【京成杯AH】「前走3勝クラス」に配当妙味あり マイナスデータを持たないクリノプレミアムに注目!

門田光生

京成杯AHの前走着順別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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来れば「プレミアム」馬券?

2021年9月12日に中山競馬場で行われる京成杯オータムハンデ(京成杯AH)。このレース名を聞くと、秋競馬の到来を感じるファンも多いのではないか。

京成杯AHといえば、ここ10年で2回もレコードが出ている「超高速レース」でもある。2012年にレオアクティブが記録した1分30秒7にもびっくりしたが、2019年にはトロワゼトワルが1分30秒3を叩き出してそれを更新。開幕週に加えて、芝の生育に適した季節というのも関係あるのだろうか。

そんな京成杯AHにはデータ的にどのような特徴があるのか。いつも通り過去10回の数字を基にして検証していきたい。なお、2014年は新潟開催なので、この年を除く2010~2020年のレースを参考としている。

京成杯AH出走馬の所属と性別,ⒸSPAIA


まずは所属別から。出走頭数は美浦所属馬が84頭、栗東所属馬が67頭。いつもの東の主場、といった割合である。東の主場でも栗東所属が優勢のケースが多いのだが、このレースは美浦8勝、栗東2勝。勝率だと美浦所属馬の方が3倍以上も数字がいい。連対率も美浦所属に軍配だが、複勝率となると栗東所属馬がわずかに上回っている。

性別だとどうか。牡馬・セン馬は125頭に対して牝馬が26頭と、出走頭数では差がついているが、連対数は牡馬12頭(7勝)に対して、牝馬は8頭(3勝)。勝率、連対率ともに牝馬の方が上という結果が出ている。「夏は牝馬」の余韻がまだ残っているのかもしれない。

さらに細かく分けて見ていく。まずは牡馬・セン馬だが、7勝すべてが美浦所属馬が記録したもの。栗東の牡馬・セン馬が勝っていないのは意外。一方、牝馬は栗東所属の成績がよく、連対率は36.4%の高水準となっている。

京成杯AH出走馬の年齢,ⒸSPAIA


菊花賞を目指す馬は別として、この時期から本格的に3歳馬が古馬重賞戦線に参戦。今年の3歳馬のレベル、古馬との力関係はどうなのか。推測するのも予想のひとつ、そして楽しみのひとつでもある。

このレースはというと、3、4、5歳馬がほぼ互角。6歳以上からは1頭しか勝ち馬が出ておらず、若い世代に比べると苦戦傾向となっている。

京王杯AH出走馬の斤量,ⒸSPAIA
京成杯AH出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


レース名が示す通り、このレースはハンデ戦。軽ハンデ馬から重ハンデ馬まで、まんべんなく馬券に絡んでおり、特に目立った傾向は見当たらなかった。ただ、前走と比較すると、斤量減、斤量増の馬と比べて、同斤量だった馬の勝率が極端に悪い。理由は分からないが、斤量据え置きの馬は評価を下げた方がよさそうだ。

逆にプラス要素になりそうなのが前走着順。前走1、2着が8勝と強さを見せている。特に前走1着馬は、勝率、連対率ともに抜けた数字となっている。

京王杯AH出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
関屋記念出走組,ⒸSPAIA


秋競馬といえば、復帰してきた実績馬に夏の上り馬が挑戦する構図が多く、どちらに軍配が上がるのかを予想するのも面白いところ。この京成杯AHは、3勝クラスを使ってきた馬が【4-0-0-3】。勝率が5割を超えており、ここから挑んできた馬は注目すべきだろう。勝った4頭が経てきたレースはバラバラで、福島1頭、中京1頭、新潟が2頭で4頭とも前走1着という共通点があった。

最も多く出走しているレースはというと、同距離の重賞・関屋記念。過去10年で51頭が出走しているのだが、成績自体は【1-4-4-42】と平凡。もう少し掘り下げてみると、連対した5頭のうち、栗東の牝馬が3頭を占めていた。上記で栗東の牝馬は好成績と書いたが、関屋記念組に限ると、さらに連対率が上がるが、今回は該当馬なし。逆に牡馬や美浦所属馬だと勝率0%で、連対率も5%以下となってしまう。

京成杯AHにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA
京成杯AHにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


ここで京成杯AHにおけるプラスとマイナスデータを挙げていく。まずプラスデータだが、前走1番人気に支持されていた馬は7頭しかいないのだが、そのうち3頭が勝っている。一方、前走3、4番人気だったのは20頭いるが、なぜか連対した馬は1頭もいない。前走を小倉で走った馬、また前走が1200mだった馬からも連対馬が出ていない。

最後に種牡馬に関して。ロードカナロア産駒が【2-0-0-1】。一見好成績に見えるが、この2勝はいずれもトロワゼトワルが記録したもの。強データとして推せるか微妙なところで、今後サンプルが増えてから判断したい。またディープインパクト産駒は【1-6-1-10】。連対率は高いものの、勝ち切れていないことも頭に入れておきたい。

3勝クラス経由組に注目

そろそろまとめに入ってみる。まず好走確率が高くなるデータはA「栗東所属の牝馬」B「前走1着馬、次いで前走2着馬」C「前走で3勝クラスを勝っている」D「前走1番人気」の4つ。

好走確率が低くなるデータはE「栗東所属の牡馬・セン馬」F「6歳以上」G「前走と同斤量」H「前走3、4番人気」I「前走が小倉」J「前走が1200m」。

京成杯AHで注目したいデータはC「前走が3勝クラス」。合計7頭が挑んで4勝、半分以上が勝っているのなら分の悪い賭けではない。勝った4頭のうち、1番人気に支持されたのは、ルメール騎手が騎乗した2018年のミッキーグローリーだけ。配当的にも妙味ありといえる。

今回の登録馬で3勝クラスを経由してきたのは、アカノニジュウイチ、カレンシュトラウス、クリノプレミアムの3頭。いずれも前走を勝っての挑戦で、これも過去の勝ち馬とパターンは同じ。この3頭のデータはどうなっているか。

まずアカノニジュウイチだが、前走がこれまで連対がないJ「前走が1200m」に該当しているので脱落。カレンシュトラウスは56頭が出走して勝ち馬が出ていない「栗東所属の牡馬」に該当するのが気になるところ。

となると、これといったマイナスデータを持たないクリノプレミアムが狙い馬となる。ちなみに、母「ダンシングクイーン」はABBAの代表曲と同名だが、そのABBAはつい最近復活を宣言したばかり。時事ネタ馬でもある。

もう1頭気になるのはスマートリアン。今回、好走率の高い唯一のA「栗東所属牝馬」であり、B「前走2着」D「前走1番人気」にも該当。これもクリノプレミアムと同様、該当するマイナスデータがないので有力候補と考えていいだろう。

上記に名前が出たカレンシュトラウスも連なら可能性は十分ありそう。カラテは関屋記念組。関屋記念を経由した牡馬は好走率が低いものの、こちらも連の可能性ならあるので押さえる。今回はこの4頭が有力候補となる。

◎クリノプレミアム
◯スマートリアン
▲カレンシュトラウス
△カラテ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
1997年までは「京王杯AH」の名で行われていて、1998年から「京成杯AH」に変更。同じく下半期に行われる「京王杯2歳S」は、1997年まで「京成杯2歳S」でした。関西に住んでいる私は「京成電鉄」と「京王電鉄」の違いをよく分かっていないので、とにかくややこしい。関西でいえば「阪急電鉄」と「阪神電鉄」ぐらいの違いがあるのでしょうかねえ。

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