【ジャパンC】コントレイル、シャフリヤール以上の期待感 充実期に入った良血馬オーソリティ

坂上明大

2021年ジャパンカップの参考レース,ⒸSPAIA

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全兄アルアイン以上の瞬発力

一流馬の参戦が少なくなった近年のジャパンCだが、今年はBCターフ上位馬と仏G1牝馬の3頭が参戦予定。日本勢も昨年の三冠馬コントレイル、今年のダービー馬シャフリヤール、オークス馬ユーバーレーベンなど役者に不足なし。まずは日本勢の勢力図を整理していきたい。

【日本ダービー】
例年とは異なる馬場状態が続き、Cコースに替わった当週も内有利にはならず。むしろ、一日通して外目が伸びており、長い直線を活かした外差が決まりやすいトラックバイアスであった。レースはバスラットレオンがハナを切り、タイトルホルダーが2番手。前半1000m60.3、1000~1400m25.2とペースは緩く、後半1000mは57.0秒という高い終盤力が求められる展開となった。

1着馬シャフリヤールは福永騎手のエスコートのもと道中のロスを最小限に抑え、ゴール直前でエフフォーリアを差し切った。ラスト5Fは11.8-11.3-11.3-11.0-11.1程度と高速ラップを4F計時。全兄アルアインほどの先行力や馬力はないが、父譲りの瞬発力は本馬の方が数段上だ。2着馬エフフォーリアが天皇賞秋を制したことを考えれば、当然本馬にも期待がかかる。

3冠馬の意地

2021年天皇賞(秋)の展開/馬場バイアス,ⒸSPAIA



【天皇賞(秋)】
当週からBコースに替わって最内から3m外に仮柵が設置。綺麗な馬場状態でレースが行われ、極端なトラックバイアスは感じられなかった。レースはマイル路線で活躍するカイザーミノルが先手を取ったが、その後は落ち着いて前半1000m60.5のスローペース。本格的なペースアップも残り600mからで純粋な末脚比べとなった形だ。

2着馬コントレイルはゲートの駐立が悪く、中団からの競馬。道中は手綱を引いて頭を上げる場面もあったが、本馬としては許容範囲の追走であった。「無難に乗った」という批判もあるようだが、ポジションを取りに行けば上がり3F33.0の末脚は使えていない。現状のコンディションでやれるだけのことはやった結果だろう。スローペースで着差は大きくないが、4着以下にはしっかりと力差を見せつけている。ただ、2400mに距離延長する今回は折り合い面が課題になりそうだ。

4着馬サンレイポケットは初角で挟まれて位置取りを下げたが、向正面に向いてから内々を進行して巻き返す形。直線もジャングルポケット産駒らしい息の長い末脚を披露して3強に次ぐ着順を獲得した。1997年ステイヤーズS2着馬アドマイヤラピスを3代母に持つ血統。距離延長も問題なく、相対的にコントレイルとの差が詰まる可能性は高いとみる。

超良血馬が充実期に

【アルゼンチン共和国杯】
週中に降雨がなく、天皇賞(秋)週から引き続き良好な馬場状態。トラックバイアスはフラット。レースはボスジラがハナを切り、前半1000m63.4のスローペース。流れが遅く折り合いに苦労する馬が多かったが、末脚も十分に決まるレースではあった。

1着馬オーソリティは過去最高馬体重で仕上がり途上。好位馬群で何とかタメを利かせたが、4角では逆手前になる場面があった。それでいて、トップハンデを背負って2馬身半差の快勝。このメンバーでは力が違い過ぎた。心身ともに充実期にあり、東京芝2400mもベストの舞台だろう。

名牝の血が騒ぐ

昨年の三冠馬コントレイル、今年のダービー馬シャフリヤールはともに地力に疑いようがなく、ここでも大きく崩れることは考えづらい。ただ、それ以上に期待するのは充実期に入った良血馬オーソリティだ。母ロザリンドは2014年優勝馬エピファネイアの全妹。東京芝2400mでは名牝シーザリオの血が騒ぐ。穴はサンレイポケット。海外勢ではブルームを最上位に評価する。

注目馬:オーソリティ、サンレイポケット、ブルーム

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。



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