【チャンピオンズC】クリソベリルでさえ敗れた8枠 東大HCが中京ダ1800mを徹底分析

東大ホースメンクラブ

中京ダート1800mコース解説,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は中京ダ1800mを舞台に、JRAの冬のダート王決定戦、チャンピオンズCが行われる。昨年覇者にしてドバイWC2着馬・チュウワウィザード、初のダート挑戦となる白毛馬ソダシ、函館記念9着からの巻き返しとダートGⅠ春秋制覇を狙うカフェファラオ、帝王賞勝ち馬テーオーケインズ、船橋の雄カジノフォンテンなど役者がそろった印象だ。

このコースを舞台とする重賞はチャンピオンズCの他、勝ち馬にフェブラリーSの優先出走権が与えられる東海Sがある。コースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは特筆ない限り2016年12月3日〜2021年10月3日)。

まずはコース紹介。直線半ば上り坂の途中からスタートし、しばらくはポジション繰り広げられる。2コーナーから向正面にかけて上りを通過すると、4コーナーまでの600mをひたすらに下っていく。最後に待ち受ける400mを超える直線は高低差2m近い急坂が設定されており、最後の力を振り絞っての我慢比べとなる。

昨年クリソベリルが敗れた8枠

中京ダ1800m・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<中京ダ1800m・過去5年の枠別成績>
1枠【43-36-32-352】勝率9.3%/連対率17.1%/複勝率24.0%
2枠【34-49-44-375】勝率6.8%/連対率16.5%/複勝率25.3%
3枠【44-34-35-411】勝率8.4%/連対率14.9%/複勝率21.6%
4枠【48-38-43-439】勝率8.5%/連対率15.1%/複勝率22.7%
5枠【38-45-42-469】勝率6.4%/連対率14.0%/複勝率21.0%
6枠【45-48-43-493】勝率7.2%/連対率14.8%/複勝率21.6%
7枠【43-48-48-513】勝率6.6%/連対率14.0%/複勝率21.3%
8枠【42-41-49-531】勝率6.3%/連対率12.5%/複勝率19.9%

全体の枠別成績に大きな差はないが、比較的内めから真ん中の枠が勝率・連対率で優位を保っている。最も複勝率が高いのは2枠で、チャンピオンズCでも14年2着ナムラビクター・15年1着サンビスタ・16年2着アウォーディー・18年1着ルヴァンスレーヴ・19年3着インティと好走馬が続出している。気になる黒帽の馬はとりあえず買い目に入れておくのが吉だろう。

一方、複勝率が唯一2割を下回っているのが8枠。コーナー4つのコースで外々を回される不利は大きく、特に上級条件ではロスが致命傷になりやすい。同コースの重賞を8枠から勝ったのは2013年東海Sのグレープブランデーのみ。過去5年のチャンピオンズCでも【0-0-0-9】と全滅しており、昨年に至っては断然人気のクリソベリルまでもが馬券外に沈んでいる。同馬はコンディション面の問題が主な要因だったとはいえ、人気馬がこの枠に収まれば疑ってかかりたい。

中京ダ1800m・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<中京ダ1800m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【82-49-45-207】勝率21.4%/連対率34.2%/複勝率46.0%
先行【166-178-127-648】勝率14.8%/連対率30.7%/複勝率42.1%
差し【62-78-119-1345】勝率3.9%/連対率8.7%/複勝率16.1%
追込【20-19-34-1351】勝率1.4%/連対率2.7%/複勝率5.1%

直線の長いコースとは裏腹に差しがあまり決まっておらず、逃げ・先行の複勝率が驚異の4割超えを誇る。末脚爆発のイメージで差し馬を買うと痛い目に遭いやすいコースなので、ポジションを取れる馬を素直に信用すべきだ。

しかしチャンピオンズCに限定するとそう単純ではなく、逃げ切りは11年のトランセンド(前身のジャパンCダート、阪神)以降皆無。対照的に16年サウンドトゥルー・17年ゴールドドリームなどが差し切り勝ちを決めている他、15年ノンコノユメ・18年ウェスタールンドも後方待機から2着を確保している。ハイレベルなレースにおいては脚質の極端な評価の上げ下げをする必要はないだろう。

ソダシの安易な消しは禁物

中京ダ1800m・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<中京ダ1800m・過去5年の種牡馬別成績>
クロフネ【14-10-13-97】勝率10.4%/連対率17.9%/複勝率27.6%
マジェスティックウォリアー【7-5-8-31】勝率13.7%/連対率23.5%/複勝率39.2%
シニスターミニスター【9-9-5-62】勝率10.6%/連対率21.2%/複勝率27.1%
キングカメハメハ【8-14-9-101】勝率6.1%/連対率16.7%/複勝率23.5%

同コースで期間内の最多勝はクロフネ産駒。2勝クラスの【0-0-0-12】を除くあらゆるクラスで安定しており、チャンピオンズCでも2017年のテイエムジンソクが2着に好走。全14勝中先行・差しで12勝と戦術に幅があるのも魅力的だ。チャンピオンズCに登録がある産駒はソダシただ一頭。同馬には初のダート挑戦がGⅠの舞台という大きな壁があり、人気に推されるなら嫌いたい向きもあるだろうが、安易に消し勝負としないようにしたい。

複勝率が4割に迫っているのがマジェスティックウォリアー産駒。前走4角2番手以内だった馬は【3-2-3-7】と半分以上の該当馬が馬券になっている。重賞での出走例はないものの、同馬を父に持つサンライズホープは前走中京ダ1900mのシリウスSを4角2番手から快勝。2着馬がチャンピオンズCで激走した経験を持つウェスタールンドだけに、もう一度馬券圏内に突入するシーンがあってもおかしくない。

その他では単複回収率がともに100%を超えているシニスターミニスターが好相性だが(該当馬テーオーケインズ)、重賞では【0-0-0-5】と厳しい。キングカメハメハ産駒は複勝率が今一つで、昨年覇者チュウワウィザードは実績から度外視としても、古豪エアスピネルは苦しい戦いを強いられそう。

中京ダ1800m・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<中京ダ1800m・過去5年の騎手別成績>
福永祐一【18-5-10-53】勝率20.9%/連対率26.7%/複勝率38.4%
武豊【7-8-6-30】勝率13.7%/連対率29.4%/複勝率41.2%
戸崎圭太【6-1-3-15】勝率24.0%/連対率28.0%/複勝率40.0%
浜中俊【6-12-4-16】勝率15.8%/連対率47.4%/複勝率57.9%

騎手別成績では福永祐一騎手が勝利数トップ。勝率2割は大威張りできる数字で、人気馬での騎乗がとにかく堅実。過去5年では重賞での好走歴はないが、オーヴェルニュとともに先週のジャパンCに続く2週連続GⅠ制覇なるか注目したい。

加えてレジェンド武豊騎手も推奨。全体の複勝率4割超えもさることながら、過去5年のチャンピオンズCでは4回の騎乗機会で3回の馬券圏内。昨年は10番人気のインティで3着に粘った。今年も同馬とコンビを組んで臨む大舞台、再度の波乱もありそうだ。その他連覇がかかる戸崎圭太騎手は複勝率4割ジャスト。

最後に驚異の複勝率57.9%を誇る浜中俊騎手を押さえておく。2019年以降では【4-9-1-7】複勝率66.7%とゾーンに入っており、みやこS覇者のメイショウハリオは必ず買うべきだ。

中京ダート1800mコース解説,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開。秋GⅠシーズンに合わせ、新入部員募集中。

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