【サウジアラビアRC】コマンドライン順当勝ちも 記録的スローでGⅠへの評価は先送りに

SPAIA編集部

2021年サウジアラビアRCのレース結果,ⒸSPAIA

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コマンドラインが順当勝ち

サウジアラビアRC勝ち馬は17年ダノンプレミアムからグランアレグリア、サリオスと3年連続でのちのGⅠ馬になり、昨年の勝ち馬ステラヴェローチェは朝日杯FS2着、皐月賞、日本ダービーで3着、先日の神戸新聞杯でGⅡ勝利を挙げた。

この出世レース、今年も評判馬コマンドラインが早々に出走を表明したことも関係してか、集まったメンバーはわずか7頭。少数精鋭でのハイレベルな争い期待された中で、終わってみれば1着コマンドライン、2着ステルナティーア、3着スタニングローズ。以下、7着まで人気通りに入線し、3連単配当は670円という極めて堅い決着となった。

レースはまずケッツァーが好スタートを切ったが、ハナには立ちたくないとばかりに抑え、それを制してロードリライアブルが逃げる形。しかし、ロードリライアブル鞍上の横山武史騎手も手綱をがっちりと抑え、600m通過は37.7秒の超スローペース。さらにそこからもペースが上がらず、マイル戦で1000m通過62.6秒という記録的なスローとなった。

コマンドラインはゲートこそあまりよくなかったが、このスローを見るとルメール騎手が抑える力を緩めてじわりと2番手に進出。これはレイデオロでダービーを勝った際にも同騎手が見せた真骨頂。そのまま2番手で直線を向くと、前を行くロードリライアブルをきっちりと交わし、ステルナティーア、スタニングローズの追い上げを振り切った。

結果だけを見れば単勝2.2倍の1番人気で7頭立てのレースを制しただけだが、ルメール騎手の技術と判断を堪能できる濃厚な競馬だった。


判断に困る数字面

記録的なスローペースが原因とはいえ、勝ち時計1.36.4は遅いと言わざるを得ない。コマンドライン自身の新馬戦より1.0秒遅く、同日の3レースに行われた2歳未勝利(ラズベリームース、1.33.9)と比べても2.5秒遅い。レース上がり33.8秒もペースを考えれば強調できる数字でもなく、今回の上位勢が次走以降も重賞で好走できるのかは正直判断に困る。

あくまでここまでの経験値という意味で、コマンドラインは2戦続けて少頭数の外枠、スローという競馬になってしまった点が不満として残る。GⅠで締まったペースになった際に未知なだけに、朝日杯にしろホープフルSにしろ、本番で人気するなら嫌うという手は残る。

むしろ評価したいのは2着馬ステルナティーア。ステルヴィオの全妹で、レース前に陣営から引っかかる面への言及もあった馬。1000m通過62.6秒という中距離戦のような、いや、中距離戦でもスローといえるペースでなんとか我慢できた経験は、今後に向けて大きな収穫だろう。こちらもミドル、ハイペースはやってみなければ分からない部分が残ったままだが、阪神JFに駒を進めてくるようなら魅力的な1頭だ。


2021年サウジアラビアRCのレース展開図,ⒸSPAIA



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