【セントウルS】前走で脚を余したジャンダルムは軽視禁物! 参考レースから浮上するのは?

坂上明大

2021年セントウルSの参考レース,ⒸSPAIA

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抜群のレースセンスを披露

サマースプリントシリーズの最終戦であるセントウルS。唯一のG2戦でポイントが高く、ここを目標にメイチで臨む馬も少なくない。その反面、スプリンターズSの最重要ステップレースでもあり、実績馬も多数集結。上がり馬か、実績馬か。中京に舞台を移す今年もこの取捨が明暗を分けそうだ。

【函館スプリントS】
変則日程により札幌芝1200mでの開催。昨年開催後に約7,600平方メートルの芝張替を実施し、4月末と5月下旬にはエアレーションを実施。1週間以上降雨がなく路盤は硬めで、非常に時計の速い馬場状態でもあった。内有利。ただ、レースはビアンフェが引っ張り、前後半3F32.8-34.8のハイペース。当時は直線向かい方向の風を受けていたとはいえ、さすがに差しも届く流れであったとみる。稍後有利。

2着馬カレンモエは大外枠から好スタートを切り、いつも通りのレースセンスの良さを披露。決め手に欠ける面はあるが、重賞で3戦連続2着は力があってこそだろう。今回も斤量が上がらないだけに、近走と同じく大崩れはなさそうだ。

9着馬シゲルピンクルビーは発馬が遅いが故ではあるが、発馬直後に挟まれ、4角では逆手前になり、直線も前が壁。スムーズでも上位争いに加われていたかはわからないが、全く競馬になっていなかったことも事実だ。

日本レコードのハイレベル戦

2021年CBC賞の展開/馬場バイアス,ⒸSPAIA



【CBC賞】
小倉3回開幕週(野芝)。土日ともに超高速馬場が続き、土曜10Rでは1999年北九州短距離Sでアグネスワールドが記録した従来のレコードタイムを0.1秒更新。さらに、本レースも前後半3F32.3-33.7の好ペースで刻み、前日に記録した日本レコードを0.4秒更新した。また、内有利のトラックバイアスにもあり、内々をロスなく回った馬の好走が目立った。とはいえ、1着馬ファストフォースと5着馬ヨカヨカが次走の北九州記念で1、2着を独占しているだけに、レースレベル自体が高かったとも見るべきだろう。

2着馬ピクシーナイトは初の1200m戦でもまったくスピード負けしなかったが、うまくインに潜り込んだことも好走の一因。外差しの3着馬アウィルアウェイとの比較では1枚落ちる形か。

4着馬タイセイビジョンは最内枠から中団で脚をタメ、直線はいい脚を使ったが、ゴール前で挟まれてやや失速。斤量を考慮すれば着順以上の評価が必要だろう。ただ、折り合いと先行力を考慮すると1400m以下で差しに徹する形しかなさそうだ。

スローペースの前残り

【北九州記念】
レース前から雨が強まったこともあり外有利のトラックバイアスは継続。レースはモズスーパーフレアが引っ張り、前後半3F33.2-35.0の前傾1.8秒。ただ、外目を通過した組の先頭基準では33.7‐34.5の前傾0.8秒。コーナーの距離ロスも考慮すれば、小倉芝1200mの古馬混合重賞としてはスローペースの部類だったといえるだろう。前有利。

4着馬シゲルピンクルビーは中団の中程を通過する形。位置取りの差が大きく、1、2着馬との力差は感じない。5着馬レッドアンシェルも斤量差を考慮すれば同程度の評価で問題ないだろう。

7着馬ジャンダルムは発馬直後にメイショウケイメイと接触し後方からの競馬。身動きが取れず直線に向いてからの追い出しとなり、上がり3F11.5-11.4-11.2程度と完全に脚を余す形。巻き返し濃厚だ。

強豪揃いのハイレベル戦

G2らしく強豪が揃ったハイレベルな一戦。特に高松宮記念2着馬レシステンシアは1400m以下で4戦3勝2着1回の実績を残しており、主役扱いは当然の実力馬だろう。穴馬で注目はジャンダルム。完全に脚を余した北九州記念は度外視可能。近走の充実度は非常に高く、軽視は危険な一頭だ。

注目馬:レシステンシア、ジャンダルム

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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