SPAIA競馬
トップ>ニュース>【神戸新聞杯】ダービー3着ステラヴェローチェの善戦濃厚 展開の穴はイクスプロージョン

【神戸新聞杯】ダービー3着ステラヴェローチェの善戦濃厚 展開の穴はイクスプロージョン

2021/09/25 17:00
山崎エリカ
2021年神戸新聞杯PP指数,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

中京芝2200mは中京芝2000mと違ってレースが流れる傾向にあるが…

中京芝2000mが舞台だった先週のローズSは、馬場が悪化しなかったこともあり、前半がゆったりとした入りで、スローでレースが流れた。中京芝2000mはスタート地点が急坂で最初の1角までの距離が約314mと短い。しかし、神戸新聞杯の舞台となる中京芝2200mはスタート地点が平坦で最初の1角までの距離は約512mと長いため、逃げ馬が多数出走していると競り合いが長くなり、ペースが速くなることもしばしばある。

そのうえ今週からBコースを使用。Aコースの先週は内から6~7頭目の馬場が良かったが、今週は馬場のいい内が狭くなる。これにより内争奪戦となり、ペースが上がり、外差しが届く可能性もあるが、今回は逃げ馬不在で先行馬が手薄。あまりペースが上がる要素がない。意外と前からの一発がありそうな気がしている。

今年の日本ダービーはどういうレースだったか?

セントライト記念は上がり馬と、日本ダービーで中位だった馬が集う舞台だった。神戸新聞杯は日本ダービーの上中位馬が集う舞台。今年も出走馬10頭中、前走で日本ダービーに出走していた馬が4頭出走。ダービー馬シャフリヤールやダービー3着馬ステラヴェローチェが上位人気に支持されているだけに、日本ダービーはどういうレースだったのかをしっかり振り返りたい。

今年の日本ダービーは超高速馬場で行われ、逃げ宣言をしていたバスラットレオンが宣言どおりに大外17番から押してハナに立った。2番手は14番タイトルホルダー、3列目の内に1番のエフフォーリア、その外に2番ヴィクティファルスと隊列がすぐに決まった。前半のペースは平均的だが、向正面で一気にペースが緩み、馬群が凝縮。そこで外からポジションを押し上げる馬が多く、タイトルホルダーは6番手、エフフォーリアは9番手まで位置を下げた。

そして3~4角で一気にペースが上がった。理由としては、サトノレイナス&ルメール騎手が、レイデオロのときのように外から一気に上がっていき、先頭のバスラットレオンに並びかけたものの、同馬が抵抗したため。レイデオロが3~4角2番手から優勝した2017年と比較をすると、前半も中盤もペースが速かったことから、結果3角から動いた馬は早仕掛けで失速という結果になった。

早仕掛けで5着に粘ったサトノレイナスがかなり強かったが、バスラットレオンや3~4角で動いたアドマイヤハダル、ディープモンスター、ワンダフルタウンは全て10着以下に敗れている。一方、向正面から3~4角で動かなかった馬たちが上位を独占していることから、日本ダービーの総合評価としては、向正面で脚をタメて、3~4角で動かなかった馬が上位にきたという評価になる。ただワンダブルタウンは強気のレースをして素直に凡退しているだけに、ダービー上位馬との大勢逆転を狙えるかというと、それも疑問である。

能力値1~5位馬を紹介

2021年神戸新聞杯PP指数,ⒸSPAIA



【能力値1位 シャフリヤール】
キャリア4戦目でダービーを勝利した素質馬。ただ日本ダービーは前記したように中盤で脚をタメたことが、最後の伸びに繋がったもの。最後の直線序盤で進路を確保するのに少し苦労する場面はあったが、そこまで後続に差をつけられなかったことからも、春の時点では3歳世代の中で圧倒的に強かったとは言えない。

同馬はアルアインの全弟で菊花賞は距離が長いことが予想されるが、今回はあくまで始動戦。凡退する可能性もあると見ている。ここで大きく成長を見せて世代NO.1をアピールする結果となるのか、あくまで叩き台のような結果になって、混戦菊花賞ムードになるのか。本命にしたくはないが、重い印は打ちたい馬である。

【能力値2位 ステラヴェローチェ】
皐月賞、日本ダービーと春の二冠で3着。同馬は2歳時の朝日杯フューチュリティS2着も含めて、GIで全て馬券に絡みながらも勝利を得られずにいる。しかし、不良のサウジアラビアRC1着、超高速馬場の日本ダービー3着と馬場は不問。距離も1600m~2400mまでこなし、ここまで全く異なる条件で善戦している馬も珍しい。

弱点を探すならば唯一、馬券圏外に敗れた共同通信杯にヒントがあるだろう。その共同通信杯では、超スローペースを意識して先頭から離れない位置でレースを進めたため、末脚が不発し、5着に敗れている。小頭数&逃げ馬不在の今回も、早めに動いた場合の危うさはあるが、この馬のスタンスを貫く差し競馬なら、ここも馬券圏内に加われると見ている。

【能力値3位 レッドジェネシス】
前々走の京都新聞杯では、緩みない流れを差し切って勝利。このレースはルペルカーリアがペースを引き上げる中、後方最内でレースを進め、3~4角では上手く馬群の中目を通し、4角で外に出して3列目。直線序盤ですぐに伸び、2列目を切り裂いて一気に2番手に上がってくる競馬。展開と立ち回りの上手さが噛み合った感がある。

同馬はタフな馬場で行われた3走前のゆきやなぎ賞でも、出遅れて後方からの競馬。3角手前で一気に動いて2列目の外に並びかけ、直線序盤で早々と先頭に立ち4馬身差の完勝。このことからタフな馬場で、長所の持久力を活かしての馬だと言える。

距離は長いほうがいいが、日本ダービーのような超高速馬場になると序盤で置かれ、追走に苦しむのが弱点。中京芝はやや雨が降った先週が標準馬場。日本ダービー時ほど高速馬場ではないが、それでもいい位置は取れないだろう。また、今回は前が崩れるほどの速い流れになる要素もないだけに、能力値上位馬の中ではもっとも狙いを下げたい馬である。

【能力値4位 ワンダフルタウン】
爪を痛めて皐月賞を回避し、休養明けで青葉賞に出走。同レースではキングストンボーイやレッドヴェロシティとの接戦を制し、日本ダービーの出走権を手にした。ところがその日本ダービーでは10着凡退。同レースも青葉賞と同様に、中団から向正面で位置を押し上げ、3~4角から動いていったが、青葉賞時よりもペースが速かったこともあり、失速し10着。これは早仕掛けした影響と、休養明けで好走した反動があったと見ている。

今回は再始動戦。疲れは取れてある程度能力を出せる状態にはあるはずだが、青葉賞は皐月賞と比較しても指数面で見劣るだけに、そこが不安。また、上がりの速い決着となった青葉賞でじわじわとしか伸び切れていないだけに、日本ダービー上位馬と比較をした場合にトップスピードで見劣るのも確かだ。

【能力値5位 キングストンボーイ】
前走の青葉賞では五分のスタートは決めたものの、少しフラフラして外の馬に接触し、結局後方からのレースになった。しかし、向正面でペースが緩んだところで、中団中目まで位置を上げ、3~4角では前にワンダフルタウンを置いて、これを目標に追走。4角で内に上手く誘導しながら3列目で直線へ。直線序盤で2列目に上がり、ラスト2Fで内から反応良く動き、中から捌いてきたワンダフルタウンとのマッチレース。わずかハナ差での2着だった。

同馬は一戦ごとにゲートが良化しているとはいえ、春の時点ではスタート後にフラフラして位置取りが悪くなってしまうのが弱点だった。しかし、こういったタイプは成長してゲートが改善されるだけで、いい位置でレースを進められるようになり、化ける可能性を秘めている。

ベゴニア賞では最後まで加速し、共同通信杯でもラスト2Fで内の狭いスペースを拾いながら、メンバー最速の上がり3Fタイムを記録した馬。瞬発力もあるだけに、ゲートがまともなら怖いが、どういうレースをするか分からない以上、あくまでも相手候補の一頭になる。

穴馬は自ら動き激走を狙うイクスプロージョン

今回と同じ中京芝2200mの前々走、春日井特別(1勝クラス)では、2番手でレースを進めて完勝。向正面でペースが緩んだが、3~4角で先頭に並びかけ、直線でじわじわ後続を離し、1クラス上でも通用する好指数を記録した。前々走は出走馬の大半が3歳馬で、素質の高い馬も多く出走していた。当時2着のレヴェッツァはその後、新潟の1勝クラスの瓢湖特別で3着馬に4馬身差をつけ、1クラス上の指数で快勝している。

休養明けの前走、阿賀野川特別は1角で行きたがり、前に馬を置いて控える競馬をしたことで、5着と能力を出し切れなかったが、結果的にはここに向けて余力を残せた。順調の強み、自ら動いて持久力を活かす競馬で激走を狙う。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)シャフリヤールの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


《関連記事》
【神戸新聞杯】前走ダービー組が圧倒的! シャフリヤールとステラヴェローチェの1点でよし?
【オールカマー】ハイブリッド式消去法で残るは最大5頭! レイパパレとのダブル本命候補は?
【神戸新聞杯】シャフリヤールは本当に堅いのか? 「クラシックホースの明け初戦」を分析