【ローズS】夏休養の実績馬と夏の上がり馬はほぼ互角 京大競馬研の本命はオークス好走のタガノパッション

京都大学競馬研究会

ローズSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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夏休養馬と夏出走馬はほぼ互角

先週末はフランスで凱旋門賞の前哨戦が行われ、フォワ賞をディープボンドが快勝。想像以上に強い勝ち方で、これは凱旋門賞が非常に楽しみになる内容だった。もう1頭の日本馬クロノジェネシスも含め、日本調教馬の悲願達成なるか。2週間後が待ち遠しい。

さて、日本では秋競馬が先週から開幕し、三冠最終戦に向けた前哨戦が始まった。今週は9月19日(日)に中京競馬場でローズS(GⅡ・芝2000m)が行われる。オークスで好走したアールドヴィーヴル、タガノパッションをはじめ、フローラS勝ち馬クールキャット、その他多くの上がり馬が集結し混戦模様だ。秋華賞への切符を手にするのはどの馬か。過去の傾向も踏まえつつ予想していく。


過去10年ローズS好走馬ローテーション,ⒸSPAIA


まずは過去10年における3着内馬の前走成績について見ていく。

1着馬については10頭中8頭が前走オークス組で、そのうち7頭はオークスで5着以内に好走していた。1着候補の中心は夏を休養したオークス好走馬と考えてよいだろう。2着馬については、夏出走馬と夏休養馬がともに5頭ずつと拮抗しており、3着馬については8頭が夏出走馬となっている。そして、夏休養馬が3着以内を独占したのは2019年のみ、夏出走馬が3着以内を独占した年はない。オークス好走馬を中心とする夏休養馬と、夏場に使って賞金を加算してきた上がり馬のどちらにも注意して馬券を組み立てることが必要だ。


穴馬も多数好走。穴で狙うなら夏出走馬

過去10年ローズS人気薄好走馬ローテーション,ⒸSPAIA


次に過去の好走馬の人気を見ていくと、6番人気以下の穴馬が15頭も馬券に絡んでいる。また、そのうち7頭は二桁人気で、想像以上に荒れる重賞となっている。

これらの穴馬について前走成績を見ていくと、大半が夏競馬のレースに出走しており、夏に休養していた馬はわずか3頭だった。馬券に絡んだ夏出走馬について、クラスや着順は様々であり、未勝利を脱出したばかりの馬や1勝クラスで惜敗している馬からも好走馬が出ており、幅広く検討していく必要がありそうだ。


馬券の中心はオークス好走馬2頭

本命はタガノパッションとする。オークスでは後方追走だったが、直線で間を割りながらよく伸びて4着。上がり最速の脚を使っており、いくら展開が向いたとはいえ能力の高さを示したと言える。また、2走前のスイートピーSも相当強く、中団後ろから鋭い脚を使いあっという間に抜け出す快勝。これらの成績から3歳の中長距離戦線ならトップクラスと言ってよい。夏に休養したオークス好走馬で、1着候補として素直に信頼したい。

対抗はアールドヴィーヴル。こちらは桜花賞、オークスともに5着の実力馬。桜花賞の内容を見る限りマイルの時計勝負では少し足らない感じがあり、今回の2000mという距離は合っていそうだ。また2月のクイーンCでは、大幅馬体減の中アカイトリノムスメに迫っており持っている能力は高い。ただ、春に馬体重が減り続けていたことは気がかりなので、しっかり馬体を増やしてきて欲しい。

3番手はタガノディアーナ。前走の糸魚川特別(2勝クラス)では2着だったが、このレースがかなり強い内容。勝ち馬には位置取りの差でわずかに届かなかったが、上がり32.7の末脚を繰り出して猛追した。1着馬はまともに走ればかなり強いランドオブリバティ、4着馬は紫苑Sで4着のシャーレイポピー、5着馬は昨年のローズS3着のオーマイダーリンと、このレースは相当メンバーが揃っていた。その中で僅差の2着は非常に価値があり、2000mに対応できれば一発あるとみて、上がり馬の中で最上位に取りたい。

4番手にイリマ。未勝利脱出まではかなり時間を要したが、7月の小倉で未勝利戦を完勝すると、そのまま前走の1勝クラスでも4馬身差の快勝だった。前走のレベルは高くなかったが、それでも一気に覚醒した雰囲気はあり重賞でもいい勝負ができそうだ。恐らくあまり人気はしないので穴候補として狙ってみたい。

以下、チューリップ賞で3着もあり、タガノディアーナと接戦を演じたストゥーティ。これまで連対を外しておらず前走の出雲崎特別(1勝クラス)ではハイペースを先行して押し切ったアンドヴァラナウト。大穴ではアイコンテーラーまで印を回したい。特にアイコンテーラーについてだが、前走のラジオNIKKEI賞では外を回らされる形になりながら、3着と0.4秒差で踏ん張った。先行力としぶとさを活かせば十分チャンスがありそうで、高配当の使者として入れておきたい。

クールキャットはルメール騎手騎乗で人気するだろうが、フローラSは前有利の流れを味方につけた面が大きい。スタートが安定しない馬でもあり、信用しづらいタイプだ。人気するなら思い切って消しとしたい。

買い目については、◎タガノパッション、◯アールドヴィーヴルのどちらかは少なくとも馬券に絡むとみて、3連複フォーメーション◎◯-◎◯▲△××☆-◎◯▲△××☆の25点で勝負したい。点数は多いが、過去10年のローズSで3連複の配当が3000円以下だったのは2回のみ。今年は混戦なのでこの買い目ならトリガミにはならないはず。万馬券も十分期待できるので3連系の馬券で組み立てたい。(文:川崎)

▽ローズS予想印▽
◎タガノパッション
◯アールドヴィーヴル
▲タガノディアーナ
△イリマ
×ストゥーティ
×アンドヴァラナウト
☆アイコンテーラー

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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