【秋華賞】オークスで好内容だったアカイトリノムスメ　一発逆転候補はオークスで先行策を強いられたステラリア

2021/10/16 17:00

山崎エリカ

ⒸSPAIA

この記事のレース

秋華賞

GⅠ

10月17日(日)　阪神11R

秋華賞創設以来、初めての阪神開催

今年は秋華賞創設以来、初めて阪神芝2000mで行われる。阪神芝2000mは京都芝2000mと比べると1角までの距離は若干長い約350m。スタート直後が上り坂のため比較的ペースは落ち着きやすいコース形態だが、上級条件となると京都の秋華賞同様に2角過ぎまでハナ争いが持ち越される場合もある。

今回は逃げ馬がエイシンヒテンのみで、同馬が内枠を引いたことから、エイシンヒテン、ソダシとすぐに隊列が決まり、例年ほど逃げ、先行馬に厳しい流れにはならないと見る。しかし、前哨戦のローズＳで2着に逃げ粘ったエイシンヒテンを、もう一度楽に逃げさすだろうか？

また、ソダシは自然色に逆らう真っ白さなので、最後方からでもどの位置にいるか、一目でわかる。オークス同様、後続勢が同馬を射程圏内に入れ、早めに動いてくる可能性がより高いだけに、差し馬優勢と見て、予想を組み立てたい。

能力値1～5位馬の紹介

2021年秋華賞SPP指数,ⒸSPAIA

【能力値1位　ソダシ】
昨年4戦4勝で阪神ジュベナイルＦ制し、休養明けで桜花賞を優勝した世代最強牝馬。オークスは休養明け好走後の一戦。前に厳しい展開を折り合いを欠きながら先行していたことや、2角で進路を失って躓いて下がる不利などが重なり、けっしてスムーズな競馬ではなかった。

前走の札幌記念では、かなりの強豪古馬を相手に強気な競馬で快勝。平均ペースで逃げるトーラスジェミニの外2番手でレースを進めた。3角では外から捲ってくるブラストワンピースに抵抗する形で、トーラスジェミニを交わして先頭へ。そして4角から仕掛けてそのまま押し切る横綱競馬で、成長力を見せた。

前走で記録した指数は自己最高の「-22」。前走と同等に走れればここも優勝する可能性は高いが、今回も休養明け好走後の一戦。2009年の札幌記念2着馬ブエナビスタ、2014年の札幌記念覇者ハープスターの次走のように、反動が出る可能性もある。ただし、芝2000mは守備範囲の距離である。

【能力値2位　アンドヴァラナウト】
これまでの6戦全て連対しているように、どんなレースにも対応できるのが魅力。前々走の出雲崎特別は超高速馬場を考慮しても、序盤から流れて前半5F58秒2のかなりのハイペース。この流れに乗って2列目の内でレースを進めた。直線序盤では包まれてダノンドリーマーに先に動かれる形となったが、ラスト1Fで馬群を捌いてグンと反応。同馬に1馬身1/4差をつけて快勝。

一方、前走のローズＳは台風一過の翌日で時計を要してはいたが、前半5F61秒2のかなりのスローペース。この流れを中団前目の外でレースを進め、3～4角でも3列目辺り。直線序盤でグンと反応して、一気に先頭列まで並びかけ、ラスト1Fで粘るエイシンヒテンを捕え最後は1馬身1/4差で優勝。この馬の前走指数は自己最高の「-19」を記録。前走が目一杯の感もあるが、一戦ごとの勢いはあるだけに、軽視もできない。

【能力値3位　アカイトリノムスメ】
かなりの好素質馬が揃った今年のクイーンＣの優勝馬。その後は桜花賞4着、オークス2着と着実に成長。さすがアパパネの娘という成長曲線を見せている。オークスは逃げ馬不在で、それまで逃げたことのないクールキャットが逃げる形。差し馬が先行したため平均ペースの範囲内には収まっていたが、各馬が初距離だったことを考えれば逃げ、先行馬には厳しい流れではあった。

アカイトリノムスメはソダシの直後を狙って序盤は先行したが、2角でソダシが包まれて位置を下げたため、そのあおりを受けて少しポジションダウン。さらに向正面で前がペースを落としたことで馬群が凝縮し、そこで我慢している間に、外から押し上げてくる馬がいて、3角では中団まで位置を下げてしまった。

3～4角もソダシの後ろから進み、4角出口で外を狙ったがそれも上手くいかず。再びソダシの後ろを取り、ラスト2Fで同馬の内を突いた。2列目から抜け出し前のユーバーレーベンに食らいついたが、最後は外のハギノピリナとの大激戦をハナ差制しての2着だった。

オークスは決してスムーズな競馬ではなかったが、ポジションダウンによって展開上は恵まれた。ただ、3角外から動いた馬が1着、3着、4着、5着と上位を独占したことを考えると、それらよりも好内容だった。また、3角から直線にかけて狭いところを捌いていく器用さも見られた。

今回は始動戦。また、距離の長いオークスで差し競馬をしたことから、今回は距離が短くなるだけに、やや流れに乗りづらい面も出てくるだろう。それでも成長力があれば、それらの不安点は克服してしまう可能性もある。

【能力値4位　アナザーリリック】
デビュー3戦目の道悪で前半4F45秒6-後半4F49秒2の超ハイペースとなったアネモネＳは、後方から3角で外を回って進出し、4角では好位まで押し上げ、ひと追いごとに伸びて勝利。

時計が速くなったＮＨＫマイルＣでは流れに乗り切れずに敗退したが、前走の佐渡S(3勝クラス)では速い時計にも慣れ、距離が延びたことも良く、古馬と初対決ながら後方から一気の差し脚。オープン級の指数で快勝した。

ただし、前走は斤量52Kg。今回は斤量が増えることなど、過大評価できないところもあるが、能力は高い。

【能力値5位　ユーバーレーベン】
出脚は遅いが、後方からしっかりと脚を伸ばすスタミナ豊富な馬。前走のオークスでは3角手前でペースダウンしたところで外に出し、そこから位置を押し上げて優勝。早仕掛けではあったが、いい脚を長く使える同馬の特性を生かした、最高の乗り方だった。

ただ、この手のタイプは本質がステイヤーで、叩き良化型が多い。休養明け緒戦から、最高クラスの走りが見せられるかどうか？高い能力は確かだし、オークス同様にソダシにマークが集まるなら、差しに徹することができる強みが活きる可能性もある。

穴馬はオークスで先行策を強いられたステラリア

ステラリアはデビュー3戦目の未勝利戦で1勝クラスの水準を上回るレベルの高指数で圧勝。素質馬が揃った休養明けのクイーンＣでは6着に敗れたが、スタートで躓いて後方からになったことで、忙しい競馬になってしまったもの。それでも4角大外からメンバー最速タイの上がり3Fタイムを記録、能力の片鱗は見せた。

前々走の忘れな草賞は中団から3～4角の外をロスを作りながら動いて快勝。当時倒したエイシンヒテンはローズＳの2着馬。前走のオークスは大外枠から折り合いを欠き気味に内に切れ込み、二番手史上主義の川田ポジションで競馬。本来、脚をタメてこその同馬がソダシより前の位置に上がったことで、ペース的にもステラリアの適性的にも苦しい競馬になった。

今回は前々走の忘れな草賞勝ちの舞台、阪神芝2000mに戻る。また、ステラリアは2番枠でソダシは4番枠。ソダシの出方を窺いながら動ける優位性がある。また、同馬はいい脚を長く使うユーバーレーベンと似たタイプだが、ユーバーレーベンよりも出脚がいい。敗戦時の敗因がはっきりとしているだけに、ここで一気に大逆転があっても不思議はない。

※パワーポイント指数(PP指数)とは？
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例）ソダシの前走指数「-22」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.2秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数＋前々走指数＋近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う！ netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。