【ジャパンC】例年の傾向通り内枠・先行馬が狙い目! 東大HCの本命はコントレイル

東大ホースメンクラブ

ジャパンCインフォグラフィック,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

締まった流れながら積極的な位置取りは必須

11月28日(日)に東京競馬場で行われるジャパンC(GⅠ・芝2400m)。日本が誇るチャンピオンコースでの一大レースに外国馬3頭を含む18頭が集った。

このレースを最後に現役を退くコントレイルを筆頭に、今年のダービー馬シャフリヤールとオークス馬ユーバーレーベン、そして2016年と18年のダービー馬マカヒキ、ワグネリアン、さらにはBCターフで好走した外国馬ブルームなどレースの格にふさわしい面々が参戦。有馬記念と並んで日本で最も権威ある栄冠を手にするのはどの馬なのか、そして何より令和初の三冠牡馬・コントレイルは引退レースでどのような走りを見せるのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。


過去10年ジャパンC傾向,ⒸSPAIA


まず過去10年のレース傾向を分析する。日本最高峰のレースとだけあって極端なスローペースになることは稀。それでも勝ち馬は15年のショウナンパンドラを除けば4角6番手以内で、ある程度の位置を確保しておかなければアタマまで届かない。さらに17年以降に限れば4角10番手以下から3着内に入線した馬は一頭もおらず、少なくとも中団に陣取っておかなければノーチャンスというのが最近のトレンドだ。このことは上がり最速馬が【1-3-2-5】と安定しないことにも表れている。

キセキの出方次第ではあるものの、今年のメンバーに典型的な逃げ馬はおらず先行勢も手薄。また先週からCコースに替わって内が使える状態となっており、開催後半とはいえ土日を通して逃げ・先行馬の健闘が目立った。以上のことを踏まえると、今年のジャパンCが近年のトレンドから逸れる要素は何ら見当たらず、前目で運ぶ馬を中心視すべきというスタンスは変わらない。思わず飛びつきたくなる人気薄の後方待機勢が多数スタンバイしているが、高配当に目が眩んで余計な買い目を増やさないよう注意すべきだ。


4枠より外は大幅な割引が必要

過去10年ジャパンC枠順成績,ⒸSPAIA


〈過去10年のジャパンC・枠順成績〉
1枠【4-3-2-8】勝率23.5%/連対率41.2%/複勝率52.9%
2枠【2-0-2-15】勝率10.5%/連対率10.5%/複勝率21.1%
3枠【1-1-2-16】勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率20.0%
4枠【1-1-0-18】勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率10.0%
5枠【0-2-0-18】勝率0.0%/連対率10.0%/複勝率10.0%
6枠【0-1-0-19】勝率0.0%/連対率5.0%/複勝率5.0%
7枠【1-0-3-18】勝率4.5%/連対率4.5%/複勝率18.2%
8枠【1-2-1-22】勝率3.8%/連対率11.5%/複勝率15.4%

次に過去10年におけるジャパンCの枠順成績をチェック。ご存知の方も多かろうがジャパンCでの1枠は異常なほど好成績。特に3番人気以内に限れば【3-2-1-0】と馬券を外した試しがなく、コントレイルには全幅の信頼を置いて良かろう。また2・3枠も複勝率20%台とこれに続いており、全体的に内枠有利な傾向にある。さらに付け加えれば1~3枠の逃げ・先行馬が【5-1-2-9】、回収率も100%超と狙い目で、Cコース替わりの恩恵を受ける内枠先行馬は見逃せない。

対して4枠から外は不振。さらに詳しく見ると過去10年以内に3着内に来た延べ13頭はいずれも7番人気以内、しかもそのうち10頭にはGⅠ勝利歴があった。外枠不利というデータを跳ね返すのではという期待感と、それに応える確かな実績とが揃って初めて一考の余地が生まれる。7番人気以内に当てはまらないことが濃厚な古参のダービー馬2頭や、GⅠ勝利歴のないアリストテレスやサンレイポケットなどにとっては受難の枠と言わざるを得ない。


未曾有の事態で歴史を創った大器に敬意を

◎コントレイル
今年2戦して未だ勝ち星がないが、大阪杯は特殊馬場を自分から動いていったこと、前走・天皇賞(秋)は相手が強すぎたことによるもので、着順はともかく内容は決して悪くない。三冠馬故に世間からの要求値も高いが、GⅠでこれだけ安定して馬券に絡む馬もそうそういるものではなく、能力はやはり一級品。昨年のジャパンCは菊花賞の疲労から直線はフラフラ走っており、そういった状態や負けた相手を考えれば及第点の走り。秋2戦に絞って万全の構えで臨み、1枠2番という絶好枠まで与えられた引退レースで負ける姿は想像できないし、したくもない。私自身が初めてリアルタイムで追った三冠牡馬ということで少々肩入れが過ぎるかもしれないが、その想いに応える走りができる馬だと信じてやまない。

◯オーソリティ
【3-1-0-0】という東京成績が示す通り左回り巧者。逆に右回りはデビュー3戦目以降【0-0-1-3】で、天皇賞(春)や有馬記念での敗戦を捉えてGⅠでは力が足りないと断ずるのはやや早計。メンバーの格が違うとはいえ前走のアルゼンチン共和国杯での圧勝劇は見事なもので、左回りのGⅠレースにおける活躍を予感させるには十分なものであった。また前走同様のスローが濃厚なメンバー構成も、先行力あるこの馬にとっては歓迎すべきこと。さらに前走がJRA重賞で1番人気かつ1着だった馬は【4-2-3-2】で複勝率82%と驚異的な安定感を誇っており、GⅠ勝利歴のない4枠馬とはいえ買わざるを得ない。

▲ユーバーレーベン
前走・秋華賞では5番人気に支持されながらも結果は13着と大敗。しかしレース前から陣営が口にしていたように調整が順調さを欠いたなかでの臨戦で、かつ後方からレースを進めるこの馬にとって阪神内回りという舞台も合わず、参考外としてよい。レース傾向を考えると差し遅れの不安は付きまとうが、それでも一叩きされた上での東京コースと条件は明らかに好転。また3歳牡馬が【0-2-0-8】と苦戦しているのと対照的に3歳牝馬は【2-2-1-7】、連対率33%と優秀で、4歳以上の牡馬より4kgも軽い斤量は大きなアドバンテージ。外枠馬の買える条件を二つとも満たしそうなのがこの馬のみということからも高い評価を与えたい。

△ブルーム
データ上は過去10年で外国馬の好走歴はないものの、例年以上に時計のかかる今の東京芝コースならば外国馬にもチャンスはあるように思える。特にブルームの前走・BCターフ(米・芝2400m)の走破タイムは2:26:0と悪くなく、若干緩和された日本の高速馬場になら対応する可能性を感じる。また近2走は後方から競馬をしているが、今年のサンクルー大賞(仏・芝2400m)では逃げ切りV。乗り方次第では好枠を活かしての激走の目もある。

以下、7歳を迎えた今年もGⅠで見せ場を作ってきたキセキまで印を回す。理想の形は5枠8番から逃げて2着になった18年のジャパンC。飛ばしすぎた昨年よりも余裕あるレース運びが出来れば。そして人気が予想されるシャフリヤールは無印評価。元々体質が弱いところに不良馬場での敗戦は相当なダメージがあるはず。神戸新聞杯組が菊花賞で結果を残せなかったことも踏まえると、ここでは静観が妥当なように思う。

▽ジャパンC予想▽
◎コントレイル
◯オーソリティ
▲ユーバーレーベン
△ブルーム
×キセキ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



《関連記事》
【ジャパンC】コントレイル、有終の美を飾れるか! 3歳馬シャフリヤールにとって気になるデータとは
【ジャパンC】「好位から中団」「内をロスなく立ち回れる馬」が好走 久々の硬い芝ならコントレイル有終の美
【ジャパンC】コントレイル、シャフリヤール以上の期待感 充実期に入った良血馬オーソリティ

おすすめ記事