【京都大賞典】前に行ける強みがあるステイフーリッシュが有力 穴は勢いもあるヒュミドール

山崎エリカ

2021年京都大賞典SPP指数,ⒸSPAIA

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開幕週の阪神芝2400mは内枠有利

今週から始まった阪神開催は、年末のホープフルSまでの3開催連続、計25日の超ロングラン開催になる。そのため3回開催前にAコースを、3回開催後にBコースを好範囲にわたって芝が張り替えられている。さらに9月上旬に洋芝のオーバーシートも施されており、長期間の使用を意識した耐久性ある作りになっているようだ。

8日金曜に発表されたクッション値は8.8と緩めだったが、これはおそらくエアレーション及びシャタリングをかなりかけた影響によるもの。開催が進むにつれて硬くなり、高速馬場を長く維持した日が続くだろう。また、4月上旬以来のAコース使用になるため、今週は全体的に内のほうが伸びるはず。

まして京都大賞典が行われる阪神芝2400mは、最初の1角までの距離こそ約350mとそこまで短くないが、1~2角が鋭角で内枠のほうが有利なコース。実際、今回出走のアイアンバローズは白鷹特別では内を回る最短距離の競馬をし、直線で外に出して勝利している。距離が長いので、展開は逃げ馬の出方ひとつだが、強力な逃げ馬が不在の今回はスローペースになる可能性が高いだろう。そこを踏まえて馬券を組み立てたい。

能力値1~5位馬の紹介

2021年京都大賞典SPP指数,ⒸSPAIA



【能力値1位 モズベッロ】
昨年の日経新春杯を勝ち、宝塚記念でも3着。今年も大阪杯2着など芝2000m以上のレースで実績多数。同馬は重馬場でかなり時計を要した前々走の大阪杯で自己最高指数「-24」を記録しているように、どちらかというと時計の掛かる馬場でスタミナ比べが得意。また、前々走はオーバーペースで逃げるレイパパレをサリオス、グランアレグリア、コントレイル等が潰しに動いて、しまいが甘くなったところを、馬場の良い外から差して2着に浮上したもの。展開に恵まれた面が大きい。

高速馬場で行われた日経新春杯は斤量52㎏とハンデに恵まれていたこともあり、出遅れを二の脚ですぐさま挽回。向正面で上がってきたプリンスオブペスカの外を、3~4角の半ばから動いて優勝。早仕掛けで押し切る好内容だった。しかし、今回は別定戦。開幕週でスローペースというのも好ましくないし、休養明け緒戦は指数を下げてくる叩き良化タイプで、過大評価はできない。

【能力値2位 ステイフーリッシュ】
芝2000m以上の古馬が相手の芝重賞レースで2着5回、3着6回と好走歴多数の実力馬。先行して粘り込む形が得意で、止まりそうで止まらないしぶとさが魅力。前走のオールカマーは大外16番枠。ひとつ内から逃げるロザムールの直後を狙って、押して行ったが、馬が進んで行かずに、好位の中目からの競馬になった。このあたりに心房細動明けの影響があったと推測される。しかし、このレースはウインマリリンやレイパパレなど、先行馬が揃っていたことも前に行けなかった理由のひとつである。

しかし、今回はオールカマー時ほど先行型が強力ではなく、開幕週のここで前に行けることは強み。今回は他の実績馬たちの大半が休養明けの中、夏から始動し、使われてきた強みもある。心房細動明けは次のレースでは取りこぼしやすいが、大半は取りこぼした次で変われることが多い。今回の最有力候補と見る。

【能力値2位 アリストテレス】
今年のAJCCの優勝馬。当時は不良馬場で、休養明けのそこで激走したため疲れが残り、その後は下降線となった。今回は立て直された効果が期待できる。同馬は昨年の菊花賞でコントレイル脅かした印象が強く、どちらかというと人気先行型の馬。しかし、菊花賞では道中コントレイルを外に出さないよう蓋をする形で追走。4角でコントレイルが先に動き、アリストテレスを外に出すという道中の攻防。そして直線ではマッチレースで3着のサトノフラッグを3馬身半差引き離した内容は確かに強いものだった。今回はスタミナが不足する休養明けだけに、早仕掛けをすると失速の危険もあるが、実力はあるので軽視できない。

【能力値4位 ヒートオンビート】
芝の中距離戦を使われ、徐々に上昇。前々走の大阪―ハンブルクC2着、前走の目黒記念でも2着になるまで上昇した。前々走は超スローペースで3~4角からペースが上がった中、中団外から動いて行くロスの大きい競馬を、後方の内から直線で外に出したミスマンマミーアにクビ差差される形となった。これは展開のアヤのようなもの。

前走は5F通過63秒9の超絶スローペース。ゲートを出たなりで、前2頭から離れた4番手の内でレースを進めた。そこから動かず、ラスト2Fで一気に末脚を伸ばし2着。勝ち馬ウインキートスを上回るメンバー最速の上がり3Fタイムを記録。同馬は休養明けではあるが、スローペースにも対応できる末脚が魅力で侮れない。

【能力値5位 キセキ】
2018年のジャパンCで逃げアーモンドアイの2着と好走し、指数「-29」を記録。また昨年の宝塚記念でも差して指数「-29」を記録した。極悪馬場の菊花賞も制しているように、馬場、脚質も不問でG1レースでの好走実績が多数。近走はQE2世Cで4着、宝塚記念でも5着と善戦していることからも、極端には衰えていない。しかし出遅れ癖があり、あてにならないところがある。この馬にとって今回はあくまで叩き台の面が強い。実力は認めても、過大評価はできない。

【能力値5位 アイアンバローズ】
今回と同条件の前々走、白鷺特別(2勝クラス)では好位から最短距離の競馬をし、直線で外に出して5馬身差の圧勝。オープン級の指数を記録した。また、前走の緑風S(3勝クラス)を勝利しているように勢いもある。近走は好位からの競馬で、メンバー最速の上がり3Fタイムを記録している。脚をタメればここでも通用する能力はありそうだ。ただ、春が順調だったのに、稼ぎどころのローカル重賞を使わず、相手が強いここへぶつけてくる点が気掛かり。半信半疑である。

穴馬は上昇軌道に乗ったヒュミドール

昨夏から芝路線に転向し着実に上昇軌道に乗ってきたヒュミドールが面白い。前々走のエプソムCは後方の内を追走していたところ、外からサトノフラッグが蓋をするような形で上がってきたため、直線で外に出せず、馬場の悪い内を通りながらも6着に善戦。

前走の小倉記念は、5F通過61秒4とペースが上がらないなか、中団外から向正面で好位まで位置を押し上げての2着と、内容が充実している。今回は休養明けの馬が多い中、夏場を順調に使われているので、計算しやすい。実績馬たちが能力を出し切れなければチャンス十分だ。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)モズベッロの前々走指数「-24」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.4秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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