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【アルゼンチン共和国杯】距離短縮組は30年間勝ち星なし 東大HCの本命はディアマンミノル

2021/11/07 06:00
東大ホースメンクラブ
アルゼンチン共和国杯インフォグラフィック,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

上がり勝負

11月7日(日)に東京競馬場で行われるアルゼンチン共和国杯 (GⅡ・芝2500m)。伝統のハンデ重賞に大舞台での飛躍を図る15頭が参戦する。

人気筆頭は昨年の覇者オーソリティ。GⅡ・2勝をはじめ重賞戦線で活躍している実績馬だ。骨折から約半年の休養明けとなるが、果たしてどのような競馬を見せるか。一方アンティシペイトやボスジラといった上位人気他馬は、重賞勝利こそないものの、条件戦で堅実な成績を残してきた。実績馬の横綱相撲か、はたまた新星の誕生か。GⅠ戦線への試金石となる一戦を占っていこう。はじめに、当レースにおける過去10年の傾向を分析する。


過去10年アルゼンチン共和国杯傾向,ⒸSPAIA


前半5Fが60秒を切った年は12年、14年、20年の3回だけ。スローな流れからの上がり勝負と見て問題なさそうだ。近年は特にその傾向が顕著で、レース上がりは33秒台や34秒台前半が多く、18年に関しては1・2着馬がどちらも32秒台を叩き出している。スタミナよりも直線でキレる脚のほうが求められ、実際上がり最速の馬は【3-4-3-1】と優秀。今年は明らかな逃げ馬が不在のため、直線勝負の傾向はますます強まるだろう。


過去10年アルゼンチン共和国杯脚質別成績,ⒸSPAIA


ただ、いくら末脚勝負とはいえあくまでスローな展開、差し損ねもしばしば見られている。脚質別で見ると最も有利なのは先行馬【5-3-4-28】。好位に取り付き展開の利を受けながらも、直線で脚を使い他馬を突き放す戦法が適しているのだろう。差し馬は【5-6-4-49】と勝利数は同じだが、複勝率で一枚劣る。


距離短縮組は割り引き

過去10年アルゼンチン共和国杯脚質別成績,ⒸSPAIA


続いて過去10年の前走距離別成績を確認してみると、距離短縮勢が【0-2-0-29】と不振。やはりここにも上がり勝負の影響が見られる。長距離を使ってきた馬は、キレ味という点で東京の長い直線には対応しきれないということだろう。過去30年まで遡っても、勝ち馬29頭(02年は中山のため除外)のうち28頭が距離延長組。面白いことに距離短縮組からは一頭も勝ち馬が出ていない。該当馬は大きく割り引く必要があるだろう。

距離延長馬の前走脚質に焦点を当てると、差し馬が4勝と最多。追い込み馬は2勝を挙げており、13年のアスカクリチャンと18年のパフォーマプロミスがこれに該当する。両馬とも前走では前を捕らえきれずに終わったが、アルゼンチン共和国杯ではしっかり脚を伸ばし差し切った。距離が延びたことの恩恵といえるだろう。


キレ味は本物

◎ディアマンミノル
この馬の持ち味は何といっても直線でのキレ味だろう。前走の京都大賞典では鋭い末脚を使って4着。過去6戦を取り上げると、同レースを含む4戦において上がり最速をマークしている。このところ脚を余すレースが続いているが、今回は直線の長さを活かせば十分届く可能性がある。また4歳馬が過去10年で【5-4-4-25】と最多勝利を収めていることも心強い。同じ東京芝2500mの目黒記念では14着と大敗しているが、これは進路が完全に塞がれたもので度外視できる。

◯オーソリティ
GⅡ・2勝と実績は最上位で、高い先行力をもつ。骨折からの休養明けではあるが、今回は他馬が比較的小粒のため実績だけで十分通用するだろう。昨年のアルゼンチン共和国杯を制した際も青葉賞からほぼ同期間の休養を挟んでおり、レース間隔に関しては問題ない。ただ一点気にかかるのが、前走天皇賞(春)からの大幅な距離短縮であること。さらに前々走はダイヤモンドSで2着と、長距離での良績が目立つようになった馬でもある。長く良い脚を使うことができる分、キレ味勝負となるとどうか。昨年こそ勝利したものの、重量が3.5キロ増す今年は一筋縄ではいかないだろう。

▲サトノソルタス
距離延長組からのチョイス。金鯱賞2着、新潟大賞典3着と重賞戦線でも堅実な成績を残している。前走のオールカマーでは重賞勝ち馬が掲示板を独占する中6着と健闘。反応してからは鋭い末脚で上がり最速をマークしており、今回のレースは向いている。前走オールカマー組は【2-2-1-16】と5頭が馬券圏内。ローテーションの面からも期待だ。ただ6歳馬の成績は【2-2-0-29】と、4歳馬には多少見劣りする点が気になるところ。ディープインパクト産駒の成績も【0-1-0-14】と振るわず、3番手の評価に留める。

△アンティシペイト
条件戦で堅実に走っている馬。前走オホーツクSでは上がり最速の脚を使った。湾岸S2着時の勝ち馬ウインキートスは目黒記念1着、オールカマー2着と優秀。同馬を物差しに考えると重賞でも十分戦えるといえるだろう。絶好調の横山武史騎手が手綱を取る点も心強い。

そのほか過去10年で最多の3勝を挙げているハーツクライ産駒から、アドマイヤアルバを押さえておきたい。

▽アルゼンチン共和国杯予想▽
◎ディアマンミノル
◯オーソリティ
▲サトノソルタス
△アンティシペイト
×アドマイヤアルバ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

アルゼンチン共和国杯の前走距離別成績,ⒸSPAIA




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