【阪神JF】狙いは鋭い末脚を持つ馬 デムーロ兄弟ワンツーあるぞ、東大HCの本命はナミュール

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阪神JFインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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末脚勝負

12月12日(日)に阪神競馬場で行われる阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ・芝1600m)。来年のクラシック戦線へ飛躍を誓う2歳牝馬18頭が仁川のターフに集結する。中心は無傷の3連勝中、武豊×幸四郎兄弟タッグでGⅠ制覇を狙うウォーターナビレラ。さらにはステルヴィオの全妹ステルナティーア、アルテミスSを制したサークルオブライフなども人気を集めている。果たして信頼すべきはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、過去10年の傾向を分析する。


過去10年阪神JF脚質別成績


脚質別では、差し馬が最多の5勝を挙げている。多頭数のGⅠという条件、さらに逃げ・先行で勝ち上がってきた馬が多い2歳戦ということもあり、前半からペースが流れることの多いレース。鋭い末脚をもつ馬に利があるとみてよいだろう。勝ち馬10頭のうち4頭が上がり最速、8頭が上がり3位以内をマークしていることからも、瞬発力勝負の傾向は読み取れる。

ただ勝率、連対率に着目すると、先行がやや優勢。先行力があり、なおかつ最後の直線でもある程度の上がりを使える馬は押さえておくべきだろう。昨年はソダシが先行して押し切り、ユーバーレーベンが上がり最速の脚で3着に食い込んだ。後方待機組が差し損ねる場合も想定して買い目を選びたい。


距離経験を読み解く

過去10年阪神JF距離経験別成績,ⒸSPAIA


いまだ出走数の少ない2歳馬による一戦ということもあり、距離経験も重要な要素となってくる。やはり距離延長で初のマイルというのは割引材料で、19年のレシステンシア1頭を除いて勝ち馬はみな1600~1800mの距離を経験していた。またマイル以上の距離経験がある馬の中でも、1800mを使ったことのある馬の成績が特に優秀。阪神は最後の直線で急坂が待ち構えている。瞬発力に加え、長めの距離をこなせるスタミナも求められるということだろう。


キレのある馬を中心に

◎ナミュール
新馬戦ではラスト2ハロンで10秒8―10秒7と抜群の上がり。前走赤松賞でも上がり33秒0と、出走馬随一の鋭い末脚をもつ。当初は年明けのレースを基本線としていたようだが、急きょ中2週での出走。これも陣営の自信の表れか。前走の疲れ等が不安になるところではあるが、調教では際立った動きを見せている。当日も十分に実力を発揮してくれることだろう。ここ2戦はそれぞれ2、4番人気と、さほど人気を集めてはいなかった。今回も重賞経験がない等の理由で人気が落ちるならなお、馬券的に美味しくなりそうだ。

◯サークルオブライフ
前走アルテミスSでは豪脚を披露。未勝利戦では中山の急坂を攻略しているため、初の阪神も問題はないだろう。新馬戦こそ3着に敗れているものの、初戦から仕上げない国枝厩舎の新馬戦で、しかも勝ち馬は東スポ杯2歳Sを圧勝したイクイノックス。評価を下げる材料にはならない。前走アルテミスS組は過去10年で【3-3-3-15】。勝利を狙える王道ローテからの挑戦で、1800mを使ったことがある点も評価できる。

▲ウォーターナビレラ
新馬戦、それから2走目のサフラン賞はどちらも前で競馬を進めつつ上がり最速をマーク。前段で述べたような理由から、脚質的には今回のレースに向いているといえる。前走ファンタジーSでは2番手から楽に抜け出しての勝利。京都競馬場改修により今年の同レースは阪神で開催されたため、馬場適性は証明済みだ。ただ19年の菊花賞以来、武豊騎手のGⅠ勝ちがない点は気にかかるため、頭で狙うのは避けたい。

△ステルナティーア
新馬戦は上がり32秒台での圧勝。大物誕生を思わせる勝ちっぷりだった。前走サウジアラビアRCではダービー馬候補コマンドラインに半馬身差の2着で敗れているが、牝馬相手の今回、勝機は十分にある。全兄ステルヴィオは今回と同舞台の朝日杯FSで2着に入っており、血統面での期待も大きい。しかしここ2戦は極端なスローからの上がり勝負で、ペースが上がった場合に対応できるかどうかは疑問が残る。鞍上ルメールは【2-1-0-1】と心強いものの、過度な期待は禁物だろう。

その他調教での動きが目立つベルクレスタを押さえる。穴としては、阪神と好相性なディープインパクト産駒のパーソナルハイを推奨したい。

◎ナミュール
◯サークルオブライフ
▲ウォーターナビレラ
△ステルナティーア
×ベルクレスタ
☆パーソナルハイ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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