【マイルCS】強い3歳マイル路線の大将格！　シュネルマイスターが状態不安の古馬撃破へ

2021/11/18 11:00

坂上明大

ⒸSPAIA

この記事のレース

マイルチャンピオンＳ

GⅠ

11月21日(日)　阪神11R

歴代2位の好時計

昨年同様に阪神競馬場を舞台に行われるマイルチャンピオンシップ。夏競馬、そして秋の始動戦と現3歳世代の快進撃が目立ったが、一昨年覇者インディチャンプ、昨年覇者グランアレグリアの参戦で古馬勢も負けられないメンバーが揃った。芝マイル路線の今後を決定づける重要な一戦となりそうだ。

【NHKマイルC】
水曜に1.0mmの降雨、月～木曜には散水を実施するも時計は速めの馬場状態。ただ、Aコース最終日とあってやや「外有利」の傾向が続いた。レースはピクシーナイトが抑え切れない手応えでハナに立ち、前後半3F33.7-34.7の前傾1.0秒。ハイペースの「後有利」と評価。

1着馬シュネルマイスターは先行争いを尻目にマイペースで中団につけ、ゴール直前でソングラインをハナ差差し切る。馬のリズムとペースに対するバランス感覚はさすがルメール騎手といったところ。勝ち時計はNHKマイルC史上歴代2位の好時計であり、次走の安田記念、そして毎日王冠での走りも当然の結果といえるだろう。

3着馬グレナディアガーズはレース前からテンションが高く、スタート時には発汗の跡。レースでも力み気味の追走であり、展開も向かなかった。課題は多いが、改めて地力の高さを証明する走りだったともいえる。ちなみに、次走の京成杯AHはいつもの行きっぷりが見られず。調整パターンを変更したことが裏目に出たか。

9着馬ホウオウアマゾンは押して2番手につけたが、3～4角で逆手前になり、展開も向かなかった。スワンSでの巻き返しは当然の結果だろう。

負けて強しの2着

2021年マイルCSの参考レースインフォグラフィック,ⒸSPAIA

【安田記念】
当日に弱い雨が降るも馬場への影響はなく終日良馬場での開催。ただ、内目の馬場状態は荒れ気味で「外有利」のトラックバイアスではあった。レースはダイワキャグニーが躓きながらもハナを奪取。その後は競りかける馬もおらず前後半3F34.9-33.9。後傾1.0秒はデータのある範囲で2016年に次ぐ2番目に遅い流れであったが、600～1000mは11.5-11.4とまずまずのラップを刻んでおり、結果的には東京のマイル戦らしい決め手勝負となった。

2着馬グランアレグリアは序盤の行きっぷりがヴィクトリアマイル時とは比べ物にならず、向正面ではゴチャついてポジションを下げる形に。上がり3Fは11.0-10.9-11.0程度と素晴らしい末脚を見せたが、トラックバイアスの影響もありダノンキングリーには頭差届かなった。中2週の疲れはあっただろうし、勝ち馬には完璧に乗られた結果。現役最強マイラーであることには変わりなく、秋初戦の天皇賞（秋）でも超一線級を相手に好勝負を演じた。ただ、今回の課題も中2週のローテーションといえるだろう。

3着馬シュネルマイスターは中3週でも元気一杯。2011年優勝馬リアルインパクト以来の3歳馬としての好走となり、その後に快進撃を見せる現3歳世代のチャンピオンとして素晴らしい挑戦であった。そして、秋初戦の毎日王冠では本レース優勝馬ダノンキングリーに勝利。着実に力をつけており、春以上の結果を期待させる充実ぶりである。

4着馬インディチャンプは高松宮記念以来の実戦で自己最高タイの馬体重。毛ヅヤの良さは目立ったが、少々仕上がりが甘かったか。今回も安田記念以来の実戦となるため、状態面がポイントとなるだろう。

8着馬サリオスは向正面でギベオンのカットインにより減速。さらに直線でも挟まれる不利を受けており、スムーズなら掲示板内には食い込んでいただろう。ただ、本馬についても体質の弱さから安田記念以来の実戦となるため、状態面は要確認だ。

3歳世代の大将格

エイジアローワンスが1キロとなった2001年以降苦戦傾向が続く3歳馬だが、今年の3歳マイル路線は近年稀に見るハイレベル。その大将格であるシュネルマイスターは当然今回も注目の一頭であり、春の安田記念以上の結果が期待される。古馬勢も強力馬が揃ったが、どれも状態面に不安が残る現状。本馬は至極順調な滑り出しを見せており、阪神での開催という点も追い風とみる。

注目馬：シュネルマイスター

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。