【新潟記念】左回り、直線の長いコースはザダルのベスト条件 穴ならプレシャスブルー

坂上明大

七夕賞馬場/展開バイアス:内有利,ⒸSPAIA

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長欠明けでの初重賞制覇

サマー2000シリーズ最終戦・新潟記念。優勝争いはショウナンバルディとトーセンスーリヤの2頭に絞られており、前者は勝つことが絶対条件、後者は4着以内で優勝の権利を得ることができる。その他、秋の飛躍を狙うものも多数おり、ハンデ戦ということからも大混戦の一戦となりそうだ。

【エプソムC】
ラチ沿いの芝の傷みが目立ち前日は外差しがよく決まっていたが、当日は内目を空けた競馬が多く、外々を回る馬には距離ロスが大き過ぎる競馬が続いた。本レースも1~6着馬は4コーナーを「最内~中」を通過。外不利。ペースはエアアルマスが先手を取り35.3-34.9-34.9。ワンペースの競馬でタフさが求められる展開でもあった。

1着馬ザダルは中団馬群で折り合い、直線に向いてスムーズに外に出す形。ラストはサトノフラッグの追撃も凌ぎ切り、初重賞タイトルを手にした。ただ、G3としては時計面に物足りなさを感じ、レベルの高い一戦だったとは言えないだろう。本馬は柔らかいフットワークで走り、しなやかな末脚が持ち味。新潟外回りで①着、東京で①③⑤①着と左回りの直線の長いコースがベストだ。

9着馬ヤシャマルは好位で直線を迎えたが、上位馬には完全に伸び負け。連勝での重賞挑戦となったが、やや力差を見せつけられる結果となった。

13着馬プレシャスブルーはいつも通り行き脚がつかず最後方から。3~4角では大外を回す形となり、ゴール前では脚が上がってしまった。脚の使いどころが難しい。

内有利のトラックバイアス

七夕賞馬場/展開バイアス:内有利


【七夕賞】
日~金曜で67.0mm、土曜1.0mm、日曜8.5mmと雨の影響を強く受けた一週間。馬場状態は土日ともに稍重で、特に本レース時は非常に重たいコンディションであった。ただ、内側の傷みは進まず、土日ともに「内有利」のトラックバイアス。上位馬のほとんどが4角を「最内~内」を通過しており、外を回った馬にはかなり厳しい競馬となった。ペースはロザムールが掛かり気味に先手を取り、小回りコースらしい坦々とした流れ。タフさと機動力が求められた一戦であった。

3着馬ショウナンバルディは中団内目で脚をタメ、直線はじわじわと伸びて勝ち馬から0.2秒差。トラックバイアス通りの競馬であり、ハンデ差も加味すると高い評価はできないか。

5着馬プレシャスブルーは外々を回して唯一の掲示板入り。全5勝を中3週以内で挙げており、近走では初富士S、新潟大賞典、七夕賞の走りが本馬のベストパフォーマンスといえるだろう。体調のコントロールが難しいが、展開さえ向けばG3の1つや2つ、いつ勝ってもおかしくない。

レースセンスの良さ光る

【函館記念】
マイネルファンロンとレッドジェニアルが競り合って前後半1000m58.5-60.2の前傾1.7秒。3番手以下は同59.1-59.6の前傾0.5秒であり、前半で下り坂が続くコースレイアウトを加味するとペースは平均~稍スロー程度とみるべきだろう。ただ、当時は直線後方からの強風が吹いており、数字以上に差しが届くレースでもあったか。

1着馬トーセンスーリヤは離れた3番手の絶好位。直後のバイオスパークと同じようなラップを刻み、同馬以上の末脚を使った。着差ほどの能力差は感じないが、レースセンスの良さには素晴らしいものがある。

14着馬マイネルファンロンは先行争い激化でオーバーペース。展開次第では巻き返しが期待できるだろう。

適条件のザダルが最有力

人気馬ではザダルの適性が一枚上。左回りの直線が長いコースはベスト条件だ。今回触れられなかった組ではリアアメリア、クラヴェルも舞台適性は悪くない。穴ではプレシャスブルーに注目だが、間隔を詰めた方がいいタイプだけに状態面には要注意。

注目馬:ザダル、リアアメリア、クラヴェル、プレシャスブルー

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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