SPAIA競馬
トップ>ニュース>【アルゼンチン共和国杯】2勝クラスでオープン級の指数を記録したフライライクバードが有力 実力最上位は昨年の覇者オーソリティ

【アルゼンチン共和国杯】2勝クラスでオープン級の指数を記録したフライライクバードが有力 実力最上位は昨年の覇者オーソリティ

2021/11/06 17:00
山崎エリカ
2021年アルゼンチン共和国杯PP指数,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

同条件でも目黒記念と真逆の展開になる傾向

東京芝2500mで施行されるレースは、1年間で目黒記念とアルゼンチン共和国杯の2レースのみ。しかし、この2レースはペースが真逆の展開になることが多く、目黒記念とアルゼンチン共和国杯の適性はあまりリンクしない。2019年、2020年の目黒記念をともに2着したアイスバブルや2018年、2019年のアルゼンチン共和国杯で2着、1着とともに連対したムイトオブリガードのような馬が出現する一方、目黒記念とアルゼンチン共和国杯を連覇した馬や連続連対した馬は、過去10年でゼロである。

今年の目黒記念は逃げ馬不在でダート馬が逃げたことで超絶スローペースになったが、例年の目黒記念は前に行ける馬が積極的に動いて、緩みなく流れることが多い。目黒記念は日本ダービーの後に行われるせいか、騎手がヒートアップするのが理由のようだ。

一方、アルゼンチン共和国杯はペースが遅くなることが多く、過去10年4角12番手以下から連対したのは、2011年のオウケンブルースリ(1番人気)のみ。また、差し馬も苦戦傾向で基本的には中団より前か、最後にもうひと脚使える馬が優勢のレースである。今回も逃げ、先行馬が手薄なだけに、アルゼンチン共和国杯らしい展開になる可能性が高いと見る。

能力値1~5位馬の紹介

2021年アルゼンチン共和国杯PP指数,ⒸSPAIA



【能力値1位 オーソリティ】
昨年のアルゼンチン共和国杯は、前半ペースが比較的速く、6F目から一気に遅くなり、ラスト3Fの瞬発力比べという特殊な流れ。ペースが速い前半で大外から出して先行し、リードを奪いに行っての優勝は、かなり褒められる内容だった。

その次走の有馬記念では、休養明けでアルゼンチン共和国杯を好走した反動が出て大敗したが、続くダイヤモンドSでは好位の中目で流れに乗り、3着以下を5馬身引き離し、後に行われた天皇賞(春)の勝ち馬ワールドプレミアよりも高い指数を記録して2着と激走。

前走の天皇賞(春)は、ダイヤモンドS激走から立て直しながらの出走だったので能力を出し切れなかったが、条件が揃えばGⅠでも好走できる実力を持っている。今回は休養明け、トップハンデで全能力を出し切れるか微妙なところではあるが、昨年よりも相手が楽なのも確か。重い印は外せない馬である。

【能力値2位 マイネルウィルトス】
3走前の不良馬場だった福島民報杯では、2着馬に1.8秒差の大差勝ちを収めた馬。しかし、3走前はまるで米国のダート戦のような極端な前傾ラップの消耗戦となったもの。前へ行った馬がどんどん脱落して行く中で、先行策から押し切って圧勝したことにより、スタミナが豊富な馬であることは証明された。しかし、アルゼンチン共和国杯で求められる適性は、ある程度前の位置につけるスピードと瞬発力である。

ただ、3走前の疲労残りが懸念された前々走の函館記念でも大崩れせず、前走の札幌記念では4着と力をつけている。だからこそマイネル軍団の主戦、M.デムーロ騎手への乗り替わりだろう。持久力に富んだ馬だけに、今回距離が延びることも歓迎だが、理想を言えば楽に前の位置が取れる3000mくらいまで距離が欲しい。

【能力値3位 フライライクバード】
4走前の長良川特別では、2勝クラスとしてはやや速い流れを3列目の内々でレースを進め、4角で2列目外から7馬身差をつけて圧勝。オープン級の指数を記録して、高い素質を見せつけた。その次走ではさすがにダメージが残って大敗してしまったが、そこから立て直しつつ上昇し、前走の3勝クラス・ムーンライトHでは、2着馬に2馬身半差をつけ、再びオープン級の指数で快勝した。

この馬の能力の天井が低くければ、今回は前走のダメージ゙が残って凡退というストーリーになってしまうだろう。しかし、4走前に勝った2勝クラスのレースではオープン級の指数を記録した馬、もっと能力の天井は高いところにあると見ている。3歳時に芝2400mのアザレア賞でディープボンドに先着した実績もあり、順調にレースを使われている強みと、高い潜在能力が噛み合えば、十分に勝ち負けが期待できる。

【能力値4位 ボスジラ】
5走前にオープンの丹頂Sを勝利と能力を出し切れば芝の長距離重賞でも好走できる能力は持っている。前走の丹頂Sも昨年よりペースが遅い中、やや出負けし押して押しての追走で前3頭から離れた4番手からレースを進め、クビ差の2着と上々の内容。

スタートが下手な馬だけに内枠だと早い段階で前に入られ、ポジションダウンする危険性もあったが、今回は外枠。前走から更に前進があれば、チャンスは十分にある。ただ、どちらかというと好走実績は北海道に偏っており、東京芝コースの瞬発力比べとなると不安もある。

【能力値5位 サトノソルタス】
昨年の金鯱賞2着、今年の新潟大賞典3着と能力を出し切れれば重賞でも十分に上位争いできる馬。前走のオールカマーは超高速馬場のスローペースで、内と前が有利の展開だったが、外から良い脚で追い込み最短距離を走って優勝したウインマリリンと0.5秒差の6着。どちらかというと瞬発力に秀でたタイプで、前記の金鯱賞2着時も時計の掛かる馬場を2列目の外と前の位置でレースを進めていたものの、極端な上がり勝負での好走だった。

かつて青葉賞で凡退したこともあり、今回は距離延長に対応できるかという懸念材料もあるが、内々で脚をタメて末脚を活かす競馬ならチャンスは十分ある。

穴馬は2勝クラスでオープン級の指数を記録したアイアンバローズ

アイアンバローズは3走前の2勝クラス・白鷺特別では、ラスト6F目から一気にペースアップする流れを離れた3番手でレースを進め、2着馬に5馬身、3着馬に10馬身差をつけ、オープン級の指数で圧勝。能力の高さを見せつけた。

休養明けの前走、京都大賞典は最内枠だったため、1角で前に入られて進路が狭くなり、頭を持ち上げる不利。最後の直線も最内で進路が狭くなる場面があり、スムーズな競馬とは言えず、能力を出し切れなかった。能力を出し切れば今回はハンデも54Kgと軽く、十分に通用する能力を持っている。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)オーソリティの前々走指数「-28」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.8秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

《関連記事》
【アルゼンチン共和国杯】連覇狙うオーソリティは消し! ハイブリッド式消去法で浮上した本命候補は?
【みやこS】オーヴェルニュに巻き返し気配 長欠明け3戦目ヴェンジェンスも要チェック
【みやこS】コース傾向を徹底分析 データに合致したのはクリンチャーとスワーヴアラミス