【秋華賞】ソダシ1強も2番手以下は混戦 京大競馬研は上がり馬アナザーリリックにも注目

京都大学競馬研究会

秋華賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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ソダシ1強ムード。2番手以下もハイレベルで大混戦

10月17日(日)に阪神競馬場で行われる秋華賞(GⅠ・芝2000m)。桜花賞馬で実力も人気もNo.1のソダシが中心だが、紫苑S、ローズSをそれぞれ快勝したファインルージュとアンドヴァラナウト、オークス上位のユーバーレーベンやアカイトリノムスメなど2番手以下もハイレベルで大混戦だ。過去の傾向を踏まえながら予想していきたい。


オークスからの直行組が3年連続1着だが…

過去10年秋華賞好走馬ローテーション,ⒸSPAIA


まずは秋華賞好走馬の前走成績について見ていく(過去10年)。まず、ここ3年連続でオークスからの直行組が勝利している。2018年アーモンドアイ、2019年クロノジェネシス、2020年デアリングタクトとそうそうたるメンツだが、これらの馬は基本的に順調な過程で直行してきた馬。今年のユーバーレーベンは脚部不安で調整が遅れての参戦となるため安易に飛びつきたくはない。

アカイトリノムスメに関しては、輸送があるにも関わらず調教後馬体重がオークス時と同じなのはかなり気がかり。実際オークスからの直行で勝利した3頭はいずれも二ケタ増で出走しており、こちらも懸念材料。

また、その他のローテについては30頭中15頭を占めるローズS組が堅実。昨年を除く9回で好走馬が出ているのでレベルに関わらず買い目に入れておいた方が無難か。紫苑S組は重賞昇格後5頭の好走馬を出している。2着以下からの巻き返しも多いが、巻き返したのは紫苑Sでも負けて強しの内容だった馬たち。今年は1着ファインルージュが強い競馬をしていたと考えているので、この組からはファインルージュを中心に取りたい。


中距離以上の適性が重要?

過去10年秋華賞好走馬その後の好走距離,ⒸSPAIA


次に、過去10年の秋華賞3着内馬について、秋華賞以降の平均好走距離について調べてみた(「好走」は3着以内を指す)。秋華賞以降の好走がなかった4頭を除く26頭について、平均好走距離2000m以上が9頭、1800m以上~2000m未満が11頭、1800m未満が6頭だった。また、1800m未満の馬のうち5頭は1700m以上であり、1600m未満は1頭しかいなかった。

JRAの古馬牝馬限定重賞11レースの平均距離は1782m。これを考慮すれば、秋華賞好走馬は中距離以上に適性がある馬が多いということが言えそうだ。なお今回秋華賞以前の成績で判断しなかったのは、2・3歳時は桜花賞を照準としてマイル中心のレース選択となる馬が多いから。それもあって秋華賞時点で距離適性を見極めるのは難しいが、将来2000m付近のレースで好走できそうな馬か否かという観点でも考えたい。


ソダシは力量が違う

以上を踏まえて本命はソダシとする。言わずと知れた白毛の桜花賞馬でとにかく競馬が上手なのが強みだ。どんなレースでも好位に取り付いて、直線で早めに先頭に立って押し切るので隙らしい隙がない。前走の札幌記念では古馬相手に横綱相撲で勝利しており、すでに古馬の一線級と対戦しても勝ち切るだけの実力が備わっている。距離適性についても、札幌2歳Sでハイペースの1800m戦を早め先頭で勝利していることや札幌記念の内容を考慮すれば1800m~2000mがベスト。オークスの敗因は距離もあるが、2コーナーで外から入られ、ずっとエキサイトしていたことが響いた。2000mなら多少ハイペースでも押し切ってしまう力があるので流石に逆らえない。

対抗にアナザーリリック。前走の佐渡S(3勝クラス)での内容が非常に強い。道中は後方を追走していたが、直線で外に出されると一気に加速し後続に2馬身半差をつけて1着。2着馬ゴルトベルクは直後に3勝クラスを勝ち上がり、3着のモズナガレボシは格上挑戦で小倉記念を制覇しており、決してレベルが低くなかった中での快勝。非常に能力が高いと言ってよい。今回2000mは初めてだが、前走を見る限り折り合いはついており気性的には問題なく、1ハロンの延長には不安がないどころか、むしろ合っていそう。ソダシが早め先頭に立ち前を一掃するような展開が見込まれ、恵まれそう。重馬場のアネモネSでも勝っており雨が降っても問題なく、別路線組で人気がやや落ちるなら狙ってみたい。

3番手にファインルージュ。紫苑Sがただ1頭強い内容で、2000mは全く問題なくこなせていた。桜花賞でソダシ、サトノレイナスに続く3着だったことを考えれば、2000mまでならこの世代でもトップレベルと言ってよいだろう。特に前走の紫苑Sは2着以下を全く寄せ付けない内容であり、何度やっても勝ちそうなほど実力が抜けていた。成長次第ではソダシといい勝負になるかもしれないが、勝ち切るまでは厳しいとみて3番手。

4番手にアンドヴァラナウト。初の重賞挑戦となったローズSでは中団より少し前を追走し、直線であっさり抜け出す完勝。オークス上位馬を押さえての勝利であり世代の中でもトップクラスの力があることは示した。前走はスローペースの割に縦長で、有力馬の中では唯一まともな位置をとれていたことも大きく、恵まれた部分はあったが、スッとポジションを取れる機動力は持ち味。阪神2000mではそれも活きそうなところだ。ローズS組はほぼ毎年馬券に絡んでおり、当然軽視できない1頭だ。

5番手にアールドヴィーヴル。ローズSは中団からの追走だったが、前を捉えきれずの3着。休み明けの分もあって反応が遅くなってしまった感じで、最後は良く伸びていた。夏の間に馬体重を増やしてきたのも好材料で、春の実績を考えれば十分好勝負になりそうだ。

穴ではホウオウイクセルに注目したい。前走はゲートで立ち上がり大出遅れ。そこから4コーナーまでずっと馬群から離された追走になってしまい全くレースにならなかった。それでも最後は良く伸びてきており上がり3Fはメンバー中最速。13着と着順上は大敗だが着差は1.2秒差であり、そもそもゲートで1秒程度遅れているので、(計算上だが)出遅れがなければ好勝負になっていてもおかしくなかった。また前走は+24kgと大幅馬体増であり、叩いて締まりも出てくるはず。巻き返しがあっても良さそうだ。

アカイトリノムスメは、高い能力を持っていることは間違いないが馬体重が全く増えていないことが不満。3歳のこの時期で全く馬体重が増えておらず、長距離輸送でさらに減りそうなのはいただけない。能力の高さで来てしまうかもしれないが3着までという評価にとどめる。

ユーバーレーベンは中間に脚部不安を発症。何とか秋華賞出走にこぎつけたという感じで、流石に急仕上げの感が否めない。昨年もウインマリリンがフレグモーネ明けで大敗したように、不十分な仕上げで好走できるほど甘くはないだろう。能力は間違いなく高いのでここを叩いた次で狙いたい。

買い目としては◎ソダシからの馬連流しと、3連単1着固定で勝負したい。少々印が多くなってしまったが、2番手以下は混戦なのでトリガミにはならなさそう。万が一トリガミになりそうなオッズなら、強弱をつけた馬連のみとする。(文:川崎)

▽秋華賞予想印▽
◎ソダシ
◯アナザーリリック
▲ファインルージュ
△アンドヴァラナウト
×アールドヴィーヴル
×アカイトリノムスメ
☆ホウオウイクセル

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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