【毎日王冠】ここを足掛かりに8歳で大輪の花を咲かせたカンパニー! 毎日王冠の歴史を振り返る

緒方きしん

毎日王冠過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA,ⒸSPAIA

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オグリやスズカも制したスーパーGⅡ

スプリンターズSはモーリス産駒のピクシーナイトが勝利。グラスワンダー、スクリーンヒーロー、モーリスから繋がってきたGⅠ制覇を成し遂げた。また、凱旋門賞では伏兵のドイツ調教馬、トルカータータッソが勝利。クロノジェネシス・ディープボンドらが遠征していたものの、日本競馬界の悲願達成は来年以降に持ち越しとなった。

今週はスーパーGⅡ毎日王冠。秋華賞、菊花賞、天皇賞・秋と、来週から続くGⅠラッシュに負けないハイレベルな戦いが期待される。春に念願のGⅠタイトルを獲得したダノンキングリーと3歳マイル王シュネルマイスターが安田記念以来の激突。さらにはドバイターフ以来の実戦となるヴァンドギャルド、6歳にして重賞初制覇を成し遂げ勢いに乗るマイネルファンロンなども参戦を予定している。

1950年創設の歴史ある一戦で、数々の名勝負が繰り広げられてきた毎日王冠。オグリキャップやサイレンススズカ、グラスワンダーといった名馬が、ここを制している。近年でもエイシンフラッシュやエイシンヒカリ、アエロリットらが毎日王冠の勝ち馬に加わった。今回は、スーパーGⅡ毎日王冠の歴史を振り返る。

1番人気は、ほぼ安定

毎日王冠過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


現在、1番人気馬は3連勝中。5年間でも4勝と、近年は1番人気馬が安定して成績を残している。2015年も、1番人気エイシンヒカリがイスラボニータ・アンビシャスらを相手に逃げ切った。そうした平穏決着に伴い、馬連配当も2020年5.8倍、2019年3.0倍、2018年6.7倍と手堅い配当に収まっている。

しかし2014年には1番人気ワールドエースが15着に沈む波乱が巻き起こる。優勝したのは武豊騎手とエアソミュール、2着には田辺騎手とサンレイレーザー。8番人気と11番人気の決着で、馬連は277.8倍となった。他にも2012年や2007年に馬連が万馬券になっていて、定期的に荒れることがある重賞と言える。

また、ここ3年は関東馬のワンツーが続いているのも傾向のひとつ。昨年2番人気のサトノインプレッサは10着、2018年の2番人気馬サトノアーサーは6着と人気馬が掲示板外に敗れているが、2頭はいずれも関西馬だった。

もちろん1番人気の関東馬ソウルスターリングが8着に沈み、リアルスティール・サトノアラジンと関西馬のワンツーになった2017年の例もある。ただ、上述した「荒れた毎日王冠」の2014年、2012年は関西馬のワンツーで、2007年も1番人気の関東馬・ダイワメジャーが3着に敗れたことによる波乱とも言える。波乱か平穏かのカギを握るのは関西馬かもしれない。

ベテラン馬が掴んだ覚醒のきっかけ

2009年の覇者カンパニーは、多くのファンの記憶に残る名馬だろう。2001年生まれ、04年クラシック世代。同期にはキングカメハメハやダイワメジャー、スズカマンボなど、競走馬としても種牡馬としても活躍した馬の多い、華やかな世代である。同じく01年生まれのハットトリックは海外で種牡馬となり、初年度産駒のDabirsimがフランスで大活躍を成し遂げた。カンパニーの父は、3戦1勝という地味な戦績ながら血統の良さで種牡馬入りを果たしたミラクルアドマイヤ。カンパニーはOP競走勝利・ラジオたんぱ賞2着の実績で菊花賞に参戦しているものの、結果は9着とそれほど目立つ戦績ではなかった。

しかし4歳シーズン最終戦となった05年京阪杯で重賞初制覇を達成したカンパニーは、その後06年大阪杯・07年関屋記念・08年中山記念&マイラーズCと、毎年重賞を制覇。その間、06年には宝塚記念(5着)、07年には天皇賞・秋(3着)・マイルCS(5着)、08年には天皇賞・秋(4着)・マイルCS(4着)とGⅠ勝利にはなかなか届かなかったものの、何度も好走は見せていた。さらに毎日王冠にも複数回挑戦し、05年7着、06年5着、08年5着。こちらでもGⅠと同じく掲示板までは食い込んだものの、分厚い壁に阻まれていた。

GⅢやGⅡでは勝利、GⅠでも好走しながら勝ち切れず──。同期が続々と引退し種牡馬として活躍をし始める中、カンパニーは王座を逃し続けていた。

そんなカンパニーの大きな転機となったのが、09年の毎日王冠だった。単勝1.3倍の圧倒的人気を背負い粘り込みをはかるウオッカを、上り最速の末脚で差し切り快勝。なかなか勝てなかった毎日王冠の舞台で、東京競馬場を得意としていたウオッカを真正面から倒したカンパニーは、覚醒を遂げる。

次走の天皇賞・秋ではウオッカ、スクリーンヒーロー、ドリームジャーニーらを相手にまたしても上り最速で差し切り勝ち。引退レースとして挑んだ次走マイルCSではついに1番人気に支持され、そこでも快勝して引退の花道を飾った。その時、カンパニーは8歳。引退レースには同期キングカメハメハの産駒も参戦していた。大ベテランの掴み取った怒涛の3連勝、その一つ目が09年の毎日王冠だった。

ジャスタウェイやエルコンドルパサーも『毎日王冠2着』馬

毎日王冠の歴代2着馬には、海外に遠征し活躍した馬も多い。豪GⅠを制したリアルインパクト、香港GⅠを制したエイシンプレストン、仏GⅠを制したエルコンドルパサー。帰国後に毎日王冠を走った馬も含めると、日本馬として初めて凱旋門賞へと挑戦したスピードシンボリや、米GⅢを制したダンスインザムードなども、毎日王冠2着馬である。

12年13年と連続2着のジャスタウェイは、14年のドバイデューティーフリーを制してワールド・ベスト・レースホース・ランキングの1位に輝いた。

今年は凱旋門賞以外にも、アメリカなど海外遠征が楽しみな馬が多い。来年もきっと、ドバイや香港、欧州などの海外遠征でファンを沸かせてくれる馬が多く登場することだろう。もしかすると今年の毎日王冠2着馬が来年、海外で大活躍することもあるかもしれない。

そうした夢を描きつつ、今年の毎日王冠も楽しみたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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