【みやこS】高齢実績馬の勝ち切りが近年のトレンド 京大競馬研の本命は重賞2勝馬スワーヴアラミス

京都大学競馬研究会

みやこSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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若い馬は近年不振、勢いより格と経験重視の重賞

11月7日(日)に阪神競馬場でみやこS(GⅢ)が行われる。帝王賞からの巻き返しを図るクリンチャーやオーヴェルニュ、重賞2勝のスワーヴアラミス、レパードSを圧勝したメイショウムラクモなど面白いメンバーが揃った。クリンチャー、オーヴェルニュ、スワーヴアラミスの3強にメイショウムラクモが挑む構図になっているが、3歳馬の勢いが勝るのか、はたまた別の穴馬の台頭があるのか、データを頼りに検討する。


みやこS過去11年、年齢別成績,ⒸSPAIA


まずはみやこSが休止された2018年を除く過去11年(10回)の年齢別成績を調べた。勝ち馬を最も輩出したのが4歳馬で【6-2-1-26】、単勝回収率が126%ある。2012年から2016年まで4歳馬が5連勝。ホッコータルマエやコパノリッキーが交流GⅠを総なめしていた頃とあって、重賞実績がありながらあえてここを選んだ4歳馬もいて、一時期はかなり優秀だった。ただ、前後にJBCや浦和記念などの中距離重賞が充実しており、そちらにメンバーが流れて強い4歳馬がここに出ないことが多くなったため、近年は不調気味。

代わって近年馬券になっているのが5、6歳馬。5歳馬が【1-3-5-48】の複勝率15.8%、6歳馬が【3-1-1-19】の複勝率20.8%。複勝率自体はいいとは言えないものの、GⅠでは足りないがオープンで実績を積んだ馬が直近3年は勝利しており、ここに出てくる実績馬が高齢化してきていると考えるべきだろう。今年もトレンド通りのメンバー構成となっており、実績ある人気どころは素直に信頼して良さそうだ。しかし年齢が高すぎると成績は落ち込み、7歳【0-0-2-6】、8歳以上【0-1-0-4】と勝ちきれないため、評価を下げたほうが良いか。

一方で3歳馬は【0-3-1-14】と不振。レパードSを勝ってここに臨んだ馬が4頭いたものの2着になるのが精一杯。先述したホッコータルマエも3歳時のこのレースは3着止まりで、その後の活躍からは考えられない敗戦だ。裏を返すとホッコータルマエですら超えられない経験値の差、高い壁が古馬と3歳の間にはあると考えられる。

同様に3勝クラスからの連勝もゼロ、未勝利戦から5連勝した2011年のトウショウフリークも2着に敗れており、勢いだけでは押し切れないレースとなっている。メイショウムラクモには厳しい戦いになりそうだ。


絶対バテないスタミナと先行力を武器に

◎スワーヴアラミス
夏の北海道で勢いを取り戻す連勝。とにかくズブい馬で、前走白山大賞典は2100mで折り合いがつきすぎた。最後も伸びてはいるが展開に泣いた敗戦でレース内容は良かった。絶対バテない、かからない点は大きな長所で、むしろ最初から最後まで追わないといけない騎手の方がバテる馬と言える。そんな騎手の疲れが軽減される距離短縮はプラス。前走2着馬のミューチャリーがJBCクラシックを勝ってレースレベルも証明された。昨年阪神開催の当レースで大敗しているが、不振だった昨年とは状況が違っておりあまり気にしていない。阪神ダ1800mの舞台はオークランドRCTを1分50秒2で圧勝した得意コースで、きっちり追われたら勝ち負け可能。

◯クリンチャー
ダート転向以降馬券を外したのがわずか2回と安定性が高い上に、1分50秒を切る走破時計も多く戦ってきたレベルも高い。JBC出走を予定していたため、休み明けでも状態は万全。そもそも休み明けを問題にする馬でもないので、仮にスピード負けする重馬場での勝負になっても今回のメンバーで3着圏内は外さないだろう。しかし7歳馬の勝利が無いのは不安材料で、その分評価を少し下げた。元々芝で切れ負けが隠せなくなってダート転向してきた馬。ダートで負けたレースも後ろから差し届かなかったものなので、前々で競馬をして欲しい。

▲オーヴェルニュ
帝王賞は7着も平安Sの反動が出たものと考えて度外視。砂を被らせずリズム良く行かせると父スマートファルコンと同様圧倒的な力を発揮し、理想的な形での能力だけならスワーヴアラミスより上だろう。ただ揉まれるとあっさり沈むため乗り難しいという理由で3番手。それでもGⅠ以外での安定性を考えると大敗は考えにくい。

△ロードブレス
前走エルムS3着。早仕掛けをして垂れたウェスタールンドを最後差したもので高い評価は出来ないが、後方からの競馬に徹して直線だけ追い込めば、2、3着争いは可能。平安Sのように前付けだと全く伸びないため、展開の助けが欲しい。

×ダンビュライト
母タンザナイトのきょうだいにジャパンカップダート勝ち馬アロンダイト、クリソベリルの母クリソプレーズがおり、ダート馬としてみるとかなりの良血。先行力は高めなので粘りが効けば。

×メイショウムラクモ
先述したデータ上厳しい3歳馬。特に今年の3歳ダート馬は不作といわれており、事実ゴッドセレクションやウェルドーン、ユニコーンS勝ち馬スマッシャー、レパードS2着のスウィープザボードなど、古馬相手に太刀打ち出来ていない。レパードSは圧勝でそれらとは力が違う可能性はあるものの、時計面で強調できる材料がないため、人気上位の持ち時計との比較で分が悪い。

スワーヴアラミスから馬連5点で勝負。相手クリンチャーとオーヴェルニュの目については厚く張って、堅い決着でも利益が出るような馬券を買いたい。(文:福山)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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