【セントライト記念】舞台適性も実績も文句なし 東大HCの本命はタイトルホルダー

東大ホースメンクラブ

セントライト記念の4角通過順位別成績,ⒸSPAIA

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スローペース想定も完全な前残りとはならず

9月20日(月・祝)に中山競馬場で行われるセントライト記念(GⅡ・芝2200m)。上位3頭に対し牡馬三冠の最終競走たる菊花賞への優先出走権が与えられる。

弥生賞馬で皐月賞2着のタイトルホルダーや近2戦を持ったまま大楽勝した夏の上がり馬ソーヴァリアント、春は態勢が整わなかったためホープフルS以来の実戦となるオーソクレースなど本番でも楽しめそうな馬が多く出走予定。一月後に迫った大舞台への切符を手にするのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。

セントライト記念の4角通過順別成績,ⒸSPAIA



最初に過去10年のレース傾向を分析する(14年は新潟施行のため除く。以下同様)。前後半の5Fタイムを比較すると、ほとんどの年で後半5Fが前半のそれよりも1秒近く速い後傾ラップとなっていることが分かる。ちなみに11年は前半57.5秒・後半60.9秒とかなりのハイペースだったように映るが、これはロイヤルクレスト(10着)が離した逃げをしていたためであくまで例外。今年もスローペース想定で、前目の位置を確保できる馬を評価すべきだ。

ただ重賞だけあって完全な前残りとはならない点には注意が必要。前半5Fを62.6秒で通過した昨年こそ4角1・2番手で決着したが、それ以外の年では少なくとも1頭は4角6番手以下から馬券に絡む馬がいた。

3番人気以内かつ4角6番手以下は【2-2-3-6】で複勝率54%と信頼に足る。3番人気以内全体で【5-5-5-12】・複勝率56%という成績で、上位人気馬にとって脚質は大きな問題とはならない。直線が短いことも相まって差し馬は敬遠しがちだが、人気を集めるような実力があれば展開・コース形態での不利は無視して良いだろう。

中山経験は想像以上に重要

セントライト記念、中山での勝利歴別成績,ⒸSPAIA



〈中山芝1800m以上での勝利歴の有無〉
あり【5-4-4-28】勝率12.2%/連対率22.0%/複勝率31.7%
なし【4-5-5-81】勝率4.2%/連対率9.5%/複勝率14.7%

続いて過去10年の出走馬を、中山芝1800m以上での勝利歴の有無により分類した。表を一見すれば明らかな通り、中山での勝利歴のある組が断然好成績であった。トリッキーなコースで適性の差がモロに出る中山なだけに、同場成績は大いに参考になる。

特に中山での重賞勝利歴があると【4-2-2-5】で勝率31%かつ複回収率も100%超。中山実績馬はアタマ候補筆頭といえ、人気を集めやすいのに買っても損がない美味しい存在だ。

中山勝利歴ない馬の成績,ⒸSPAIA



〈中山芝1800m以上での勝利歴がない組〉
重賞馬【3-2-1-4】勝率30.0%/連対率50.0%/複勝率60.0%
重賞未勝利馬【1-3-4-77】勝率1.2%/連対率4.7%/複勝率9.4%

また当該勝利歴がなかった馬のうち、以前に重賞を制していた馬が【3-2-1-4】。この組の好走馬の大半を占める。逆にそれ以外では【1-3-4-77】で複勝率はわずか9%ととても狙える成績ではない。今年のメンバーには前者に当てはまる馬がおらず、中山での勝利歴がない馬は等しく割引が必要となる。人気が予想されるオーソクレ―スやルペルカーリアもこれに含まれているため、思い切って消すという選択肢も視野に入る。

タイトル奪取へここは通過点

◎タイトルホルダー
弥生賞1着、皐月賞2着と実績は抜けており、ダービーでも切れ味勝負となって分が悪いなか6着を確保。ドスローだった弥生賞を逃げ切り勝ちした時こそ実力を疑ったものの、春のクラシックを通じ3歳世代でも指折りの存在であることを証明した。また皐月賞で馬券になった馬は、過去10年のこのレースで【3-1-2-0】と驚異的な成績。この馬自身も中山は【2-1-0-1】と得意(着外はホープフルSでの4着)で、舞台適性は確か。1番人気でも逆らえず、少なくとも馬券内は堅いとみた。

◯グラティアス
皐月賞では4角での接触がありながら6着と善戦。ダービーでは瞬発力勝負が合わず8着に敗れるも、6着のタイトルホルダーとはタイム差なしと健闘していた。ダービーで4角3番手以内だった馬は【3-3-1-2】と高い水準で安定しており、大舞台でも通用する先行力は評価すべき。さらに中山芝2000mで行われる京成杯を勝っており、重賞未勝利馬に人気で劣りそうなここはオッズ含め買い一択だ。

▲ヴィクティファルス
3番手にも前走ダービー組をチョイス。春は皐月賞・ダービーともに振るわない結果となったが、今年のダービーにおけるワンツースリーを輩出した共同通信杯の2着馬で素質は高い。重馬場のスプリングSでの激走、かつ輸送続きで使う度に馬体も減っていたということもあり、夏の休養を挟んでフレッシュな状態なら見直せる。さらに前走ダービーで10着以下でも【4-4-2-8】とデータ的に巻き返しは可能。実力が未知数の上がり馬よりはよほど信頼できる。

△ソーヴァリアント
近2走は着差に示されている通り強い内容。弥生賞も展開に泣いただけで重賞でも通用する力は見せていた。中山芝2200mでの勝利歴もあり、クラシック不出走組では一番可能性を感じる。久々の多頭数戦で強敵相手に立ち回れるようであれば、本番はおろか将来にわたって活躍が期待される。

以下、アサマノイタズラも注視。歯に衣着せぬ言い方をすれば前走はただ回ってきただけで終わってしまったレース。田辺騎手への乗り替わりで不気味な気配が漂う。そして穴目で気になるレッドヴェロシティまで印を回す。同馬は青葉賞で勝ち馬とタイム差なしの3着に健闘。自己条件に戻った前走は2着に敗れたが、距離が長かった印象。実績の割に人気がなく高配当に期待して狙ってみたい。

▽セントライト記念予想▽
◎タイトルホルダー
◯グラティアス
▲ヴィクティファルス
△ソーヴァリアント
×アサマノイタズラ
☆レッドヴェロシティ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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