【オールカマー】上位人気の牝馬、内枠で条件揃った! 東大HCの本命はウインマリリン

東大ホースメンクラブ

オールカマーインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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セントライト記念以上に先行勢重視

9月26日(日)に中山競馬場で行われるオールカマー(GⅡ・芝2200m)。優勝馬には天皇賞(秋)への優先出走権が付与されることにも表れている通り、秋冬の大一番を見据えたレースに16頭が集結した。注目を集めるのは無傷の6連勝で大阪杯を制したレイパパレや、昨年のオークス2着馬でGⅡ・2勝のウインマリリン、6歳になった本年も香港GⅠで2着と未だ衰えを見せないグローリーヴェイズなど。下半期のGⅠ戦線に向け勢いをつけるのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。

最初に過去10年のレース傾向を分析する(14年は新潟開催のため除外。以下、「過去10年」とする際も同様)。


過去10年オールカマー成績,ⒸSPAIA


過去10年オールカマー・セントライト記念比較,ⒸSPAIA


先週行われたセントライト記念と同じ舞台で、スローに落ち着きやすい点などレース傾向はおおむね共通。相違点として挙げられるのはオールカマーの方が前有利の傾向が強いことで、4角10番手以下ともなると【0-0-0-29】と好走例が皆無。過去10年におけるセントライト記念とオールカマーの前半1000m通過平均タイムを比較するとセントライト記念が60.7秒、オールカマーは61.3秒と後者の方が0.6秒も遅く、古馬重賞らしからぬ緩い流れを利した先行勢の健闘は当然といえる。ちなみに、平均勝ち時計もオールカマーの方が遅い。

また秋のGⅠに挑戦する実力馬たちが叩き台として出走することが多いためか、人気馬が堅調。6番人気以内が【8-9-8-29】と馬券の大半を占めており、ここ5年は全て6番人気以内での決着と大きな波乱はない。特に信頼できるのは5番人気以内の牝馬。【3-2-0-2】という成績で連対率71%をマーク。今年は牝馬が5頭出走しているが、そのうちでもレイパパレやウインマリリン辺りは確実に押さえておく必要がある。


軸馬は内枠から選ぶのが吉

過去10年オールカマー枠別成績(6番人気以内),ⒸSPAIA


次に過去10年のオールカマーにおける枠順別成績を調べた。先に述べた人気馬が堅調という特徴を踏まえ、枠順によるバイアスを掴みやすくするため6番人気以内に限ってみる。なお、7番人気以下で馬券に絡んだのは13年のヴェルデグリーン(6枠・9番人気)と15年のミトラ(5枠・7番人気)である。

当初は「これだけ人気馬が堅実なら、枠順による差はないのでは」とも考えていたが、結果は予想を裏切る形に。6~8枠の複回収率はいずれも60%程度で、複勝率も内枠に比べて低調。3枠を除く1~5枠はいずれも複勝率50%以上、複回収率100%超となり、外枠不利というデータが際立って映る。13年のヴェルデグリーン含め勝利はまずまず見られる外枠だが、たとえ人気馬でも軸に適さない点は強調しておきたい。


得意の中山で好発進

◎ウインマリリン
1988年以降牝馬が掲示板に載ることすら叶わなかった天皇賞(春)で5着に健闘。その前哨戦たる日経賞ではワールドプレミアやカレンブーケドールといった強敵相手に先着しており、現在の牝馬中距離路線の最先端を走る一頭。また中山では重賞含む3勝をあげており、舞台適性は証明済み。オールカマーと同じコースで1月に行われるAJCCで6着に敗れているが、これは不良馬場によるところが大きく例外視できる。最内枠からすんなり先行できれば好勝負必至だ。

◯レイパパレ
今年の春古馬GⅠ戦線の中心にいた馬で、その強さは折り紙付き。高野友和厩舎は昨年のセンテリュオ含め2戦2勝と相性が良い。しかし宝塚記念(阪神芝2200m)で3着に好走しているとはいえ未だ距離不安は拭えず、56kgと牝馬には酷な斤量を背負うことや相対的に不利な外枠に収まったことなど懸念材料は多数存在。見栄えのする戦績からも断然の1番人気となるだろうが、過信は禁物だ。

▲ステイフーリッシュ
前走・札幌記念では本命に推していたもののアクシデントにより競走中止。これを除けばGⅡ・Ⅲでは【1-5-6-6】と堅実で、このクラスでは押さえておかなければならない存在。中山芝2200mの重賞に限っても2着・3着・4着と大きくは崩れていない。また同舞台重賞3戦すべて6枠より外からの発走で、データ上は安定感に欠ける外枠からでも健闘している。今回はさらに外の大外16番枠となったが、それでも重めの印がふさわしい。

△グローリーヴェイズ
生涯で大きく崩れたのは特殊な馬場であった昨年の宝塚記念のみ。戦績が示す通り力のある馬だ。前走は香港GⅠでラヴズオンリーユーと0.1秒差の2着に好走しておりその力は未だ健在だ。ただ直線が平坦な京都競馬場を得意とするタイプなだけに、新馬戦以来の中山という点は不安要素。4番手評価に留めた。

以下、ヴィクトリアマイル2着を初め近走の充実ぶりが著しいランブリングアレーまで印を回す。人気馬をなぞるような印を打ってしまったが、レース傾向及びメンバー構成的にここは順当に決着すると予想。どの券種の払い戻しも低めになることを前提に、普段は中々手を出さない三連単マルチで勝負する。

▽オールカマー予想▽
◎ウインマリリン
◯レイパパレ
▲ステイフーリッシュ
△グローリーヴェイズ
×ランブリングアレー

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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