【スプリンターズS】実力馬が順調に本番へ!穴馬の付け入る隙は少ない 参考レース分析からの注目馬は?

坂上明大

2021年スプリンターズSの参考レース,ⒸSPAIA

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スローペースの前残り

秋のG1シーズン第1戦、スプリンターズS。昨年優勝馬グランアレグリアが中距離路線に参戦したため、短距離路線は再び混戦模様に。ただ、サマースプリントシリーズでは3歳馬3勝、4歳馬2勝、5歳馬1勝と新興勢力の台頭が目立った。古豪vs新興勢力の力関係の整理が鍵を握りそうだ。

【北九州記念】
レース前から雨が強まったこともあり外有利のトラックバイアスは継続。レースはモズスーパーフレアが引っ張り、前後半3F33.2-35.0の前傾1.8秒。ただ、外目を通過した組の先頭基準では33.7‐34.5の前傾0.8秒。コーナーの距離ロスも考慮すれば、小倉芝1200mの古馬混合重賞としてはスローペースの部類だったといえるだろう。前有利。

2着馬ファストフォースは荒れた内目を避け、馬群を引っ張る形。2戦連続の重賞好走で地力強化は間違いないが、2戦ともトラックバイアスが向いた点は考慮する必要がありそうだ。

3着馬モズスーパーフレアは終始ラチ沿いを走り、ファストフォースとクビ差の3着。牝馬の56.5キロは実質トップハンデでもあり、今年も本番が楽しみな前哨戦であった。

7着馬ジャンダルムは発馬直後にメイショウケイメイと接触し後方からの競馬。身動きが取れず直線に向いてからの追い出しとなり、上がり3F11.5-11.4-11.2程度と完全に脚を余す形。不完全燃焼の一戦であった。

14着馬アウィルアウェイは12キロ増で過去最高馬体重。展開が向けば巻き返し濃厚の素質馬だ。

エイティーンガールの成長

【キーンランドC】
レイハリアが抜群のスタートを切って先手を取ったが、メイケイエールは発馬五分の時点で抑える気がなくハナを奪う形に。前半3F34.0なら我慢が利いているように感じるが、同馬はスタートから100mで遅れているため実質33秒台後半の出力で走っている。ピュアスプリンターではない同馬にとってはオーバーペースのラップ域だろう。レース全体は平均ペースで大きな有利不利はない。

2着馬エイティーンガールはいつも通り発馬で後手を踏んだが、向正面でのリカバリーがうまくいった。頭差届かなかったが、馬体重を増やしての2着には大きな価値がある。本番も差し馬向きの展開になればチャンスあり。

4着馬カイザーメランジェは2番手で流れに乗ったが粘り切れず。メンバーレベルを加味すると大幅に上積みが必要だ。

10着馬ミッキーブリランテは間隔を詰めていいタイプ。中10週で気配はひと息だった。

ハイパフォーマンスの3頭

2021年スプリンターズSの参考レース,ⒸSPAIA


【セントウルS】
3カ月ぶりの開催で休養中に広い範囲で芝張替作業を実施するも不揃いな部分がちらほら。内外のトラックバイアスは見られず。レースはシャンデリアムーンが内から主張して前後半3F32.9-34.3のハイペース。ただ、2番手のレシステンシアで同33.2-34.0の前傾0.8秒なら差し有利になるような流れとまではいえないだろう。

1着馬レシステンシアは楽に2番手につけて、後続の追撃も凌ぎ切る。文句なしの立ち回りを見せ、軽い馬場の芝1200m戦にも対応した。胸を張ってスプリンターズSヘ。

2着馬ピクシーナイトは中団外目で折り合い、直線は逆手前のままじわじわと伸びクビ差まで迫る。ラスト1Fの伸びは上位馬の中でも目立っており、本番が楽しみになる2着だった。大トビの馬だけに内枠は避けた方がベターか。

4着馬ジャンダルムはまともに出遅れて後方から。上がり3F32.6の鋭い末脚で追い込んだが、差し届かずレシステンシアから0.2秒差の4着に終わった。近走の出遅れ癖は今回も課題だが、発馬五分なら一線級相手でも十分に通用するだろう。

今年は実力馬が集結

高松宮記念2着馬レシステンシアは順調に前哨戦を突破。19年2着馬モズスーパーフレアも3年連続同じローテーションでの臨戦。ピクシーナイトやジャンダルムもセントウルSで強いパフォーマンスを見せ、本記事では触れられなかったが高松宮記念優勝馬ダノンスマッシュも休み明けは得意なクチ。今年は実力馬が順調に本番を迎えられそうで、穴馬の好走枠はかなり少なそうだ。

注目馬:レシステンシア、ピクシーナイト、ダノンスマッシュ

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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