【東スポ杯2歳S】GⅡ昇格元年! ここを突破しクラシック候補へ名乗りをあげるのは?

勝木淳

東スポ杯2歳Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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1枠強し、キャリア3戦以内が目安

世代の素質最上位馬が名を連ねるクラシックの登竜門的レースとあって、今年からGⅡに格上げ。2年連続で勝ち馬はホープフルSを制覇、暮れから来春を展望する上で重要なレースだ。ここでは過去10年間のデータをもとに好走傾向について考えてみたい。


過去10年東スポ杯2歳S人気別成績,ⒸSPAIA


さすがに世代屈指の素材馬が集まるレースとあって、1番人気は【5-1-1-3】勝率50%、複勝率70%と勝ち切る傾向が強い。2番人気【2-3-0-5】勝率20%、複勝率50%など4番人気以内の好走確率が高く、5番人気【0-1-1-8】複勝率20%以下とは隔たりがある印象。ほぼ順当な結果になる。


過去10年東スポ杯2歳S枠別成績,ⒸSPAIA


特徴的な傾向に枠番別成績がある。1枠が【4-0-3-4】勝率36.4%、複勝率63.6%と圧倒的。このレース、ここ2年は8、10頭立てと少頭数。2歳重賞は各陣営の使い分けにより、少頭数になりやすい。そのため、1枠は揉まれるリスクが低下し、最短距離を走りながらも進路をしっかり確保できる。これが1枠有利を後押ししている。一方、少頭数ゆえに1枠は出走数がそもそも少なく、確率が高くでやすいという側面もある。4枠【0-0-0-15】は気になるが、1枠を除けば、内外では若干外枠の勝率は低いものの、複勝率ではほぼ同じ。


過去10年東スポ杯2歳Sキャリア別成績,ⒸSPAIA


2歳重賞において重要なキャリア別成績について。前走新馬のキャリア1戦は【4-3-2-18】勝率14.8%、複勝率33.3%。勝利した4頭はディープブリランテ、サトノクラウン、コントレイル、ダノンザキッドといずれもGⅠ馬。2戦2勝で突破した馬の未来は明るい。

これ以外だと2戦【3-7-5-24】勝率7.7%、複勝率38.5%、3戦【3-0-1-24】勝率10.7%、複勝率14.3%までだろう。4戦は【0-0-2-19】複勝率9.5%、5戦以上は【0-0-0-5】。北海道でキャリアを重ねたトーセンヴァンノには厳しいデータだ。


前走1800m新馬組は競馬場と着差がカギ

では前走新馬とキャリア2戦以上の馬にわけて、好走傾向の違いについて考えてみよう。


過去10年東スポ杯2歳S前走新馬組距離別成績,ⒸSPAIA


まず1戦1勝馬の前走について距離別成績を出す。ここと同じ1800mだった馬は【4-2-1-10】勝率23.5%、複勝率41.2%。好走馬の大半は前走1800mの新馬戦だった。今年はイクイノックス、アルナシーム、レッドベルアームなどが当てはまる。一方、1800mより長かった馬は【0-1-0-3】なので、東京芝2000mの新馬を勝ったテラフォーミング、デリカテスなども割り引く必要はないが、1800mの新馬を勝った馬を上位にはとりたい。


過去10年東スポ杯2歳S前走新馬1800m組場所別成績,ⒸSPAIA


もう少し絞りたいので、前走の新馬戦が1800mだった馬がどこの競馬場で走ったのかについて調べると、阪神が【3-0-1-1】勝率60%、複勝率80%と目立つ。3勝の内訳はディープブリランテ、コントレイル、ダノンザキッド。今年ここに当てはまるのがレッドベルアーム。その着差が0.3差以上だと【3-0-0-0】、圧勝なら文句なしだ。レッドベルアームの前走は0.1差なので微妙。このレースで5着だったキラーアビリティこそ次走小倉で勝ちあがったものの、ほかは勝ち上がりもなく、レッドベルアームも過信禁物か。

また平坦で時計が出て、かつほぼ超スローペースになる新潟芝1800mの新馬戦が前走だった馬は【0-0-0-4】。軽すぎる競馬だったことが災いしている様子。1秒差圧勝だったイクイノックスには不安なデータだ。

一方、アルナシームの函館芝1800mの新馬戦が前走だった馬はこの10年、出走なし。00年までさかのぼっても【0-0-0-1】。データからは評価できない。しかし、レッドベルアームのデータのように前走1800m新馬勝ち、かつ着差0.3以上は【4-0-1-9】勝率28.6%、複勝率35.7%。アルナシームは最有力候補ではないか。


過去10年東スポ杯2歳Sキャリア2戦以上組前走クラス別成績,ⒸSPAIA


ではキャリア2戦以上の馬はどうだろうか。前走クラス別成績をみると、目立つのはGⅢ【3-1-0-10】勝率21.4%、複勝率28.6%。今年は札幌2歳S3着のトーセンヴァンノが当てはまる。前走が札幌2歳Sだった馬は【2-0-0-4】。12年コディーノ、18年ニシノデイジーが勝利した。ただし、札幌2歳Sでの着順の内訳は1着【2-0-0-1】、2、3着は【0-0-0-3】なので、トーセンヴァンノはキャリア5戦も合わせ、例年なら強く推せない。

一方、前走が未勝利だった馬は【0-2-3-20】複勝率20%と馬券圏内に顔を出すものの、勝ち馬は出ていない。アサヒやダンテスヴュー、テンダンスなどは連下扱いといった感じだろうか。


過去10年東スポ杯2歳S前走未勝利組距離別成績,ⒸSPAIA


その未勝利組の距離別成績を新馬組と同じく出してみると、新馬組でよかった1800mは【0-0-1-7】複勝率12.5%と対照的に低め。ここは混同しないようにしたい。アサヒやテンダンスがこれに該当する。未勝利組は1600m【0-0-2-3】複勝率40%がよく、次に2000m【0-2-0-9】複勝率18.2%を評価したい。中京芝2000mで未勝利戦を勝ったダンテスヴューはギリギリセーフといったところか。

函館芝1800mの新馬戦で後方から差して0.3差つけたアルナシームが、データから最有力候補であり、大物の予感がある。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 00年代前半戦』(星海社新書)。


東スポ杯2歳Sインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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