【朝日杯FS】セリフォスvsジオグリフ 穴馬は阪神JF同様、京王杯2歳S組のヴィアドロローサ

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人気のセリフォス、ジオグリフはスタートに不安
先週の阪神ジュベナイルFは、1番人気馬のナミュールがこのコラムでも危惧していたとおり大きく出遅れて最後方に置かれる形。そこから押して押して内のスペースを拾いに行ったが、あたりまえの如く途中で進路がなくなり、後方の内で包まれる形。包まれたことで最後の直線で外に出す選択ができなくなり、馬場の悪い最内を突いて4着に敗れた。
出遅れ自体は致命的ではなく、その後の挽回の仕方ひとつでチャンスが残されているが、序盤から無理に脚を使わせることや、進路選択を狭めてしまうことは悪手であり、また人気馬ほどプレッシャーから選択を誤りやすい。
今週の朝日杯FSはセリフォス、ジオグリフが有力だが、2頭ともにナミュールほどではないにせよ、スタートがあまり良くないという弱点がある。仮に今回その弱点が出たとしても、どう挽回するかが勝敗の分かれ目となるだろう。セリフォスは、C.デムーロ騎手。ナミュールの一見でさすがに懲りているだろうか?
能力値1~5位馬の紹介

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【能力値1位 セリフォス】
デビューから3戦3勝。特に前々走の新潟2歳Sでは、最内枠から出遅れ、中団から馬場の少し荒れた内のスペースを拾って位置を上げて優勝。阪神ジュベナイルFのナミュールのように序盤から無理させるのではなく、じわじわと上手く位置を押し上げたとはいえ、最後の直線でも最内をとおして、上がり3F32秒8の末脚は上々。歴代の同レースの勝ち馬の指数と比較しても優秀な部類の好指数で快勝した。
前走のデイリー杯2歳Sもやや出負けして前から少し離れた後方2番手から、3角外から位置を押し上げ、4角では逆手前で回って外に膨くれるロスの大きい競馬で指数をダウンさせたものの、優勝したあたりに底力を感じることができた。
芝マイルに対する経験値も高く、普通に走れば最有力という評価になる。もし問題があるとするならば、この馬は新馬戦から3戦ともスタートがあまり良くないこと。開き直って追い込みに回れる立場でもなく、多頭数ではそれがこたえる可能性はある。また、新潟2歳Sの再現を狙うには、内の馬場が荒れすぎているし、阪神にはラスト1Fで坂がある。
【能力値2位 ジオグリフ】
デビューから2戦2勝。前走の札幌2歳Sでは今回のメンバーでNO.1の指数を記録した。ただし、前走は連続開催の札幌最終週の時計の掛かる馬場で、トップキャストがオーバーペースの逃げを打ち、ジオグリフは出遅れて最後方からレースを進め、前がバテ始めた3角外から捲った結果。展開に恵まれた面はある。
札幌2歳Sはレースの質がクロノジェネシスが優勝した2020年の宝塚記念と類似しているだけに、4馬身差という着差を過大評価できないし、芝1600mよりも芝2000mでこそ、と推測される。しかし、今回のメンバーでは実力上位は明白。セリフォスと双璧の存在と言える。
今回の一番の問題は夏の札幌からの直行となる点。2002年の札幌2歳Sの覇者サクラプレジデントは、ここ直行で2着とそれなりに結果を出しているが、2014年の札幌2歳Sの覇者ブライトエンブレムは、ここ直行で2番人気を裏切り、7着に敗れている。他にも札幌2歳SからホープフルSに直行して振るわない馬がいるように、あまり良いとは言えない臨戦過程であることは確か。ただし、気楽に差しに回りやすい外枠に入った点はプラス。また外枠から差しに回ることで、最後の直線で馬場の良い外目を走らせることができる。
【能力値3位 オタルエバー】
デビュー2戦目の新潟2歳Sでは、まずまずのスタートから二の脚でハナを取りり、内に切ってマイペースの逃げ。3~4角でじわじわペースを引き上げ、直線では馬場の良い外目に誘導。序盤でスッと反応して後続との差を広げにかかったが、ラスト2Fで内から伸びてきていたセリフォスに並ばれ、最初は抵抗していたが、ラスト1Fで甘くなった。最後は外から伸びてきたアライバルにも交わされたが、見せ場のある3着だった。
近2走は芝1400mに使われ、ある程度の好成績を残してはいるが、指数が順調に伸びているわけではない。成長力があまりないという可能性もあるが、芝1400mの距離が本質的に向いていなかったとすれば、エネルギーはかなり溜まっているはず。また前走の秋明菊賞はAコースの使用が続いて、わかりやすく差し有利だったマイルCS当時の馬場を逃げ切ったもの。今回は同型馬が出走しているとはいえ、前有利な阪神芝Bコース。芝1600mの今回で溜まったエネルギーが爆発する可能性はある。
【能力値4位 カジュフェイス】
芝1200mでデビューしたもののそこでは勝てず、距離を1F伸ばして前々走の未勝利戦を未勝利クラスとしては優秀な指数で逃げ切ると、前走のもみじSも好スタート、好ダッシュでハナに立ち、後続を圧倒して逃げ切った。前々走は芝1200mを使った後の一戦だったこともあり、快速を生かしてのハイペースの逃げ、一転してペースをコントロールし、3角から一気に引き上げて行く競馬。阪神芝2000m以上がかなり時計を要していたため、各馬がペースを落として行ったと推測されるが、芝1800m以下は高速馬場だった。
なかなかの指数を記録した前走同様に走れれば、ここでも上位争いに食い込んでくる可能性はある。問題は今回の距離、ここまで芝1400mまでの経験しかなく、多頭数で正攻法の競馬をするとなるとかなりのスタミナを要求される。
【能力値5位 プルパレイ】
デビュー2戦目の未勝利戦を2歳夏の未勝利クラスとしてはなかなかの指数で勝利すると、次走アスター賞では秋の中山開幕週の高速馬場を利しようと、積極的に先手を取って、鮮やかに逃げ切った。前走のデイリー杯2歳Sは内の馬の出方を窺いながら、2列目外で我慢させていたが、超スローペースのうえに前に壁を作れず、3角手前から行かせることを選択。しかし、11月の時計のタフな馬場の阪神芝では前は苦しく、最後に止まってしまった。今回はおそらく折り合う競馬。その形ならばもう一段階上昇する可能性はある。
穴馬は京王杯2歳S組のヴィアドロローサ
ヴィアドロローサは新馬戦、すずらん賞と連勝した馬。新馬戦は函館最終週のタフな馬場だった。そこで上位争いしたライバルはその次走で指数をダウンさせたが、同馬は次走すずらん賞で上積みを見せて勝利。この時点で潜在能力がかなり高い馬なのではないかと評価した。
前走の京王杯2歳Sでは外枠、スタートでいきなり外にヨレたジャスパークローネに前に入られ、そのアオリを食らった大外枠のシゲルファンノユメとともに後方にかなり置かれる形に。結果、前が有利な流れだっただけに、序盤のロスは致命的だった。それでも直線で外に出されてからはメンバー最速の上がり3Fタイムで追い込んだあたりに、やはり高い潜在能力を秘めている可能性を感じ取ることが出来た。
レース後に鞍上が「スタートで内から寄られて終わりました。普通にレースができていれば勝っていたと思います」とコメントしていたように、勝てていたかはともかく、上位争いに加われていた可能性は十分にあった。先週の阪神ジュベナイルFのラブリイユアアイズしかり、京王杯2歳S組は侮られているようだが、流れに乗ってロスなく競馬が出来れば、ここでも十分に通用する可能性がある。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)セリフォスの前走指数「-12」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.2秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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