【スプリンターズS】イメージに反して後方待機勢が狙い目 東大HCが中山芝1200mを徹底検証

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中山芝1200mコース分析,ⒸSPAIA,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は中山芝1200mを舞台に、秋GⅠの幕開けを告げる電撃の6ハロン戦、スプリンターズSが行われる。高松宮記念との春秋短距離GⅠ制覇を狙うダノンスマッシュ、セントウルSを勝ち春の雪辱に燃えるレシステンシア、新星ピクシーナイト、ビリーヴの子ジャンダルムなど国内最強を決めるにふさわしいメンバーが出揃った。

当該コースの重賞はスプリンターズSと、高松宮記念の重要な前哨戦として位置付けられるGⅢオーシャンSの2レース。今週は「中山芝1200m」の特徴をデータで分析していく(使用するデータは2016年10月1日~2021年9月26日)。

まずはコース紹介。2コーナー奥の下り坂をスタートし、しばらくの間下り坂が続くため、序盤が速い展開になりやすい。310mの最後の直線には中山名物・高低差2m超えの急坂が待ち受け、厳しいペースで削られたスタミナの底力を試される。タフさとスピードの両方を兼ね備えた実力馬が栄冠を手にする、スプリントGⅠの舞台としてふさわしいコースだ。

勝ち切れない2枠

中山芝1200m・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<中山芝1200m・過去5年の枠別成績>
1枠【20-32-18-242】勝率6.4%/連対率16.7%/複勝率22.4%
2枠【12-19-31-273】勝率3.6%/連対率9.3%/複勝率18.5%
3枠【20-20-25-277】勝率5.8%/連対率11.7%/複勝率19.0%
4枠【29-25-19-277】勝率8.3%/連対率15.4%/複勝率20.9%
5枠【25-22-21-292】勝率6.9%/連対率13.1%/複勝率18.9%
6枠【34-23-26-281】勝率9.3%/連対率15.7%/複勝率22.8%
7枠【23-24-25-296】勝率6.3%/連対率12.8%/複勝率19.6%
8枠【24-23-21-303】勝率6.5%/連対率12.7%/複勝率18.3%

枠別成績ではほぼ横一線も、2枠が若干見劣りする数字となっている。内で窮屈になりやすいのが原因か、ポジションを悪くしてリカバリーが間に合わないケースが多い。GⅠに格上げされて以降の中山スプリンターズSで未だ勝利がないのはこの枠だけで、人気馬でもアタマはないと見て買い目を考えたい。

近年のスプリンターズSでは1枠と4枠が好調。路盤改修後の6レースでは4枠が3勝しており、昨年もミスターメロディが7番人気4着と惜しいシーンを作った。1枠は【1-1-2-8】で、18年のレースでは13番人気3着のラインスピリットが高配当を演出している。距離ロスを最小にできる先行馬がいれば人気薄でも買っておきたい。

中山芝1200m・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA


<中山芝1200m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【36-26-13-112】勝率19.3%/連対率33.2%/複勝率40.1%
先行【74-91-79-446】勝率10.7%/連対率23.9%/複勝率35.4%
差し【59-49-69-843】勝率5.8%/連対率10.6%/複勝率17.4%
追込【18-21-25-839】勝率2.0%/連対率4.3%/複勝率7.1%

脚質別成績では当然ながら逃げ・先行有利。全体的に行った行ったの決着が多く、今年のオーシャンSはコントラチェック・カレンモエ・ビアンフェの前3頭で決まった。テンの速い馬を意識的に狙うだけで的中率は向上する。

ただし、GⅠとなると話は別。路盤改修後の6レースで逃げ切りは皆無で、勝ち馬は全て4角7番手以下から差し脚を伸ばしてきた。前有利のイメージを逆手にとって後方待機勢を狙うべきで、近2走ちぐはぐなレースに終始しているジャンダルムを評価したい。

とはいえ直近5年でオール差し決着はなく、先行勢にもチャンスはある。シビアなハイラップを持続できること、すんなりポジションを確保できる好枠、この両条件を満たした馬を相手に据えたい。

レシステンシアの好走は堅い

中山芝1200m・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<中山芝1200m・過去5年の種牡馬別成績>
ダイワメジャー【18-22-12-103】勝率11.6%/連対率25.8%/複勝率33.5%
ロードカナロア【9-6-8-55】勝率11.5%/連対率19.2%/複勝率29.5%
キズナ【1-1-4-11】勝率5.9%/連対率11.8%/複勝率35.3%
モーリス【0-0-1-5】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率16.7%

種牡馬別成績ではダイワメジャーが質量ともに抜きん出た数字を残している。牝馬に限定すると【12-17-10-55】複勝率41.5%と上がり、このうち前走連対していると【5-9-5-8】で複勝率が7割を超える。レシステンシアはまず安泰だろう。

スプリンターズSを連覇したロードカナロアは子も結果を残しており、2番人気以内では【8-4-4-8】と3頭に2頭が馬券圏内。ただし3番人気以下では【1-2-4-47】と通用しておらず、ダノンスマッシュはじめ産駒の人気に注視しておきたい。

その他ビアンフェがいるキズナはダイワメジャー超えの複勝率で、セントウルS回避が嫌われるようなら妙味がある。人気必至のピクシーナイトを送り出すモーリスはサンプルが少ないとはいえ連対がなく、ここは買い控えるのが吉か。

中山芝1200m・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA

<中山芝1200m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【14-2-5-21】勝率33.3%/連対率38.1%/複勝率50.0%
戸崎圭太【10-12-9-59】勝率11.1%/連対率24.4%/複勝率34.4%
川田将雅【3-2-1-8】勝率21.4%/連対率35.7%/複勝率42.9%
福永祐一【0-0-1-9】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率10.0%

騎手別成績ではルメール騎手がトップ。着度数を見る通りとにかく勝ち切っており、過剰人気気味ながら単勝回収率は99%と頼りになる。スプリンターズSでもタワーオブロンドン・グランアレグリアと2連覇中で、レシステンシアで3連覇なるか注目したい。

関東勢からは戸崎圭太騎手を推奨。条件戦を中心に勝ち鞍を伸ばしており、堅実な成績。ここ数年のスプリンターズSでは差し届かずの馬券圏外が続いているものの、人気薄かつ同レース3着の実績があるアウィルアウェイは拾っておいた方がいい。
関西勢は騎乗が少ないものの、川田将雅騎手は崩れていない。一方、福永祐一騎手は連対がないのが気になる。ミスターメロディなど惜しい競馬が多く数字ほど評価は下げられないが、オッズとの兼ね合い次第では消しの選択肢もある。


中山芝1200mコース分析,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
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約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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