【阪神JF】「経験」のベルクレスタ、「世代屈指の瞬発力」ナミュール 内・先行馬有利だが差しも届く馬場

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Bコースで内を通った先行馬が活躍
新馬戦が始まった6月から主に2歳馬を追いかけることをモチベーションにして、全国を飛び回ってきた。今年も続々と素質の高い牝馬が勝ち上がり、今週末に行われる阪神JF(GⅠ・芝1600m)の登録に名前があるのを見ると非常に嬉しい気持ちになる。
来春の桜花賞へ向けて重要な一戦を占うにあたり、まずは先週末の阪神競馬場・芝コースの馬場傾向から振り返っていく。
中間の火曜日に34.0mm、水曜日に14.0mmの雨量を計測したが、土曜日はクッション値9.6・ゴール前含水率10.4%、日曜日はクッション値10.0・ゴール前含水率10.5%で全て良馬場。芝では合計10レースが行われた。
まず3着内馬の4角通過順位について見てみると、8週続いたAコースからBコース使用となったことが影響してか、4角4番手以内だった馬が8勝、2着6回、3着6回と先行馬が活躍。4角6番手以下だった差し馬も2勝、2着3回、3着4回とそれなりには走っているが、取りこぼすレースも多かった。
続いて、3着内馬が直線残り200m付近で通っていたコースを調べた結果、内から3頭目が4勝と最も活躍、ついで最内も2勝だった。Aコース最終週だった先々週も比較的内が伸びる傾向にあったが、やはりBコースになったことでさらに内が有利な結果が見られた。
それでも土曜日の9R再度山特別を制したオヌールや日曜日の10R逆瀬川Sを勝利したスーパーフェザーのように力がある馬であればやや外目からでも差し切ることができている。実力差の大きい2歳GⅠなら、外枠を引いて終始外を回る形にならない限りは中団追走から差し届く場面も想定できる。
最後にタイム面についても触れておく。土曜日の5Rに行われた芝1800mの新馬戦は1000m通過が60.5。全馬デビュー戦ということを考えるとペースは流れていたこともあるが1:47.3というタイムがマークされた。さらに同じ1800mで先述した逆瀬川Sも前半1000mが59.1、勝ちタイム1:45.0で決着するなど、3開催目に突入しても極端に時計がかかることはなさそうだ。
上がりタイムも再度山特別を勝利したオヌールは33.4を計測しており、外回りコースならある程度の瞬発力は必要だ。
新馬戦はセリフォスの2着

今週は火曜日に雨が降った阪神競馬場。しかしその後は晴れ予報が続いており、気温もこの時期としては高めで推移する見込みなので、雨の影響はなく良馬場でレースを迎えられそう。
ここからは注目馬の適性を個別に見ていくが、馬名の前につけている☆は特に注目したい馬を表している。
【ウォーターナビレラ】
札幌芝1500mの新馬戦を逃げ切り、2戦目のサフラン賞は800mの通過が49.6という超スローペースを2番手から抜け出す競馬。そして前走のファンタジーSも2番手追走からゴール前迫るナムラクレアを振り切って3連勝として挑む。決して一本調子なタイプではないので外回りコースでも問題はなく、馬場も味方にできるので、特にマイナス材料はなさそう。
【ステルナティーア】
新馬戦は中団追走から直線では持ったままで先頭に並びかけ、上がり32.7の素晴らしい末脚を披露した。続くサウジアラビアRCはスタートから12.9-12.0-12.8-12.3-12.6(62.6)とスローペースだったため、終始力んでの追走。3番手から上がり33.4で伸びたものの、コマンドラインには及ばず個人的には物足りない内容だった。ただ瞬発力は一級品、しっかり脚が溜まれば確実に伸びてくるだろう。
【サークルオブライフ】
新潟芝1800mの新馬戦は1.2秒離された3着に敗れたものの、勝ち馬は東京スポーツ杯2歳Sを完勝したイクイノックス。2戦目の未勝利戦では出遅れたものの、3角から捲っていき楽勝だった。そして前走のアルテミスSは4角8番手から、押し切るかと思われたベルクレスタをゴール前で差し切る強いレースぶりを披露している。スタートに不安はあるが、長くいい脚を使えるタイプで能力はかなり高い。
【☆ベルクレスタ】
新馬戦は来週の朝日杯FSで上位人気が予想される重賞2勝馬セリフォスの2着だったが、続く未勝利戦は後続に0.6秒差をつける楽勝だった。そして前走のアルテミスSも2着に敗れたものの、前半800mの通過47.2とペースが流れていた中を3番手追走、差してきたサークルオブライフとクビ差の結果なら高く評価していい。強い相手と戦ってきた経験はプラスに作用すると考え、中団より前からでもレースが進められる自在性のある脚質も今の馬場に最も合いそうだ。
【☆ナミュール】
この馬はタイミングが合わず、2戦とも映像でしかチェックできていないのが残念ではある。新馬戦は1:39.0と勝ちタイムは遅かったが、ラスト10.8-10.7という破壊力抜群の末脚は只者ではないと見ていた。そして2戦目の赤松賞も中団追走から0.3秒差をつけて、最後は流す余裕を持っての勝利でありながら、上がり33.0。瞬発力は世代トップクラスと言っていい。馬場お構いなしで差し切る可能性があるとしたらこの馬だろう。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。
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