【ターコイズS】「内有利」も週中雨予報あり 時計かかる馬場ならスマートリアンとミスニューヨーク

三木俊幸

2021年ターコイズSの馬場適性分布図,ⒸSPAIA

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3着内馬の70%が最内〜4頭目までを伸びる

2015年に重賞に昇格した牝馬限定のハンデ戦、ターコイズS(GⅢ・芝1600m)。リピーターの好走あり、大波乱ありの難解な一戦を馬場適性の観点から占っていきたい。

まずは先週末の中山競馬場・芝コースの馬場傾向から振り返る。火曜日に19.0mm、水曜日に47.0mm、木曜日に0.5mmの雨量を計測し、金曜日の馬場発表時点では稍重。レース開催日の土曜日はクッション値9.2、ゴール前含水率10.5%。日曜日はクッション値9.3、ゴール前含水率9.7%で両日とも良馬場でレースが行われた。

時計面では3歳以上2勝クラスの芝1600m戦で1:34.0がマークされ、冬場ということを考慮するとそれなりの時計が出る馬場。上がりも極端に速いわけではないものの、スローペースになれば33秒台の上がりがマークされる状態だった。

12/11・12 中山芝コース 3着内馬の脚質,ⒸSPAIA


芝コースで行われた10レースの3着内馬の4角通過順位を見ると、4角先頭だった馬が4勝、2着1回、3着1回。4角2〜4番手だった馬も3勝、2着6回、3着4回と先行馬の活躍が目立っていた。それでも、4角5〜7番手は1勝止まりながら2着3回、3着4回と馬券には多く絡んでおり、よほど極端な位置取りとならない限り好走のチャンスはあると言える。

続いて直線コースの残り200m地点で3着内馬が通った進路についても見ていこう。

12/11・12 中山芝コース 3着内馬の直線進路,ⒸSPAIA


最内を通った馬が4勝、2着1回、3着1回。内から2〜4頭目を通った馬が5勝、2着6回、3着4回と好走馬の70%を占めており、まだまだ内をロスなく通った方が有利な馬場状態であることが見て取れる。枠順が命運を分ける可能性も高く、差し馬なら馬群を割ってこれるタイプを狙うのが良さそうだ。

高速馬場の府中牝馬Sから巻き返しを狙う

2021年ターコイズS出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA



今週は火曜日に雨が降り、木曜日夜から金曜日の午前中にかけても雨予報が出ている。土曜日に行われるターコイズS当日は最高気温も10℃には届かない模様。雨量が多い場合は、雨の影響が残る可能性も踏まえ、道悪適性または時計のかかる馬場で結果を残している馬を中心にピックアップした。なお、馬名の前にある☆は特に注目したい馬を表している。

【ドナアトラエンテ】
重賞ではやや安定感に欠けるものの、福島牝馬S2着、前走の府中牝馬S4着と十分戦えるだけの能力は秘めている。前走より立ち回りの巧さが求められること、初の1600m戦で中団に取り付けるかが懸念材料ではあるが、重馬場の中山コースで勝利した経験もあることから押さえておきたい。

【☆ミスニューヨーク】
近走は1800mを中心に使われているが、2000m以上の距離では二桁着順になることも多く、1600mに距離短縮することは悪くないと考える。前走の府中牝馬Sは大敗しているが、ラスト1Fは全く追っておらず、外差しの高速決着と不向きな条件だったことを考えると度外視可能。中山コースの重馬場でも勝利しており、立ち回りの巧さも兼ね備えていることから条件は好転、ハンデ53kgなら一発があってもいい。

【フェアリーポルカ】
中山コースは【1-1-2-0】と安定感抜群、やや時計のかかる馬場も合っている。ロスなくインを立ち回る競馬を得意としていることから、ある程度内目の枠を引けば56kgでも怖い存在だと言えるだろう。

【ドナウデルタ】
ペースが速くなって差しが届く展開になった時に浮上するのはこの馬。前走の信越Sを含め、6勝中3勝が道悪という巧者ぶりが目に付く。ベストは1400mという印象でハンデ56kgも不安材料ではあるが、展開が向けばチャンスはあるかもしれない。

【☆スマートリアン】
2走前の京成杯AHは好位追走から外を回される形となりながら、勝ち馬と0.1秒差の4着。前走の府中牝馬Sは1800mで馬体重プラス16kgの中、0.5秒差6着という内容。2戦とも高速馬場で、少し時計のかかる馬場が得意なこの馬にとっては不向きな条件だった。今回は時計のかかる馬場、ベストの1600m、そして相性のいい池添謙一騎手に戻る点も歓迎材料で、好走条件は揃っている。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。

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