【キーンランドC】メイケイエールのかかり癖が鍵 京大競馬研の本命は重賞2勝馬ダイアトニック

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逃げ馬がスムーズに走れるか
8月29日(日)に札幌競馬場でキーンランドカップ(GⅢ)が行われる。桜花賞18着からの巻き返しを図るメイケイエールや、重賞2勝馬のダイアトニック、3連勝で葵Sを勝ったレイハリア、他にも夏の北海道で成績を残した馬が多数参戦する。
メイケイエールは現役屈指の癖馬で前に馬がいるとかかってしまうことで有名。これは今回のレース展開にも影響を及ぼしそうだ。ここではキーンランドカップ好走馬の脚質を調べた上で、メイケイエールの動きを中心とした展開予想を行う。

過去10年の好走馬のコーナー通過順位と3ハロンごとのタイムを調べた(2013年は函館開催)。函館SSのような開幕週の重賞と比較すると、使い込まれた分差しも届くようになっている。ただ直線が短いため差し有利と言えるほどの脚質差はないのが当レースの特徴だ。
逃げ馬が馬券に残った年が2012、2013、2016~2018年の5年あって、逃げた5頭とも先行争いを制して4コーナーまで絡まれずに走ることができていた。テンが速い上に末脚を残すというのは人気薄に出来る芸当ではなく、5頭とも当日5番人気以内の支持を受けていた。逃げ残りの起こる年は多少ペースが速くても前々で決まることが多く、2017年1着のエポワス、2013年2着ストレイトガール以外は先行馬が上位を占めた。
一方で逃げ馬が同型馬に並ばれる苦しい展開に巻き込まれると、最後まで脚が持たず4コーナーで先行勢を巻き込んで下がっていくため、外を回した差し馬が上位を占める例が増える。3頭の逃げ争いが4角まで続いた2015年、2頭で逃げ争いをした上に雨で馬場の内側が悪かったために2頭とも止まった2020年がその実例だ。

メイケイエールの走りについて
今年の逃げ候補はレイハリアのみ。セイウンコウセイが加齢による衰えで逃げられなくなった今、何事もなければレイハリアの単騎逃げが予想される。
しかし今年はメイケイエールがいる。前の馬を抜き去ろうと御しきれずに道中早めに先頭に立つ、マクりに近い走りをしてしまう。能力のあるメイケイエールが動いたタイミングで他馬もつられてペースを上げてしまい、そのぶん速い時計がでてしまうのがこの馬のいるレースの特徴になっている。そのため他馬は速い時計に対応することが重要になる。
今週は土日とも晴れ予報で馬場も極端に荒れておらず、その部分では脚質の有利不利はなさそう。今回もメイケイエールがかかると予想しているため、レイハリアが絡まれて失速し、高速決着のレースで実績を残している差し馬が上位を占めると考えた。
◎ダイアトニック
高松宮記念3着の実績馬。昨年のキーンランドカップは重馬場で伸びない最内を走らされ惨敗、スプリンターズSは直線で詰まるなど敗因が明確。GⅠ以外では崩れない安定性と幅のある脚質で展開を問わないのがプラス。昨年の函館SSを1分7秒5で勝ちきったように高速決着への適性は十分。年齢を重ねたうえにあくまで次走への叩きで8割仕上げになると思われるが、休み明け自体を問題にする馬ではないので、この相手ならどのような展開でも上位の走りをしないといけない立場だ。
◯ミッキーブリランテ
前走函館SSは中団から伸びて3着。先行した2頭は馬場有利があったとは言え前半32.8を後半34.8でまとめた超強力な内容。ラップ上は後ろ有利と言えるレースだった。ただ中団から詰め切れなかった以前とは違い、タイム差なしまで詰め寄れたのは成長の証。メイケイエールがかかった場合、差しも届く今の馬場ならば前走以上の成績を期待できる。
▲ロードアクア
函館SSで本命を打った馬。当時は出遅れて外を回す無策な競馬。乗り変わった2走前は4角先頭から勝ちきった。前走はハンデ増が敗因だが、上位との着差は0.3秒と小さい。展開が向くかは微妙だが重賞で戦える能力の持ち主。
△ヒロイックアゲン
千直コースで実績を残しているが、芝1200m戦では0.6秒以上の大敗をしない相手なりに走るタイプ。1分7秒5の持ち時計や千直での経験から高速決着への適性は見せている。激走に期待。
×レイハリア
メイケイエールがかかってしまうと道中絡まれて苦しい展開になる。また葵S上位馬の重賞での時計が平凡でレイハリア自身も速い時計は苦手と考える。しかしメイケイエールが折り合って走ることが出来た場合、一転して楽な展開になるため全く買わないというわけにもいかない。
消メイケイエール
前に馬がいるとかかる癖は、距離短縮では治らないと判断。調教再審査には合格したが、単走だったためほとんど参考にならない。ゲートが上手くない上に癖の矯正を放棄することにつながる逃げをレースの最初から選択するとは考えにくく、今回も先述のようにかかったまま道中位置取りを上げていくものと想定。ずっと速いペースを刻まされることになるため、レベルの上がる古馬重賞で今までのように上位をとれるかは疑問だ。
仮にかかり癖が治っていて後ろから競馬ができたとしても、今度はレイハリアの単騎逃げが叶ってスローに落ち着くため結果的に展開が向かなくなりそう。1番人気で買うにはあまりにリスクが高い。思い切って消す。
エイティーンガール、カツジ、ジョーアラビカはいずれも極端な追込みで成績を残す3頭。3頭とも重賞で上位入線した時の走破時計が平凡で高速決着への適性が無い。昨年のように馬場も悪くならないため、差し馬から買うとはいってもこの3頭の追込みが届くとは考えにくい。
ダイアトニックからの馬連4点で勝負。GⅠにつながる走りを見せて欲しい。あるいは筆者の想像を遥かに超えるメイケイエールの走りにも期待する。(文:福山)
2021キーンランドC 予想印
◎ダイアトニック
◯ミッキーブリランテ
▲ロードアクア
△ヒロイックアゲン
×レイハリア
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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