【セントウルS】1番人気断然もヒモ荒れ多発! 今年は混戦模様のセントウルSの歴史を振り返る

緒方きしん

セントウルS過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA

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いよいよ秋競馬がスタート

盛り上がった夏競馬も終わり、今週からは秋競馬が始まる。まずはスプリンターズSの前哨戦・セントウルS。過去に多くの名スプリンターを輩出した一戦だ。阪神競馬場にセントウルガーデンやセントウル像がある通り、例年は阪神競馬場で開催されるレースだが、昨年に続き中京競馬場でのイレギュラー開催となる。

今年は重賞初挑戦から3戦連続で2着のカレンモエが出走。2011年にスプリンターズSを制した名スプリンター・カレンチャンの娘として、重賞を勝って本番に挑みたいところ。昨年のNHKマイルCを制し、今年も京王杯SCを勝利しているラウダシオン、2019年2歳女王で今年に入ってからも阪急杯を制したレシステンシアも参戦。勢いに乗る3歳牝馬からはシゲルピンクルビー、ベテランの7歳勢からはレッドアンシェルが参戦し、多彩なメンバーが揃った。

秋のGⅠ戦線トップバッター・スプリンターズSに向けた重要な一戦。1987年に重賞になって以降、マイネルラヴやサンアディユ、ビリーヴ、ダッシャーゴーゴーといった様々な名馬がここを制してきた。今回はセントウルSの歴史を振り返る。

1番人気が5連勝中

セントウルS過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


ここ5年、1番人気が全勝。圧倒的な安定感を誇っている。ちなみにこの1番人気5連勝の前は、1番人気2着が4年連続で続いていた。その4年間ではロードカナロアやハクサンムーンが1番人気で2着という結果に終わっている。ちなみに、2010年以降は関西馬が圧倒的な戦績を残していて、関東馬の勝利は2019年タワーオブロンドンのみである。

1番人気が安定感を誇っているとはいえ、決して平穏決着とは限らないのがこのセントウルS。昨年は12番人気メイショウグロッケが2着に食い込んだことで馬連が万馬券になっている。ここ5年でも7番人気馬が2着や3着となっているほか、9番人気馬や6番人気馬も馬券圏内に食い込んだ。中穴も十分に期待が持てるレースとなっている。

二桁人気馬も、2015年に10番人気アクティブミノルが勝利。2012年には12番人気アンシェルブルー(単勝160.4倍)が3着に食い込み、1着のエピセアローム(6番人気)とのワイド馬券が140.9倍という配当になった。

1番人気スズカフェニックス・2番人気ファイングレインがそれぞれ8着・9着に敗れた2008年は2着が11番人気シンボリグラン、3着が9番人気スプリングソングで、三連単が8818.2倍になった。

中京開催は本番でも注目

レギュラー開催は阪神競馬場のセントウルSだが、中京で開催した年も少なくない。過去の中京開催セントウルSでは、エイシンワシントンやシーイズトウショウ、エーコーシーザー、ニフティニースといった馬たちが勝利。

特に、シーイズトウショウが勝利した2006年セントウルSは好メンバーで、8歳馬ネイティヴハートが3着、7歳馬リミットレスビッドが4着とベテランが活躍したことも特徴的だ。2着馬もオーストラリアから遠征してきた7歳馬、テイクオーバーターゲット。同馬は次走、4頭の外国馬参戦などで盛り上がったスプリンターズSを勝利している。また、2着はメイショウボーラーで、こちらもセントウルSを経由した馬だった。

久々の中京開催となった昨年はダノンスマッシュが勝利。こちらはスプリンターズSでグランアレグリアに敗れたものの、次走・香港スプリントで勝利しGⅠ馬となった。さらに今年になって高松宮記念も勝利し、GⅠ連勝を達成している。

母母父オグリキャップ、ラインミーティアに思いを馳せる

ここ5年において、ダノンスマッシュ、タワーオブロンドン、ビッグアーサーの3頭が『サンデーサイレンスなし』でここを制している。また、母父サンデーサイレンスであるアドマイヤムーン産駒・ファインニードルが制した2018年・2017年も、2着馬ラブカンプー、ラインミーティアともにサンデーなし。特にラインミーティアは母母父オグリキャップと、今なら更に人気が出そうな血統だった。

ラインミーティアは、父に皐月賞3着・フェブラリーS勝ちという芝ダート二刀流だったメイショウボーラーを父に持つ血統の馬。アイビスSDで勝利するなど快速ぶりを見せていたが、蹄葉炎により現役中に急逝してしまった。先日、若き種牡馬ドゥラメンテが急性大腸炎でこの世を去ったことも記憶に新しい。多くの競走馬が、天寿を全うできることを心から祈る。

今年はカレンモエだけではなく、2002年の覇者・ビリーヴとKitten's Joyの産駒であるジャンダルムなど、名スプリンターゆかりの楽しみな血統の馬も多く出走する。各馬が実力を出し切り、秋競馬の素晴らしいスタートが切れるよう、応援したい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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