【オールカマー】「Cコース」「先週より乾いた馬場」なら先行有利 軸は先行力と機動力兼備のウインマリリン

三木俊幸

2021年オールカマー出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA

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良発表も水分量が多い馬場

秋のGⅠレースを狙う古馬たちが集うオールカマー(GⅡ・芝2200m)。2015年ショウナンパンドラはジャパンC、2018年レイデオロは天皇賞(秋)と、このレースをステップにビッグタイトルを獲得している。今年は春の大阪杯を勝利し、宝塚記念では3着となったレイパパレが出走する。夏休みを挟んでの始動戦でどのようなレースを見せてくれるのか注目が集まる。

今回も出走各馬の馬場適性をもとにレースを占っていく。その前に先週末の中山芝コースの馬場傾向を振り返っていく。

9月18日(土)は朝の時点ではクッション値8.4、ゴール前の含水率11.3%で良馬場に近い稍重という状態だったが、台風の影響を受けて午前中から時折激しい雨が降り、64.0mmの雨量を計測。それに伴い最初の芝レースが行われた3Rの時点から重馬場発表だった。

そのため、5レース中4レースの勝ち馬が4角4番手以内の先行馬。ナリノモンターニュが7番手から勝利した3歳以上1勝クラスのレースは前後半1000mのペースが-1.1秒というハイペースだったことも理由として考えられる。19日(日)はクッション値9.2と前日よりも高い数値となっていたものの、ゴール前の含水率は14.9%で重馬場に近い状態だった。そこから馬場は回復していき7R以降は良馬場でレースが行われた。

この日も6レース中5レースの勝ち馬が4角4番手以内だったが、12Rの芝1200m戦は前半から12.1-10.3-11.0とハイペースとなり、4角12番手だったヴィクトワールメイが差し切り勝ち。最終日の20日(月・祝)はクッション値10.4まで上昇。良馬場発表だったものの、ゴール前の含水率13.0%は稍重に近い状態。馬場の表面は乾いているものの、中はまだ水分を含んだ状態だった。

優勝馬の4角通過順位は6レース中4レースが4角4番手以内で、前2日と同じく先行有利となっていたが、2・3着馬まで対象を広げてみると5頭が4角8番手以下。差しも届いていた。セントライト記念は4角11番手のアサマノイタズラが勝利、4角8番手のオーソクレースが3着に入ったように3日間の中では最も差し馬が台頭しやすい馬場状態だった。

能力最上位もレイパパレに不安要素あり

今週末にかけて晴天が続く見込みだが、レース当日は雨の可能性も出てきている。しかし雨量はそれほど多くなさそうなので、差し馬にも警戒する必要がある。今週からCコースに替わることを踏まえながら、先週末よりは乾燥した馬場状態、先行有利の傾向になると想定して注目馬をピックアップ。特に注目したい馬には☆をつけている。


2021年オールカマー出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA


【レイパパレ】
先行力がありコーナー4回の競馬も合っているが、前走の宝塚記念では直線で一旦交わしたユニコーンライオンに再び差し返されて3着というレースぶり。ベストは2000mという印象を受ける。今回は能力最上位であることは間違いないなく、馬場が渋ることも歓迎材料。しかし、再び2200mで斤量56kgという点から最後の急坂で脚色が鈍る可能性もある。

【グローリーヴェイズ】
昨年の京都大賞典を稍重で勝利しているが、基本的には良馬場の方がいいタイプ。また直線平坦で広いコースでの好走が目立っていることからも、新馬戦以来の中山コースがどうかという不安もある。前走より距離が延びる点と戦ってきた相手を考えると好走しても不思議ではないが、相手候補の一頭という評価に留めたい。

【☆ウインマリリン】
不良馬場で行われたAJCCは6着に敗れたが、日経賞では天皇賞(春)を勝利したワールドプレミアなどを完封。先行力と機動力を兼ね備えており、多少の雨なら馬場も問題なし。条件的にはピッタリだと言える。騎乗する横山武史騎手は先週末のセントライト記念では、直線で包まれて何もできずに終わってしまっただけに、その反省を活かした騎乗をしてくれるだろう。

【ステイフーリッシュ】
前走の札幌記念は心房細動を生じて最後の直線で競走中止となったが、1カ月で再び出走してくるなら問題ないということだろう。中山芝2200mは2020年のAJCC2着、オールカマー3着と実績ある舞台なので、押さえておきたい一頭だ。

【キングオブコージ】
昨年の京都大賞典以来のレースとなるが、3走前の湾岸Sでは好位追走から強い競馬で勝利、コース適性の高さも示した。その後ステイフーリッシュなどが出走した目黒記念を勝利しているように能力は通用する。今回も後方からのレースとなる可能性が高いが、ハマれば一発があっても不思議ではない。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。


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