【キーンランドC】ハイレベルな3歳スプリント勢　参考レース分析からの注目馬は？

2021/08/26 11:00

坂上明大

ⒸSPAIA

この記事のレース

キーンランドカップ

GⅢ

8月29日(日)　札幌11R

「制御不能でしんがり負け」

サマースプリントシリーズ第5戦・キーンランドC。今年は登録馬のなかからチャンピオンが出る可能性は極めて低いが、スプリンターズSの前哨戦としても注目度の高い一戦。特にメイケイエールとレイハリアには世代間のレベル差を比較する意味でも大注目だ。

【桜花賞】
メイケイエールはゲートの出が悪く後方で脚をタメようとしたが、まったく折り合いがつかず制御不能気味に先頭に立つ。その後は比較的折り合いがスムーズになったが、直線では反応がなく無理に追わずしんがり負け。前半800mを12.8-10.7-10.6-11.1程度で通過しており、ラストで脚が余っていなかったことも当然だろう。

それ以前のレースぶりからもスッといいポジションを取れれば1F11秒台前半で我慢が利くが、後方では制御が利かない可能性が高い。ただ、もともとゲートは速くなく、芝1200mのG3ともなるとポジションを取れない可能性の方が高いだろう。桜花賞のようなペースで入れば1200mでもラストは脚がもたない。気性面の成長は必須要件といえるだろう。

「ハイレベルな一戦」

2021年葵Sの展開/馬場バイアス,ⒸSPAIA

【葵S】
Bコース替わり初日で時計が速く、内目の馬場状態もかなりいい状態。レースラップは前後半3F33.2-34.9だが、2番手は33.6-34.5程度であり、レース当時が直線向かい風であったことを考慮すると公式ラップほど先行馬に厳しい流れではなかったか。「内有利」。

1着馬レイハリアは馬群の先頭に立ち、残り300m程で逃げたテイエムトッキュウを捉える。ゴール前ではヨカヨカの追撃をハナ差凌ぎ切り、3連勝で重賞タイトルを手にした。ヨカヨカとの比較では斤量や展開の利が大きかったが、ヨカヨカが北九州記念、3着馬オールアットワンスがアイビスSDを制しているだけにフロック視は禁物だ。

「人気ほどの力差なし」

【函館スプリントS】
変則日程により札幌芝1200mでの開催。昨年開催後に約7,600平方メートルの芝張替を実施し、4月末と5月下旬にはエアレーションを実施。1週間以上降雨がなく路盤は硬めで、非常に時計の速い馬場状態でもあった。内有利。ただ、レースはビアンフェが引っ張り、前後半3F32.8-34.8のハイペース。当時は直線向かい方向の風を受けていたとはいえ、さすがに差しも届く流れであったとみる。稍後有利。

3着馬ミッキーブリランテは中団馬群で脚をタメ、先行2頭に迫ったところでゴールイン。3～4角はやや包まれる形ではあったが、勝負どころではスムーズに外に出せており、自身の上がり3Fが11.1-11.3-11.5程度であったことも加味すると4着馬ジョーアラビカ、5着馬カツジとの差はそれほど感じられない。レースセンスの良さは評価したいが、人気ほどの地力差はないだろう。

12着馬タイセイアベニールは4角出口で内外から挟まれ失速。展開次第では巻き返しに要注意だ。

「予想のカギはメイケイエール」

今年のサマースプリントシリーズは現在4戦が終了して3歳馬が2勝2着1回と好調。その勝ち馬2頭を葵Sで下したレイハリアはここでも有力であり、メンバー的にも楽に好位を取れそうだ。ただ、メイケイエールが先行勢を苦しめる可能性もあり、エイティーンガールの強襲には注意したい。

注目馬：レイハリア、エイティーンガール

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。