【朝日杯FS】無敗の2歳王者が誕生の予感 好データ目白押しのセリフォスに期待

門田光生

朝日杯FSの前走距離別成績(過去7年),ⒸSPAIA

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8回目の阪神開催

2021年12月19日に阪神競馬場で行われる第73回朝日杯フューチュリティステークス(朝日杯FS)。年末にホープフルSが控えていることもあり、今年も距離適性に応じてメンバーが分散されることが予想される。

その朝日杯FSは、阪神に場所を移してから今年が8回目。阪神だけのデータだと過去7年分しかなく、これではいささか心もとない。そこで、阪神で行われた近7年のデータに加えて、中山で行われた7年分(2007~2013年)とも照らし合わして、変化があったもの、逆に変わらないものを見つけだして検証していきたい。

キャリアは2、3戦が理想

朝日杯出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆所属別
このレースは2歳限定なので、当然ながら年齢のデータは使えない。頼りになるのは所属別。中山競馬場は関東、阪神競馬場は関西にあるので、ホーム側が多少有利な傾向が出ると思うのだが、果たしてどうなるか。

結果は、中山の7年は美浦9連対(4勝)、栗東5連対(3勝)。阪神の7年は美浦4連対(3勝)、栗東10連対(4勝)。いずれもホーム側が多く連対している。ただし、中山時代も阪神時代も栗東所属馬の方が倍以上も出走頭数が多いので、勝率、連対率で比較すると美浦所属馬が優勢となる。

朝日杯出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆キャリア
キャリアに関しては、中山、阪神時代ともに2~3戦という馬が結果を出している。キャリアの多い馬は苦戦の傾向で、中山時代はキャリア6戦以上、阪神に変わってからは5戦以上走っていた馬で連対した馬はいない。

朝日杯出走馬のローテーション,ⒸSPAIA
 朝日杯出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆ローテーション
古馬のように、ここ目標にぶっつけ本番というパターンはほとんどいない。2007年にセイウンワンダーが新潟2歳Sから直接挑んで勝っているが、この中14週というのが連対馬では最長となる。

この時は蹄球炎で東スポ杯をパスしてのものだったが、基本的には順調に使っている馬の方が有利。また、いちょうSがサウジアラビアRCと名称を変更してから、このレースを使ってきた馬の活躍が目立っており(中9週)、4年連続で馬券に絡んでいる。

そのサウジアラビアRC(今年は参戦なし)はGⅢ格付け。中山時代も阪神時代も、GⅢとGⅡ組が5連対でトップ。1勝クラス組は中山4連対→阪神2連対と下がり、逆に新馬、未勝利組が0連対→2連対(2勝)となっている。オープン特別を使っていた馬に関しては、どちらの競馬場でも連対馬が出ていない。

朝日杯FS出走馬の前走距離,ⒸSPAIA


☆前走距離
サウジアラビアRC組を筆頭にして、近年は前走で同じマイル戦を使っていた馬の成績がいい。中山での7年が4連対(4勝)→阪神の7年は9連対(5勝)と、連対馬が倍増した。逆に減ったのは距離短縮組。

これはホープフルSがGⅠに昇格して、そちらに中距離馬が流れていることが影響していると思われる。ホープフルがGⅠに昇格してから、距離短縮組が馬券に絡んだのは2018年のクリノガウディー(2着)だけ。距離短縮組はすべて軽視という手も一考の余地ありだ。

朝日杯出走馬の前走着順と前走人気,ⒸSPAIA


☆前走着順と前走人気
前走着順に関してだが、阪神で行われた2014年以降はすべて前走1着馬が勝っている。中山時代から数えると、前走1着馬は13連勝中。勝ち馬を探すのなら、前走で勝っていることがほぼ必須条件といえるだろう。

前走人気も同様で、前走1番人気馬が中山5勝(7連対)、阪神も5勝(7連対)。阪神の7年では、連対した14頭中、13頭が前走3番人気以内に支持されていた。

朝日杯FSにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA
朝日杯FSにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほか、気になったデータを挙げてみる。まず騎手。M.デムーロ騎手が騎乗した馬は、中山【2-0-0-1】、阪神【2-0-0-2】で、勝率が5割を超えている。ちなみに、ルメール騎手はこのレースを勝ったことがない。

結果が出ていないのは、前走で大きく負けていた馬。前走1着馬が強いレースというのもあるだろうが、前走で負けていた馬のうち、コンマ6秒以上の差がついていた馬は中山【0-1-0-21】、阪神【0-0-0-21】と苦戦を強いられている。

前走1着馬は外せない

朝日杯FSで好走確率が上がるデータはA「美浦所属」B「キャリア2、3戦」C「前走がマイル」D「前走1着馬」E「前走3番人気以内」F「M.デムーロ騎手騎乗」。

勝率が下がってしまうのはG「キャリア5戦以上」H「前走がオープン特別」I「前走から距離短縮」J「前走でコンマ6秒以上の負け」。

最も強いデータは、現在13連勝中のD「前走1着馬」。本命にするならこの項目は外せないところ。逆に連対率が0%となっているH「前走がオープン特別」、そして阪神で行われた2014年以降で連対率0%のG「キャリア5戦以上」とJ「前走でコンマ6秒以上の負け」に該当する馬はノーマークでいいだろう。

これによって思った以上に絞れて、残ったのはオタルエバー、ジオグリフ、シンリミテス、スプリットザシー、セリフォス、そしてトゥードジボンの6頭。このうち、最多4つのプラスデータを持つのはジオグリフ、セリフォス、トゥードジボンの3頭で、その中でマイナスデータがあるのがジオグリフ。

前走が1800mの札幌2歳SだからI「前走から距離短縮」に該当する。札幌2歳Sから挑んだのは2014年のブライトエンブレムしかいないが、2番人気で7着だった。騎乗予定のルメール騎手もこのレースと相性が良くなく(ほかのGⅠと比べれば、の話だが)、本命には推しづらい。

残った2頭、セリフォス、トゥードジボンはともにA「美浦所属」以外のプラスデータに合致。違うのは臨戦過程と成績。セリフォスは3戦3勝。近14年の朝日杯FSの1着馬は、中山、阪神問わず勝率100%や連対率100%の馬が多く見受けられる。

一方、トゥードジボンは未勝利勝ちからの参戦。未勝利勝ちから朝日杯FSを制したといえば、昨年のグレナディアガーズがそれに該当。ただ、過去14年で見ても昨年だけ。例外も2年続けば例外でなくなるのだが、その確率は低いとみてセリフォスを本命、トゥードジボンを対抗としたい。

連対候補となると、前走1着にこだわる必要がなくなる。3番手に推したいのは、とにかくこのレースと相性がいいM.デムーロ騎手が騎乗予定のプルパレイ。これもプラスデータが3つ、マイナスデータはなしと好走の下地はできている。あと、プラスデータが多いシンリミテスとスプリットザシーも相手に加えておきたい。

◎セリフォス
◯トゥードジボン
▲プルパレイ
△シンリミテス
×スプリットザシー

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
有馬記念が近づいてきました。半年間貯めた500円玉貯金をダービーと有馬記念に突っ込むのが恒例行事なのですが、最近は電子マネーを使っている影響で貯金額が激減。小銭いらずと喜んで使っていた電子マネーに、こんな落とし穴(?)があったとは……。



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