【チャンピオンズC】能力値1位テーオーケインズの巻き返しが濃厚 穴は川田騎手で3戦3勝、最高値1位のクリンチャー
山崎エリカ
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大注目のソダシはダートをこなせるか?
今年のチャンピオンズCは、白毛馬史上初の芝GⅠ制覇を達成したソダシのダート初参戦に注目が集まる一戦。しかし、これまで初ダートで国内のGⅠ制覇を達成した馬は1頭もおらず、牡馬混合のGⅠでは、2001年のトゥザヴィクトリーのフェブラリーS3着が最高着順だ。もしソダシが勝てば、白毛の枠を超え、ここでも偉業を達成することになる。
しかし、いかにダート適性が高い馬でも、初めてのダートは大概キックバックを嫌がって、負けるパターンが多い。前記のトゥザヴィクトリーは、その次走のドバイワールドCでも2着と好走しているように、ダート適性も高かったが、初ダートでも善戦したのは、大外枠で砂を被らないレースができたことも大きい。
ソダシはそれとは対照的に最内枠。その隣にはカジノフォンテン、さらに4番にインティと前に行きたい馬がいる。こうなると包まれ、かなり砂を被るリスクが高い。ソダシは坂路でパワフルな動きを見せており、大方の予想どおり、ダートはこなせるだろう。むしろダート適性のほうが高い可能性もあるが、この一戦に関しては伏兵の立ち位置。押さえ程度の評価が妥当だろう。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 テーオーケインズ】
昨秋の2勝クラスを休養明けながらオープン通用級の好指数で勝利(その時圧倒したのが今回出走の前走シリウスS勝ちのサンライズホープ)。そこから勢いに乗って上昇、4走前の名古屋城SでGⅠ通用域の指数で圧勝すると、上半期の総決算・帝王賞を優勝した。
4角先頭から3着馬のサクラアリュール(昨秋のシリウスSの2着)に8馬身差をつけた名古屋城Sもかなり強い内容だったが、カジノフォンテンとダノンファラオが競り合って緩みのない流れを、好位の内から突き抜けた帝王賞はそれ以上に強い内容だった。
前走のJBCクラシックは、極端なスローペースを出遅れ最後方列から速い二の脚で、好位の中目まで挽回。序盤は掛かり気味だったがスタンド前では折り合いもついていた。しかし、向正面では包まれ動けず、前がペースを引き上げた3角から動いて行く形。4角では前の馬に食らいついたが、直線序盤で外から一気に動いたオメガパフュームに追い抜かれ、最後に内から伸びたチュウワウィザードにも交わされての4着。4角でやや反応が悪く、しまいが甘くなったのは休養明けのぶんだろう。ひと叩きされた今回は、順調に上昇すると見る。
【能力値2位 クリンチャー】
ダート路線に転向してからは安定しながら上昇。川田騎手に乗り替わった昨秋のみやこSでは、強引な先行策で快勝すると、今年に入ってからは佐賀記念を逃げて9馬身差の独走。前半型のレースをすることで一気に指数を上昇させ、佐賀記念で記録した指数は、今回のメンバーではNO.1となる。
同馬は前に行ってこその馬ではあるが、二の脚が遅いのが弱点。そこを考慮しても前走のみやこSは前半のペースが遅かったわりに行きっぷりが悪く、しつこく押しても昨年のみやこS時ほと前の位置が取れず、先団馬群の外までしか進んで行かなかった。しかし、向正面で外から進出してきたエクスパートランに抵抗し、3角外から先頭に並びかけ、4角では内から3頭分のロスがあったが、直線では一旦2番手と見せ場はあった。
ラスト1Fの坂で失速してしまったのは、休養明けのぶんもあって、ひと叩きされたここで変わる可能性はある。全能力を発揮した場合はここでも圧勝するだろう。また、ズブい馬を走らせる技術は武豊騎手よりも川田騎手のほうが優れていて、同騎手ではこれまで3戦3勝というのも魅力。ただし、本来は左回りが苦手で、左回りでは実績がない。
【能力値3位 カフェファラオ】
3歳時に3戦3勝でユニコーンSを圧勝した素質馬。同馬は揉まれ弱いという致命的な弱点があり、それが理由で一時は伸び悩やんだが、今年のフェブラリーSでは復活V。内枠から二の脚でスッと2列目付近まで位置を上げ、先頭列が争う中で好位の内目で前とのスペースを徹底して保ち、砂を被らないレースをすることで結果を出した。
しかし、次走のかしわ記念ではダートスタートだったこともあり少し行きっぷりが悪く、外からサンライズノヴァ、ソリストサンダーが内に切り込んできたことで、外に出せず好位馬群の中で揉まれる形。フェブラリーS好走の疲れがあったようで、3角から手応えも怪しくなっていたが、揉まれたことも敗因のひとつだろう。
とにかく揉まれ弱いのでブリンカー着用は吉と出る可能性が高く、前に馬を置かずにレースができる外枠もいいだろう。前走で芝のスピード競馬を経験させているので、出脚の強化も見込める。マイルがベストという馬なので、距離が長くなる上に、外枠で距離損も生じそうだが、前々走のかしわ記念よりも条件が向くのは確か。反撃が期待できる。
【能力値3位 メイショウハリオ】
ここに来て急上昇中の馬。前々走の太秦Sではなかなかの指数で2着、そして前走みやこSを優勝し、このレースの出走権を手にした。前々走はやや速い流れのなか、中団内々でレースを進め、最後の直線では狭い最内を捌きながらしぶとく伸び、3頭大接戦の際どいアタマ差の2着。
前走のみやこSは出遅れて、中団馬群の内から2頭目を追走。3角手前で外からエクスパートランが進出したところでペースが上がり、中団の中目から追撃。3~4角でじわじわと押し上げ、4角でヴェンジェンスが内に入ったことで、好位の中目のスペースが広がり、そこを追いながら直線へ。外に出すとスッと伸びて3列目から、ラスト1Fで逃げ粘るアナザートゥルースを捕え、ロードブレスの追撃をハナ差退けて優勝した。
前走はエクスパートランが動いたことでペースが上がり、またロスを最小限にした騎乗が噛み合った感が高い。前走のようなペースが上がっての内差しなら通用する可能性もあるが、今回は相手強化で外枠。出して行けば外を走らされ、内を走るには後方まで下げる必要があるので、そこからでは届かない可能性が高い。再度好走をするには、相当前がレースを引っ張らないと厳しそうだ。
【能力値5位 インティ】
2019年のフェブラリーSの優勝馬。前記のフェブラリーSは楽に逃げられたことが優勝に繋がったが、本質的にマイルは忙しく、楽に追走できる1800mがベスト。昨年と一昨年のチャンピオンズCでは3着と好走している。ただ昨年、一昨年は前哨戦で先団争いに加わって行く厳しいレースをして大敗。明らかに叩き台のようなレースをした上でのこの舞台での巻き返しだった。
しかし、今年は前哨戦のマイルCS南部杯では前がペースを引き上げて行くなか、序盤で無理をさせず、中団の内目で脚をタメての競馬。道中も好位から少し離れた単独の中団から徐々に前との差を詰め、4角で好位馬群が凝縮したところで上手く外に誘導してスピードに乗せ、ジリジリ伸びての4着。上手い立ち回りである程度能力を出しており、同レースが勝負の感が前2年程ではないように感じる。
【能力値5位 エアスピネル】
ダート路線に転向してかつての芝の実績馬がよみがえった。今年のフェブラリーSでは2着に好走。ただし、フェブラリーSは4角最内~内を通った馬が1~6着を独占という結果。同日のヒアシンスSも4角で大外回ったタケルペガサス(1番人気)が4着に敗れ、逃げて4角最内のプロバーティオ(10人気)が2着と好走しているように、フェブラリーSの週は断然内が有利であったのも確か。
フェブラリーSでのエアスピネルは中団から4角の内を立ち回り、直線で外に出す競馬で上手く乗っての2着だったせいか、その後は着順こそ悪くないが、指数が伸びていない。前走の武蔵野Sは休養明けをひと叩きされて必勝の一戦だったと見ているが、4角で前4頭が壁になり、直線でスムーズさを欠いたとは言え、2着に負けてしまった。
同じように前が壁になって早めに外に出した、末脚型のソリストダンサーを追い駆ける形になったのも良くなかったが、やや物足りない内容。確かに前走で能力を出し切れていないので、まだ今回に向けて余力がありそうだが、やや勢いがない。
穴馬は、ケイティブレイブ
ケイティブレイブは2017年の帝王賞、2018年の川崎記念、JBCクラシック勝ちの実績を持つ馬。昨年はフェブラリーS、かしわ記念と連続で2着と善戦しており、まだ高い能力を保持している。
今年は約1年1ヵ月にも及ぶ脚部不安からエルムSで復帰すると6着、次走シリウスSはハンデが58.5㎏と重く、二の脚で遅れ後方から。4角ではバテた馬を捌き切れずにブレーキをかけ、ポジションダウンする不利があって大敗しているが、前走のJBCクラシックでは、巻き返して5着。しっかり勝ちに行く競馬ができており、復活の兆しを感じることができた。また、最後の直線序盤では外からオメガパフュームに前の進路に入られて狭くなり、ここでも位置が下がる不利があった。
かつてよりもスピード面で衰えを見せているだけに、あと1Fは距離が欲しいところだが、昨年のフェブラリーS時のように、無理に位置を取りに行かすに、ゆったりとレースを運べれば、まだまだGⅠでの好走が期待できる馬だ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)テーオーケインズの前走指数「-27」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.7秒速い
●指数欄の数字の下線は緑が芝
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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