【セントライト記念】先週は先行有利の馬場傾向 混戦模様もダービー組・中山巧者の2頭に期待

三木俊幸

2021年セントライト記念出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA

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半数が4角先頭から押し切り

3日間開催の最終日、9月20日(月・祝)に中山競馬場で行われるセントライト記念(GⅡ・芝2200m)。先週末の紫苑Sは春の実績馬ファインルージュが強さを見せた格好となったが、果たして菊花賞への3枚の切符をかけた一戦を制するのは、春の実績馬かそれとも夏の上がり馬か。馬場傾向の観点も踏まえて分析していく。

先週末の中山芝コースは全レース良馬場で行われた。土曜日のクッション値は10.3とやや硬め、ゴール前の含水率は稍重に近い12.4%だった。その後、午前中に雨がパラついた時間もあったが雨量は計測されないほどの少量。また日曜日は早朝にかけて0.5mmの雨が降り、クッション値9.8、ゴール前の含水率が13.0%となっていたが、レースには全く問題なかった。

2020年の4回中山開催は時計のかかるコンディションが続いたが、タイム面ではどうだったか。土曜日に行われた紫苑Sの勝ちタイム1:58.2は過去10年で2番目に速い決着。日曜日の京成杯AHは1:32.0。2019年の1:30.3という超高速決着には及ばないものの、例年と同じ程度のタイムで、時計が出やすい状態だったと言える。

9/11・12 中山芝コース 3着内馬の脚質,ⒸSPAIA


続いて4角通過順位から脚質についても見ていく。全12レース中半数にあたる6レースで4角先頭がそのまま押し切り勝ち。先行馬が止まらないというケースが多く見られた。2、3着馬についても4角2〜4番手の馬たちが2着6回、3着4回と好成績を残している。しかし、紫苑Sと京成杯AHはいずれも差し馬が3着内に好走したように、重賞レベルまで行けばペース次第で差し馬も台頭できる馬場だと言っていいだろう。

混戦模様の一戦

週中は雨が降った日もあったが、セントライト記念が行われる月曜日は雨の可能性は低い予報となっている。そうしたことからも、先週末と同様に先行有利の傾向は続くものと考え、推奨馬をピックアップした。

馬場適性チャート,ⒸSPAIA


【☆タイトルホルダー】
2走前の皐月賞では3角先頭、エフフォーリアには力の差を見せつけられる形となったものの2着に粘る。日本ダービーは6着だったが、苦手とする瞬発力勝負になった中で0.6秒差なら悪くない。今回は逃げたい馬も何頭かいるため番手からの競馬となりそうだが、ペースが流れることは歓迎材料。得意の中山コースなら大崩れはないだろう。

【オーソクレース】
2走前のアイビーSで負かしたラーゴムはきさらぎ賞を勝利、4着馬アドマイヤハダルは若葉Sを勝利した後に皐月賞で4着となっている。その後GⅠのホープフルSで2着という内容も考えると、春のクラシックに参戦していれば上位に顔を出していた可能性はある。ただし、ホープフルS以来9カ月ぶりの実戦という点は気がかりだ。

【ソーヴァリアント】
北海道での2連勝と勢いに乗っての参戦。メンバーレベルは高くなかったがいずれのレースも圧勝だった。また3走前の弥生賞ディープインパクト記念はスローペースで前残りの展開の中、差す競馬で4着、当時よりペースが流れそうなことも踏まえると十分勝負になる。

【☆グラティアス】
皐月賞は6着だったが、大外枠からのスタートに加えて直線に向いたところで内にいた馬と接触する不利もあった中で3着馬とは0.2秒差だった。続く日本ダービーは3角で一気にペースアップして先行馬には厳しいレースだったが、2番手追走からタイトルホルダーとタイム差なしの8着という内容ならよく粘ったと言える。この馬も切れるタイプではないので行きたい馬を行かせつつ、ロスなく立ち回りのうまさを活かせればタイトルホルダーと互角のレースはできそう。

【レッドヴェロシティ】
2走前の青葉賞は、中団追走から勝ち馬ワンダフルタウンとタイム差なしの3着。強いメンバー相手に戦ってきた勢力とも互角の勝負を繰り広げるなど、力は通用する。前走は2着に敗れたが、苦しくなったところから再び差し返した内容。一叩きした上積み、水仙賞を勝利した舞台に戻る点からも好走を期待したい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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