【新潟記念】斤量据え置きで逆転優勝へ好機 東大HCの本命はショウナンバルディ

東大ホースメンクラブ

新潟記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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警戒すべきは人気薄の先行馬

9月5日(日)に新潟競馬場で行われる新潟記念(GⅢ・芝2000m)。夏競馬を締めくくる一戦に精鋭17頭が集結した。

有力視されているのは長期休養明けのエプソムCで重賞初制覇を飾ったザダルや、函館記念を制しサマー2000シリーズ優勝に王手がかかるトーセンスーリヤ、追い込む形を覚えて結果を出し始めたクラヴェルなど。難解な夏競馬を象徴するかのようなハンデ戦を制するのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。


新潟記念過去10年レース傾向,ⒸSPAIA


最初に過去10年のレース傾向を分析する。11年を除いて開幕最終週に行われてきた新潟記念。ラップを見ると多くの年はスロー~ミドルペースで流れているが、内目の馬場が荒れていることもあってか後方待機勢の活躍が目立つ。4角10番手以下の馬が【5-2-5-54】と頭まで来ており、長い直線を活かした追い込みにも気を配る必要がある。

ただ穴で狙うなら断然先行勢。6番人気以下の馬に絞ってみると、逃げ・先行馬は【2-5-2-26】で複勝率26%と下位人気馬とは思えない成績を残している一方、差し・追込馬は【2-1-5-70】で複勝率は10%に留まる。なお、14番人気以下は【0-0-0-35】と壊滅的なため極端な穴狙いはオススメしないが、三連系のヒモ選びに迷った際には前で運べる馬を優先すべきだ。


トップハンデ2頭に不安あり

新潟記念過去10年レース傾向,ⒸSPAIA


次に、出走頭数の多い前走重賞組について、前走からの斤量変化に応じて分類してみた。まず斤量減となる馬は【3-0-0-32】と極端な成績。3勝についても過去10年で唯一馬券になった牝馬であるコスモネモシンのほかは、1番人気と2番人気が1勝ずつしているだけ。いくら斤量が減っても重賞で戦える地力がない馬には厳しく、該当馬は基本的に消してしまって問題ない。

斤量に増減なしであれば【3-6-5-52】とそれ自体では何ら強調するところのない成績。このうち5歳以下と比較的若い馬に絞り込むと【2-3-4-18】で複勝率33%と良化する。対する6歳以上の馬も好走例がないわけではないが、17年以降は12頭が出走しながらただの1頭も馬券に絡んでおらず、近年のトレンドからして軽視が妥当だ。

斤量増となる馬は全体で【3-2-2-12】と優秀。ただ、前走で結果を残したことで57kg以上を背負うことになった馬は【0-1-2-10】と好走例に乏しく注意が必要。唯一連対したアルバートドック(16年)は57kgで同年の七夕賞を制しており、既に重いハンデを克服済みだった。

今年57.5kgを背負い斤量増組に属するザダルとトーセンスーリヤの前走斤量はともに56kgで、いきなりの1.5kg増。両者にとって厳しいレースになることは間違いない。


サマー2000シリーズ逆転優勝へ

◎ショウナンバルディ
前走・小倉記念では3コーナーにかかるところで内からも外からも競りかけられ位置を下げてしまった。このロスで流れに乗ることができず、露骨に外が伸びる馬場も相まって無念の5着。敗因は明確で、近走の勢いは未だ衰えていないとみる。

また、この敗戦によって今走の斤量は55kgと相対的に甘くなった。災い転じて福と為すとはまさにこのことで、トップとの差が2.5kgもあるのは魅力的だ。元々左回りコースは【2-1-1-2】と得意。超不良馬場だった今年の福島民報杯を除けば崩れておらず、常識的な馬場なら新潟もこなせるだろう。

◯エフェクトオン
前走は前残り決着に思えた中、4角で絶望的な位置取りも進路を内に取り鋭く伸びてのV。上がりタイムも優秀な上、2000mにも対応できるところを見せ収穫の多いレースだった。先週の新潟2歳Sをみるに本馬が得意とするイン差しという選択肢も十分有効で、最後方からになっても進路取りに幅があるのはアドバンテージとなる。前章では触れなかったが、3勝クラス組も【1-2-1-22】と少ないながらもチャンスはある。このうち連対した3頭がいずれもディープインパクト産駒という点も心強い。

▲クラヴェル
追い込む競馬が板についてきて、3勝クラスは勝っていないながらも重賞で通用。牡馬相手にも引けを取らない末脚は素直に評価したい。牝馬が過去10年で【1-0-0-17】と振るわない点は気掛かりだが、その中に近2走連続して重賞馬券圏内という馬はいない。本馬は例外視して近走の充実ぶりに賭けてみたいところだ。鞍上的にも戦法的にも軸には向かないが、人気馬で重視するならこの1頭だろう。

△ザダル
8か月もの長期休養からの復帰戦となったエプソムCを制しており素質は本物。トップハンデはマイナス要素であるものの、一度使ってさらに良化してくることを考えると押さえておかなければならない存在だ。トップハンデを負う2頭の比較でも、距離や左回りへの適性でトーセンスーリヤよりも可能性を感じる。

以下、デムーロ騎手騎乗のマイネルファンロンまで印を回す。過去10年でデムーロ騎手はこのレース【1-3-0-1】と好相性。馬自体も前走は終始逃げ馬と競り合う厳しい競馬をしており見直しは利く。人気が予想されるトーセンスーリヤとリアアメリアに関しては重い斤量を嫌って無印とする。

▽新潟記念予想▽
◎ショウナンバルディ
◯エフェクトオン
▲クラヴェル
△ザダル
×マイネルファンロン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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