランプリ3連勝中でこちらも舞台適性は文句なし。日本以上にタフな馬場で敗れた凱旋門賞の疲れが残っていないかが唯一の不安材料ではあるが、ドバイ帰りの宝塚記念も全く問題なかったことから心配する必要はなさそう。勝負所での瞬発力、立ち回りの巧さは甲乙付け難いが、勢いのあるエフフォーリアにやや分があると見ている。ただし、万が一馬場が悪化した場合は逆転の可能性も生まれる。

【ステラヴェローチェ】
GⅠタイトルこそないが、レベルの高い3歳世代において皐月賞と日本ダービーが3着、菊花賞4着と堅実に走っていることから、今回も大崩れはなさそう。決して器用なタイプではないが、ペースが流れた皐月賞は内をロスなく立ち回る競馬ができていた。内目の枠に入り、今回もペースが流れた場合に各馬が3角から動く形になれば馬券圏内への好走は可能で、上記2頭を除いた相手候補の筆頭として取り上げる。

【タイトルホルダー】
弥生賞ディープインパクト記念、菊花賞は逃げ切り勝ち。自分のペースに持ち込むと強さを発揮するタイプだ。今回はパンサラッサがある程度速い流れに持ち込む可能性もあるが、仮に2番手からのレースになってもポツンと単騎で運ぶことができれば、再び力を発揮するかもしれない。

【アリストテレス】
前走のジャパンCは逃げる形となったが、本来は好位から中団でレースを進めるタイプ。切れる脚はないので、持久力勝負の展開になることは歓迎材料だ。春は調子を落としていたが、2走前の京都大賞典で復調気配を見せている。距離は違うが、中山コースではAJCCを勝利しており、条件はあっていそう。

【シャドウディーヴァ】
2走前の府中牝馬Sは後方で脚を溜め、4角14番手から一気に差し切る形で重賞初制覇を果たした。横山典弘騎手騎乗ということで、小回りの中山コースで一発を狙うなら、前走のジャパンCのように先行するのではなく、後方待機の競馬を選択する可能性がありそう。直線一気の穴馬タイプならこの馬だろう。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。



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