【東スポ杯2歳S】「脚質」「直線進路」ともにフラットで地力問われる馬場 ハイレベルの新馬戦圧勝イクイノックス

三木俊幸

2021年東スポ杯2歳S出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA

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今週からCコース

3冠馬コントレイル、ダービー馬ディープブリランテとワグネリアン、皐月賞馬イスラボニータと錚々たる活躍馬を輩出している出世レース、東京スポーツ杯2歳S(GⅡ・芝1800m)。今年も素質の片鱗を見せつけてきた楽しみなメンバーが揃った。来年に向けて、東京コースで素晴らしいパフォーマンスを披露できそうな馬を探すため、まずは先週末の東京芝コースの馬場傾向を振り返っていこう。

週中は月曜日に1.5mm、火曜日に51.5mmの雨が降ったが、週末は良馬場。土曜日のクッション値は9.1、ゴール前含水率15.2%。日曜日はクッション値9.2、ゴール前含水率14.3%。秋の開催が6週目となったものの、開催序盤と比較しても数字上の変化は見られなかった。

先週の東京芝コース、3着内馬の脚質,ⒸSPAIA



3着内馬の脚質について振り返る。芝では土日で合計13レースが行われたが、4角先頭だった馬が馬券圏内に入ったのはわずか1回。しかし4角2〜4番手は5勝、2着6頭、3着6頭。4角5〜7番手は4勝、2着5頭、3着3頭。4角8番手以下は4勝、2着2頭、3着3頭と、脚質による有利不利はあまりない馬場状態だったと言える。

先週の東京芝コース、3着内馬の直線進路,ⒸSPAIA



続いて、3着内馬が直線の残り200m付近で内から何頭目のコースを通っていたかという点についても調べてみた。こちらも最内を通って伸びてきた馬はいなかったものの、内から2〜4頭目が4勝、2着7頭、3着6頭。内から5〜7頭目が5勝、2着3頭、3着6頭。8頭目より外が4勝、2着3頭、3着1頭という内訳。最内以外であればどこを通っても伸びてこれる状態にあった。

今週からCコースに変わることで、最内を通って上位に好走する馬も出てくる可能性はあるが、基本的には「脚質、直線の伸びるコースはフラット」な馬場でのレースとなりそうだ。

新馬戦の3着馬はアルテミスSを勝利

2021年東スポ杯2歳S馬場適性チャート,ⒸSPAIA



レース当日の土曜日にかけても雨の心配はなさそうで、各馬の地力が問われるだけに、これまでのレース内容から適性について分析していく。馬名の前の☆は特に注目したい馬を表している。

【☆イクイノックス】
新潟芝1800mの新馬戦は前半1000mが60.5という流れを3番手のインでピッタリと折り合い、直線では持ったまま先頭に並びかけて後続に1.0秒差をつける圧勝劇だった。3着だったサークルオブライフがアルテミスSを制し、4着サトノヘリオスはレコードで未勝利勝ちを果たすなど、メンバーレベルも高かった。スタート直後の12.8を除くと道中12.2以下のラップが続いた展開となったが、スローペースの瞬発力勝負にも対応できそうな反応の良さを見せていただけに、ここも通過点であってほしい。

【レッドベルアーム】
宝塚記念当日の新馬戦は前半1000m通過が60.1と流れた中、好位からレースを進めてゴール前きっちりと差し切るという、レースセンスを感じる内容だった。当時はまだまだ馬体が緩かっただけに休養を挟んでどれだけ成長しているかがカギを握りそう。ただ、兄たちほどの瞬発力はなく、持久力勝負で強さを発揮するタイプにも映る。

【ダンテスヴュー】
デビュー戦は後方からレースを進め、上がり33.1を使って追い込んできたものの反応が鈍く2着。それでも2戦目はきっちりと変わり身を見せ、2:00.9という好タイムで勝利した。まだ幼い面があるが、跳びが大きく広いコース向きなのでチャンスはありそうだ。

【アルナシーム】
函館芝1800mの新馬戦は、スタートで出遅れたうえに前半は折り合いを欠きながらの追走。それでも3角から徐々にポジションを押し上げ、直線に向いてからの脚は素晴らしく後続に0.3秒差をつけて勝利した。今回、広い東京コースになって同じく荒削りなレースぶりで通用するかという点が気になるが、ポテンシャルの高さはここに入っても上位と言えるだろう。

【アサヒ】
新馬戦は上がり33.6の末脚で伸びるも2着。勝ったジオグリフは札幌2歳Sを勝利しており、相手が悪かった。2戦目は同じレースで3着だったアスクビクターモアに敗れてまたも2着。しかし出遅れて捲る競馬になったことが敗因、アスクビクターモアはその後アイビーSで3着とまずまずの結果を残していることから、アサヒ自身の力はここでも通用するものがあると言える。東京芝1800mの経験も豊富で、上位に評価したい一頭だ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。



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