【京王杯2歳S】例年以上の大混戦 データ一致はベルウッドブラボー1頭!

勝木淳

京王杯2歳Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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理想はキャリア2戦以上

東京競馬場の最寄り駅はJR府中本町と京王の府中競馬正門前。京王の改札を出ると、左手にある黄金のアハルテケ像が出迎える。フジビュースタンド3階へ続く通路を進むと、右手にパドック、左手にローズガーデンとウオッカ像が見える。競馬場にやってきたという高揚感を自然と抱かせる見事な演出だ。

東京競馬場に欠かせない京王電鉄の社杯である京王杯は2回。春の2回開催と秋の5回開催にあり、春は安田記念の前哨戦、秋は朝日杯FSのステップレース。この10年、京王杯2歳Sを経由して本番で好走した馬は8、11、7、2、2番人気。今年の朝日杯のヒントは、京王杯にあるかもしれない。ここでは過去10年間のデータを参考にレース傾向を探っていく。


過去10年京王杯2歳S人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【2-2-2-4】勝率20%、複勝率60%、馬券圏内には来るが、勝ったのは2頭のみ、ここは軸馬と考えたい。続く2番人気は【3-0-1-6】勝率30%、複勝率40%、目立つのは5番人気【3-1-1-5】勝率30%、複勝率50%。7番人気以下はやや確率が低く、6番人気以内で決まる場合が多い。


過去10年京王杯2歳S所属別成績,ⒸSPAIA


東京競馬場の重賞では珍しいことではないが、このレースも関西馬が【7-8-6-30】勝率13.7%、複勝率41.2%と強い。馬券圏内30頭中21頭が関西馬、加えてその単複回収値は123、145と高い。妙味も含め関西馬を狙ってみたい。


過去10年京王杯2歳Sキャリア別成績,ⒸSPAIA


2歳重賞ではキャリアも重要な要素。キャリア1戦は【2-0-0-13】勝率13.3%とちょっと狙いにくい。中心は2戦【5-5-4-30】勝率11.4%、複勝率31.8%と3戦【2-4-5-28】勝率5.1%、複勝率28.2%。さすがに東京芝1400m重賞となると、それなりにレース経験を積んだ馬が有利だ。


データ一致はベルウッドブラボー

ではここからは今年もたくさんいるキャリア2戦以上の組に注目、その好走パターンについて考えていきたい。


過去10年京王杯2歳S前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずキャリア2戦以上の馬が前走でどのクラスを走ったのか調べると(前走地方【0-0-0-3】を除く)、未勝利は【0-2-3-21】複勝率19.2%。馬券圏内の可能性は十分あるが、前走クラスならGⅢ【5-4-3-17】勝率17.2%、複勝率41.4%を狙いたい。ところが今年はこの組が不在で困った。ならばオープン【2-4-1-27】勝率5.9%、複勝率20.6%だろうか。今年の特徴は前走重賞組がいない反面、ラブリイユアアイズ、ベルウッドブラボー、ヴィアドロローサなど夏場のオープン以来の馬が多い点にある。


過去10年京王杯2歳S前走オープン組距離別成績,ⒸSPAIA


そこで前走オープン組のその距離別成績を調べる。1200mだと【0-2-0-13】複勝率13.3%だが、1400mは【2-1-1-7】勝率18.2%、複勝率36.4%、そこでの1着馬【2-1-1-2】勝率33.3%、複勝率66.7%。前走を勝った馬以外に好走例はない。ダリア賞を勝ったベルウッドブラボーがこのデータに一致する。ききょうS組は勝ったドーブネは朝日杯FS直行予定で、他は敗退馬のみ。

ベルウッドブラボーのダリア賞は8頭立てのスローペースで、最後の600m33.9。3番手から抜け出したベルウッドブラボーは一見、特筆すべきパフォーマンスではなかったが、最後の600mは11.8-11.1-11.0の加速ラップ。そんなに序盤から速くならない東京芝1400mの適性はありそうだ。

2歳重賞路線はかなり整備され、その分、分散化傾向にある。同日の阪神では同じ距離で牝馬限定のファンタジーSもあり、なおさら京王杯2歳SはGⅡ格であってもメンバーが集まりにくい。今年も例外ではなく、出走メンバーをデータに当てはめると、強調できるのはベルウッドブラボー1頭。前走重賞組が不在のため、今年はやや低調な気配。それだけに過去とは異なる結果になる可能性も十分考えておきたいレースだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 00年代前半戦』(星海社新書)。


京王杯2歳Sインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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