【紫苑S】追い込み馬には厳しいデータ 注目は新潟からの転戦馬ホウオウラスカーズ

佐藤永記

紫苑S過去5年残3F時先頭とのタイム差別成績,ⒸSPAIA,ⒸSPAIA

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先頭とのタイム差で明暗クッキリ

重賞として6年目となる紫苑Sだが、開催時期が秋緒戦一発目の重賞ということもあり、過去を見てもローテはバラバラ。夏競馬を戦ってきた上がり馬から、オークスからの直行組など比較が難しい重賞である。しかし、稍重だった昨年を除きあまり荒れるレースではなく、基本をしっかり押さえておけばよさそうな重賞だ。

中山芝内回り2000mらしく後方一気は決まらずある程度前々に位置取りしておくか、捲り上げて早めに好位に取り付く必要がある。重賞として行われた過去5年における残り3Fでのタイム差は、0.7秒以内でなければ馬券圏内には入れない。2017年は4角11番手だったディアドラが勝利しているが、これも残り3Fで先頭と0.5秒差とかなり詰めていた。

紫苑S過去5年残3F時先頭とのタイム差別成績,ⒸSPAIA


では、残り3Fで前と差を詰めた状態で競馬できそうなのはどの馬か。ということになるが、もちろん大半の馬に先行経験がある。この時点ではまだまだ絞れない。だが、意味がなさそうだった過去の多彩な前走をチェックしてみると、新潟転戦組に気になるデータがあることに気づいた。


まさかの新潟外回りが紫苑S向き

オープン特別時代を含めた過去10回(2014年は新潟開催のため除外)を見てみると、前走新潟芝外1600mの馬が【2-0-0-3】と、前走オークス組の2勝と並ぶ好成績を挙げている。新潟芝外1600mは長いバックストレッチ、直線競馬を除く日本一長い直線、そして半周戦という中山芝内2000mとは全く異なるコースであるのに、紫苑Sにおいては関連性が高い。

紫苑S中山開催過去10年前走コース,ⒸSPAIA


想像にはなるが、新潟の600mを超える直線で長く良い脚を使う勝負と、中山小回りで捲り上げたり、先行し粘り続ける走りは、一瞬のキレより持続力を必要とする部分において近いところがあり、関連性があるのではないかと思う。

それであれば面白い馬は、前走新潟芝外1600m2勝クラスの月岡特別を勝ったホウオウラスカーズが浮上する。3番手からの競馬で残り3Fでは先頭と0.3秒差。上がり33.5と前々に位置しながら長く良い脚を使い続けた経験がハマるという期待を抱かせる内容だった。

多彩なローテの馬たちが出走するため順位付けの難しいレースだが、単複で割り切るなら注目馬は1頭でいい。3勝クラスのため抽選対象でもないため、今の段階から好走に期待したい馬だ。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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