【有馬記念】菊花賞馬タイトルホルダーが天下統一! 今年は3歳勢が上位独占だ

門田光生

有馬記念の年齢別成績(過去15年),ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

ゾロ目の今回、名勝負の予感

2021年12月26日、中山競馬場で行われるのはグランプリ・第66回有馬記念。昨年の三冠馬コントレイルはジャパンカップで引退し、有馬記念には参戦しない。最後の雄姿は暮れの中山で見たかったのが本音だが、今年ばかりは有観客の保証がなかった年末より、多くの観衆(当然ながら例年より少ないが)に見送られた東京競馬場で良かったのかもしれない。

1着賞金の額はJCと同額でも、世間的な認知度は有馬記念の方が断然上。普段は馬券を買わなくても、有馬記念だけは参加してみようという人も少なくない。もはや国民的行事の一つといって過言でないこのレース。普段のGⅠ以上に情報が出回り、いろいろな角度から予想ができるのも、参加のハードルを下げている要因かもしれない。ここでは過去15年、そして近5年のデータを参考にして、勝利に近いのはどの馬なのか検証していきたい。

その前に、今年は第66回ということで6番、または6枠がいつも以上に気になるファンもいるだろう。そこで、過去のゾロ目回の結果はどうだったのかを調べてみると、第11回は3-1、第22回も3-1、第33回は10-11、第44回は7-3、そして第55回は1-7。かろうじて第11回の時に1番枠が絡んでいるが、ほぼ関係ないようだ。しかも3が3回も出ているのに、第33回の時は出現していない。小ネタとして覚えておこう。

ちなみに第22回はTTG(テンポイント、トウショウボーイ、グリーングラス)、第33回はオグリキャップとタマモクロス、第44回はグラスワンダーとスペシャルウィーク。ゾロ目の年は名勝負が出現する確率が高いようだ。今年もそのようなレースが見られることを期待しよう。

6歳以上は苦戦

有馬記念出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆所属
関東地方で行われる有馬記念だが、大レースでよく見かける傾向と同じで、関西の栗東所属馬の方が圧倒的に出走頭数が多い。成績はというと、美浦4連対(3勝)、栗東26連対(12勝)。ここ15年で栗東勢のワンツーは実に12回もあった(美浦は1回)。

勝率で見るとそこまで大きな差はないのだが、連対率だと美浦6.8%、栗東15.5%と倍以上の差がついている。近5年で見ても、美浦2連対(1勝)、栗東8連対(4勝)と傾向は変わっていない。

有馬記念出走馬の年齢,ⒸSPAIA


☆年齢
最も連対数が多いのは4歳馬の11連対(5勝)。勝率、連対率で4歳馬を上回るのは3歳馬(9連対)。同じく5歳馬も9連対だが、勝率と連対率では若い世代と比べて少し見劣る。基本的に年齢が若いほど好走確率が高くなると考えていい。

なお、6歳以上は54頭が出走しているが、連対したのは2008年のアドマイヤモナーク(7歳)だけ。近5年だと連対馬が出ていない。

有馬記念出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆性別
近年のGⅠは牝馬の活躍が目立っているが、この有馬記念も牝馬の連対率が24.3%と高水準で、牡馬・セン馬の10.8%を大きく上回っている。出走頭数が牡馬・セン馬の方が多い(牡セン194頭、牝馬37頭)のもあるが、牝馬は少数精鋭の印象があり、好走確率が高くなっているのだろう。

なお、ここ15年だと牡馬・セン馬21連対(11勝)、牝馬9連対(4勝)となっているが、近5年だと牡馬6連対(3勝)、牝馬4連対(2勝)。出走頭数は引き続き牡馬・セン馬の方が多いので、牝馬優勢の傾向が一段と強くなっている。

その牝馬だが、連対したのはすべて栗東所属馬。2019年の1番人気アーモンドアイをはじめとして、美浦所属の牝馬は1頭も馬券に絡んでいない。

有馬記念出走馬の前走クラス(日本),ⒸSPAIA
有馬記念出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
前走でGⅠを使った馬が強く、連対馬30頭中、24頭が該当する。あとは海外遠征組が3頭、GⅡ組が3頭となっている。近5年だとGⅠ組が9連対。残る1頭は海外組(2019年リスグラシュー)で、これも豪州のGⅠ。GⅡ以下からの参戦組は苦戦を強いられている。

そのGⅠだが、ジャパンカップが最多の9連対(4勝)、次いで天皇賞(秋)が6連対(4勝)、菊花賞が5連対(4勝)。特に菊花賞組は勝率、連対率とも優秀だ。

有馬記念におけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで、気になったデータを取り上げてみる。まず前走で1番人気に支持されていた馬は8勝。勝ち馬の半分がこれに該当することになる。ここ5年でも3勝だから傾向は変わっていない。これが栗東所属馬に限ると、さらに確率が上がる。

あと、有馬記念はここ15年で2回良馬場以外で行われているのだが、いずれも関東馬が勝っている。これは当日になってみないと分からないが、もし雨予報なら美浦所属馬を狙ってみるのも面白そうだ。

菊花賞馬に弱い馬はいない

有馬記念のデータをまとめてみる。まず好走確率が高くなるのはA「栗東所属、特に牝馬」B「3歳馬、次いで4歳」C「菊花賞組」D「前走1番人気」。逆に勝率が低くなるのはE「6歳以上」F「美浦所属の牝馬」G「前走がGⅡ以下」。Eは10年以上、Fは15年以上、Gは5年以上、連対馬が出ていない。このうちの1つでも該当するようだと厳しいと言わざるを得ない。

今回の登録馬とデータを照らし合わせて驚いたことは、D「前走1番人気」に1頭も該当していなかったこと。何年かデータ関連の記事を書かせてもらっているが、あまり記憶にない。ということで、今回使える好走データは3つだけになるが、そのうち最も強いデータはC「菊花賞組」。

さらに菊花賞馬に限定すると、2009年に競走中止したスリーロールス以外、すべて馬券に絡んでいる(3勝、3着2回)。今年はタイトルホルダーが参戦するが「強い馬が勝つ」といわれるレースの勝ち馬に、弱い馬はいないはずである(世代は別にして)。今年の菊花賞馬も強かったのだと、のちに歴史が証明してくれると信じて、この馬に本命を託したい。

ステラヴェローチェとアサマノイタズラも菊花賞出走馬。菊花賞→有馬記念のローテーションで勝った4頭のうち、3頭が菊花賞馬で、残る1頭は菊花賞4着馬(2018年ブラストワンピース)。今回のステラヴェローチェも菊花賞4着。栗東所属馬でもあり、タイトルホルダーよりプラスデータの数が多い。これも有力候補の1頭といえる。

アサマノイタズラの菊花賞9着は負けすぎにも思えるが、2014年にはトゥザワールドが菊花賞で16着から巻き返して2着という例もあり、無印にはできない。ちなみに、トゥザワールドもアサマノイタズラも、セントライト記念→菊花賞→有馬記念というローテーションで、セントライト記念で連対、菊花賞で大敗というところまで同じである。

人気の一角、エフフォーリアはどうか。過去15年で天皇賞(秋)を勝った馬のその後を調べてみると、同じ年の有馬記念も勝ったのは2017年のキタサンブラックだけ。2着も2010年のブエナビスタと2018年のレイデオロの2頭。こう書くと物足りなく思えるが、天皇賞(秋)の次走は【5-3-5-2】と好成績。

着外は2009年のエイシンフラッシュ(→JC9着)と、2019年のアーモンドアイ(→有馬記念9着)だけで、それ以外の13頭は天皇賞(秋)を勝った勢いを維持していた。また、天皇賞(秋)以降に同年内で2走し、2走目より3走目の方が着順が良かったのは2009年のエイシンフラッシュ(JC9着→有馬記念4着)と、2017年キタサンブラック(JC3着→有馬記念1着)の2頭。

多くの馬が3走目に着順を落としており、このことからも秋のGⅠ・3走目がどれほど消耗度が大きいのか、よく分かるデータといえる。話が長くなったが、要するに秋はGⅠ・2戦が理想で、今回が秋のGⅠ・2走目となるエフフォーリアの好走確率は極めて高いことになる。

海外帰りのクロノジェネシスとディープボンドの評価はどうだろう。特に、人気が予想されるクロノジェネシスは気になるところだ。海外帰りの馬の成績は【2-1-1-8】。悪くない数字だが、馬券に絡んだ4頭のうち、海外での着外から巻き返したのは2014年のゴールドシップ(凱旋門賞14着→有馬記念3着)だけ。

残る3頭、2006年の2着馬ポップロック(メルボルンC2着)、2013年の1着馬オルフェーヴル(凱旋門賞2着)、そして2019年の1着馬リスグラシュー(コックスプレート1着)はいずれも海外で連対していた。

今回、海外明けで参戦するクロノジェネシスとディープボンドはともに凱旋門賞で着外に終わっている。この傾向から、今回は2着以上はないとみてともに消す。今年は菊花賞出走馬にエフフォーリアを加えた、3歳馬ボックスで勝負してみたい。

◎タイトルホルダー
◯エフフォーリア
▲ステラヴェローチェ
△アサマノイタズラ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて紙上、Web上で予想や記事を執筆中。
いよいよ有馬記念。普段はネットで馬券を買っていますが、ダービーと有馬記念だけは本券を買うことにしています。買った実感があるというのと、普段より購入金額が多いので、払い戻しの時に大量の「バサバサ」という音を聞きたいがため。まあ、そんな音を聞いたのはいつだったのか、記憶がないんですがね……。

《関連記事》
【有馬記念】年末の大一番を世代別に徹底分析! 今度こそ一発あるぞ、アリストテレス
【ホープフルS】オニャンコポンの進撃は止まらない!? 前走重賞組は過信禁物、今年はひと波乱あるか
【阪神C】過去10年1番人気はたったの1勝! 今年もやっぱり波乱要素が満載

おすすめ記事