【朝日杯FS】今年はジオグリフとセリフォスの一騎打ち! 参考レース分析から見る各馬の評価は
坂上明大
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楽勝での2連勝
中山芝2000mのホープフルSがG1に格上げされてから、短距離~マイル路線の2歳チャンピオン決定戦という位置付けにシフトした朝日杯フューチュリティS。素質の高さや適性はもちろんのこと、現時点での完成度の高さも求められる一戦だ。参考レースから各馬の素質と課題を見極めたい。
【札幌2歳S】
週中は晴天続きで乾燥した馬場状態。最終週ではあったが、内が多少荒れている程度で時計も水準以上に出ていた。レースはトップキャストがハナを切ったが、オンリーオピニオンががっちりマークして3F別ラップは36.4-35.9-36.8。昨年の同35.0-36.3-36.9と比較するとテンの入りは遅いが、その分中盤が緩まず、2着馬の走破時計基準ではラスト3F37.5と大きく失速した。昨年と同様にタフな競馬で「後有利」と評価する。
1着馬ジオグリフは出遅れて最後方から。向正面から徐々にポジションを上げていき、3~4角では抜群の手応えで先頭を捉える。ゴール前は流す余裕も見せて4馬身差の楽勝。メンバーレベルが低かったことは間違いないだろうが、スローペースの新馬戦とハイペースの札幌2歳Sを連勝した意味は大きい。ドレフォン産駒らしい腰高の前傾姿勢でマイル戦にも対応可能だ。
数字以上の強さ
【アイビーS】
金曜の雨が長引き、含水率高めの良馬場での競馬。内外のトラックバイアスはフラット。レースはなかなか隊列が決まらず前半3F35.9と流れたが、中盤は一気にペースダウンして中弛みの展開。少頭数でもあり、十分に差しも届く展開となった。
1着馬ドウデュースは好位追走から余裕を持って追い出したが、抜け出してから気を抜く面が目立ち、力を出し切らずの勝利。重めの馬場状態で勝ち時計は平凡だが、数字以上に強さを感じる勝利であった。また、ハーツクライ産駒でペースアップに難なく対応した点も高評価。ただ、今回はさらにペースが上がる可能性が高く、真の追走力が問われる一戦となりそうだ。
価値ある前哨戦の勝利
【デイリー杯2歳S】
良馬場発表ではあったが、週中の断続的な降雨の影響により稍重に近い良馬場といった印象。ただ、イン差しを決める馬も出ており、見た目ほど内目の馬場状態は悪くなかったか。レースはスタニングローズが内枠から先手を取ったが、3角でプルパレイがハナを奪う形に。少頭数らしくペースは落ち着き、前後半3F35.9-33.8の後傾2.1秒。馬場や展開によるバイアスは無しと評価する。
1着馬セリフォスは4角で逆手前になり外に膨らむ面を見せたが、ソネットフレーズの追撃を何とか凌ぎ切って重賞連勝。新潟2歳Sからパフォーマンスを下げた形だが、賞金に余裕のある身であったことを考慮すれば勝ち切ったことを高く評価したい。右回り2戦目なら手前変換もスムーズになるだろう。
ジオグリフvsセリフォス
2021年朝日杯FSはジオグリフとセリフォスの一騎打ちと見る。ダノンスコーピオン、ドウデュース、ドーブネと他にも無敗で連勝を続ける馬がいるが、ジオグリフとセリフォスは既に時計面から世代トップクラスであることを証明済み。1頭ぐらいは本番で開花する馬がいてもおかしくないが、両馬が大きく崩れることは考えづらいだろう。
注目馬:ジオグリフ、セリフォス
※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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