【紫苑S】先行有利・時計がかかる可能性あり 「中山得意」「機動力タイプ」スライリーに注目
三木俊幸
ⒸSPAIA
近年は先行有利
9月11日(土)に中山競馬場で行われるのは秋華賞トライアルの紫苑S(GⅢ・芝2000m)。2016年にGⅢに格上げされて以降、毎年のように秋華賞本番でも上位に好走する馬を輩出しており、来週末に行われるローズSよりも本番への直結度は高くなっている傾向にある。そんな一戦について、今週も馬場傾向の観点から分析していく。
開幕週に行われるということもあり、直近3年の優勝馬の通過順位を見ると2018年ノームコアは5-4-6-5、2019年パッシングスルーは3-3-3-3、2020年マルターズディオサは2-2-2-1とある程度前目につけている馬が結果を残している。
その一方で2018年2着マウレアが5-6-8-7、2020年2着パラスアテナが8-8-6-4と中団追走からも馬券圏内に好走。先行有利の傾向は強いが、4角から直線に向く時点で前を射程圏に入れられるポジションにつけられる器用さがあれば、差し馬でも好走可能だと言えるだろう。
馬場傾向という面からは、2019年より前は良馬場なら上がり33秒台の末脚が求められることも多かったが、2020年は傾向が一変。稍重だったということを抜きにしても、4回中山開催を通じて全体的に時計・上がりとも極端にかかるレースが多くなっていた。
近年、馬場のクッション性確保のためにエアレーション作業やシャタリング作業が行われ、開幕週ほど柔らかい馬場となることが多く、そこに秋雨も加わってくる。昨年同様の時計のかかる馬場になるかどうかは、蓋を開けてみなければ分からないが、そういった馬場になる可能性もあるということは考えておく必要がありそう。
中山巧者の2頭に期待
今週末の天気予報を見ると、金曜日から日曜日にかけて雨がぱらつく可能性があり、先週末から週の前半にも雨が降ったことから超高速決着にはならないと考える。そうした点を踏まえて注目馬をピックアップ、特に気になっている馬には☆をつけている。
【☆ホウオウイクセル】
中山コースはフェアリーS2着、フラワーC1着と得意にしている。フラワーC時のように先行するのが理想だが、コーナーを上手く利用して上がっていける器用さも持ち合わせているので、4角である程度の位置まで押し上げることができると考える。2000mへの距離延長も歓迎材料だ。
【エイシンチラー】
夏競馬で2連勝中の上がり馬。2走前の織姫賞はスタート直後から豪雨に見舞われた中でのレースとなったが、好位からロスなく立ち回った。そして前走の三面川特別は後方追走から直線大外に持ち出し、ゴール前で差し切るという内容。コース形態、レースぶりが全く違う中で結果を残している点は評価できる。高速決着での実績はないが、中山コースの実績は十分。適度に時計がかかる馬場で、先行できれば勝負になるだろう。
【ハギノピリナ】
オークスでは16番人気ながら、大外から追い込みあわやと思わせる場面もあっての3着。デビューから5戦全てが2000m以上というように長い距離があっている馬だ。後方からレースを進めるタイプで届かないということもありえるので、今回は押さえまでという評価。
【メイサウザンアワー】
3走前の赤松賞ではアカイトリノムスメの2着、前走のカーネーションC1着と東京コースでも結果を残しているが、唯一馬券圏外の4着に敗れたフローラSでは狭いところを通る形になったうえ瞬発力でも他の上位馬より劣っていた。そうしたことから未勝利勝ちの実績がある中山コースに変わることはプラスだと言える。
【☆スライリー】
前走のオークスはスタート後に接触があり中団からのレースとなった。その後4角では2番手まで押し上げたが失速。早めに動いたこともあるが、距離も長かった。フローラSでは好位からしぶとく粘り2着となっているように2000mは全く問題なし。また4走前の菜の花賞を勝った時には6番手追走から徐々に進出する競馬をしており、機動力が活かせる中山コースへの適性は高いので期待したい。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
《関連記事》
・【セントウルS】狙うなら距離短縮組! レシステンシア、ラウダシオン、大穴候補は?
・【京成杯AH】グレナディアガーズ出走予定も主軸はバスラットレオン 伏兵は今年も関屋記念組
・【紫苑S】春の実績馬か夏の上がり馬か 好データが揃ったのはエイシンチラー
おすすめ記事