【スプリンターズS】「休み明け」「雨上がりの良馬場」「展開」3つが味方するダノンスマッシュに注目

三木俊幸

2021年スプリンターズS出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA

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Cコースで差しも届きやすい馬場

秋のGⅠシリーズの開幕戦、スプリンターズS(GⅠ・芝1200m)。春の高松宮記念の上位勢、ダノンスマッシュやレシステンシアが人気を集めそうだが、今回はそこに3歳馬のピクシーナイト、サマースプリントシリーズで好走してきたファストフォースも加わり、楽しみなメンバー構成となった。今回も先週末の馬場傾向と出走各馬の馬場適性の観点からレースを分析していく。

先週末から中山の芝はCコースを使用。週中は雨が降らず、9月25日(土)はクッション値10.2、ゴール前の含水率12.4%だった。この日は6レース中で平均ペースまたはハイペースとなることが多く、勝ち馬4頭が4角6番手以下。2、3着には4角3番手以内の馬も多く残っていたが、差しが届きやすかった。

翌日の26日(日)のクッション値は前日と変わらず10.2、ゴール前の含水率は12.0%と前日よりやや乾燥状態だった。加えて6レース中4レースがスローペースということもあってか、勝ち馬は5頭が4角3番手以内。残る1頭も4角4番手と前日に比べると全体的に先行有利の傾向が見られた。

そして両日とも共通していたのは、開催終盤に差しかかっているものの、まずまずの好タイムが出ていたという点。25日に行われた3歳以上1勝クラスの1200m戦は、2ハロン目から5ハロン目まで11.3が3回続き、ラストは11.5というレースラップで勝ちタイムは1:08.0。同日の2歳オープン、カンナSも1:08.8で決着しており、このタイムは過去5年で最速タイだった。

今週末も良馬場であれば時計の速い決着になることが予想されるが、金曜日に台風が関東地方へ接近する予報となっており、陸側の進路を通れば雨量は多くなる見込みだ。スプリンターズS当日には良馬場に回復しそうだが、先週以上に水分量が多い状態でのレースとなることは避けられそうになく、差し馬が台頭しやすい馬場になると考える。

展開が向きそうな差し馬は?

そうした点も踏まえ、出走馬の中から注目馬5頭をピックアップ。特に注目したい馬には☆をつけている。


2021年スプリンターズS出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA


【レシステンシア】
春の高松宮記念は重馬場の中、6番手追走から差す競馬で2着と好走しているが、本来は前走のセントウルSのように先行して押し切るタイプ。今回は快速馬モズスーパーフレアや折り合いに難のあるメイケイエール、さらにはビアンフェなどもいるため、ハイペース必至。前走ラスト1ハロンが12.3と失速しているだけに、無理に先行集団に取り付く競馬をすれば、最後の急坂で再び失速することも考えられるが、ルメール騎手なら行きたい馬を見ながらのレースを選択するだろう。

【☆ダノンスマッシュ】
高松宮記念を制した後に、香港へと遠征したものの6着と敗退。それ以来のぶっつけ本番となる。しかし休み明けに強く、2戦目にパフォーマンスを落とす傾向にあるタイプなだけに、この選択はプラスに作用しそう。1200m戦では上がりが速くなりすぎると不安があるだけに、雨上がりの馬場は歓迎。馬場、展開とも味方しそうだ。

【ピクシーナイト】
1200mに距離短縮されてから連続2着と好走。いずれも中団追走から差す競馬をしており、板についてきた。今回も展開は向きそうだが、CBC賞は4角最内をついたが直線で馬群がばらけたレースで、セントウルSは終始外を回るレースだった。機動力が高いとは言えないタイプで、馬群で包まれた場合にどうかという不安がある。

【ジャンダルム】
2走前の北九州記念は大外から伸びたものの7着。ハンデ57.5kgに加えてスタート後の接触も影響があったと言える。前走は出遅れて後方からのレース、4角13番手から上がり最速の32.6で追い込むも勝ち馬から0.2秒差の4着だったが、力を証明したレースでもあった。中山芝1200mでは3走前に強いレースを見せており、舞台適性はある。上手く流れに乗れれば3着内への好走があってもいい。

【アウィルアウェイ】
前走の北九州記念は展開が向かず14着と敗戦したが、502kg(+12)と過去最高馬体重で重め残りだったことも影響した可能性はある。後方からの競馬となるタイプなだけに展開に左右されやすいが、昨年のスプリンターズSでは最後方から3着まで追い込んだように、中山コースも問題なし。今年も差しが届きやすい馬場でハイペースが見込まれることから昨年の再現があるかもしれない。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。


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