【新潟2歳S】ハイレベルの一戦制した良血馬に期待　東大HCの本命はアライバル

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決め手の有無が着順に直結

8月29日（日）に新潟競馬場で行われる新潟2歳S（GⅢ・芝1600m）。出走予定頭数は12頭と少なめだが、素質馬が多く集まり近年でも指折りの好メンバーといった印象。夏の新潟マイル重賞を制し、来たる秋冬に向け弾みをつけるのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。

最初に過去10年のレース傾向を分析する。2歳戦らしく前半はスローで流れ、直線入口の残り3F地点からギアが上がるといったラップ構成。いわゆる「よーいドン」の競馬で、上がり3Fタイム2位以内の馬が【10-6-3-2】と馬券の大半を占める。差し馬・追込馬の好走例も豊富で、位置取りに関わらず速い上がりを使えるかどうかがカギだ。

そして決め手の有無については前走内容が重要な判断材料となる。前走上がり3Fが3位以下だと【0-0-0-46】と馬券に絡んだ例が皆無で、5着以内を確保したのもわずか2頭。新馬・未勝利戦やこの時期のOP戦において末脚が見劣るようでは、重賞に挑んでくるような他の末脚自慢に到底太刀打ちできないということだろう。

今年これに該当してしまうのは、前走見栄えのする勝ち方をしたウインピクシスや良血馬を抑えてデビュー勝ちを決めたクレイドル、逃げてダリア賞3着タガノフィナーレの3頭。特に先の2頭は人気が予想されるが、データ的には消し一択と言わざるを得ない。

狙い目は左回りで早々に勝ち上がりを決めた馬

次に前走左回りと右回りのどちらを使われたかで分けて成績を調べた。左回り組は【10-8-5-95】と連対馬の90%を占めている一方、右回り組は【0-2-5-33】と好走しても2・3着止まりでその数も少ない。複勝率で比較すると差はほとんどないものの、アタマ及び連軸に据えるなら圧倒的に前者ということになる。経験の浅い2歳馬にとって直近で本レースと同じ左回りを走っている方が好ましいということは直感的にも頷けよう。

また前走からの間隔も大いに参考になる。中4週以下と詰まった間隔での臨戦馬は【5-2-1-83】、複勝率8.8%という成績で、4番人気以下から馬券に絡んだのは15年の2・3着馬だけ。複回収率も26%と低調だ。対して中5週以上となると【5-8-9-45】、複勝率32.8%と優秀で複回収率も100%超。2歳の若駒にとって夏場の連戦は体力的に堪えるということだろう。

順当に勝って楽に大舞台へ

◎アライバル
デビュー戦ではムチが入るとグイっと加速。その後は持ったままで2着に0秒4差をつけて圧勝した。その2着馬プルパレイは次走の未勝利戦を2歳レコードで快勝しており、レースレベルの高さは証明済み。師をして「最低でも2着」と言わしめる逸材で、GⅢで崩れるような馬ではない。また過去10年の新潟2歳S勝ち馬は全て4番人気以内とアタマに関しては比較的堅く決まっている。血統も後押しして1番人気となることが濃厚だが、ここは無理に逆らわず素直に本命に据えたい。

◯クラウンドマジック
前走は7番人気ながら良血馬を差しきって2歳の一番星に輝いた。致命的な出遅れがあったことも考えると評価に値する内容で、ラッキーの一言で片付けることはできない。さらに注目すべきはゴール直前で見せた凄まじい末脚で、スイッチが入った残り200m地点からの加速は目を見張るものがあった。初戦こそ出遅れてしまったが、2戦目でその辺りの改善も見込める。最終的には中位人気で落ち着くだろうし、初戦に続く再びの大物喰いに期待したい。

▲セリフォス
前走は残り1000mから11秒台が連続する新馬戦としてはハイレベルな一戦。4角から先頭に立ちレースを引っ張りながらも、詰めてきた2着馬を再び突き放す辺りまだ奥がありそう。またダイワメジャー産駒は過去10年で【1-2-1-9】と当レースと相性が良く、牡馬に限れば【1-1-1-4】で回収率もプラス収支の水準。血統的にも推奨できる。

△スタニングローズ
新馬戦こそ逃げ馬を捉えられず2着に敗れたが、次走はノーステッキで上がり最速をマークし2馬身半差と文句なしの勝ち上がり。前走で右回りを使われているため重い印は打たないが、能力的には上に挙げた馬と遜色ないものとみる。

以下、馬場が味方したとはいえ新潟マイル戦で良血馬相手にワンサイドゲームを演じたオタルエバーまで印を回す。そして人気が予想されるウインピクシスとクレイドルに関しては、初戦からして重賞での末脚比べでは分が悪いとみて無印とする。

▽新潟2歳S予想▽
◎アライバル
◯クラウンドマジック
▲セリフォス
△スタニングローズ
×オタルエバー

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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