最高額は3億3000万円、一口馬主高額募集馬ランキング!

高橋楓

一口馬主クラブ馬高額募集馬ランキング,ⒸSPAIA,ⒸSPAIA

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一口馬主高額募集馬ランキング!最高額は3億3000万なり!

まだ新型コロナウイルスが流行する前には、事前に予約をとる事で出資馬に会わせてくれるサービスを行っていた一口馬主クラブも多くあった。私も幾度となく足を運んだが、忘れられない1頭がいる。

目の前に現れたのはノーザンファーム育成で募集額8000万円、一口20万円のディープインパクト産駒。当時の名前は「ディエンティの2017」。父ディープインパクト×母父Storm Catの超良血馬。値段と競走成績が決して比例しない事を肌で知った1頭だったが、目の前に現れた時のオーラと美しさは今でも忘れる事が出来ず、愛し続けている出資馬である。

一口馬主クラブ馬高額募集馬ランキング,ⒸSPAIA



過去、一口馬主クラブの募集馬で最高額を記録したのはライオンレースホースで募集された「テンカハル」の3億3000万である。有馬記念やジャパンカップなど、国内最高賞金額が3億円と考えるといかに高額かつ衝撃的な数字かはっきりする。

以下、募集価格ベスト10を馬名(クラブ名・募集額・戦績)順にあげていく。なお、DMMバヌーシーに関しては10000口という超多口募集時代に、募集価格の中に会費や預託料、保険代金などを組み込んでいた時代があるので、今回はそれらを抜いた概算金額で調べている。

1位 テンカハル(ライオンレースホース・3億3000万・8戦1勝)
2位 ダブルアンコール(DMMバヌーシー・3億2760万・9戦1勝)
3位 キタノコマンドール(DMMバヌーシー・3億0178万・4戦2勝)
4位 エブリワンブラック(DMMバヌーシー・2億5052万・17戦4勝)
5位 ラヴズオンリーユー(DMMバヌーシー・2億4124万・14戦6勝)
6位 ブレイブライオン(ライオンレースホース・2億3000万・2戦0勝)
7位 サムライハート(サンデーレーシング・2億2000万・5戦3勝)
8位 ファイナルドリーム(DMMバヌーシー・2億1780万・4戦0勝)
9位タイ ユニコーンライオン(ライオンレースホース・2億・19戦5勝)
9位タイ ダンシングオン(社台レースホース・2億・49戦3勝)

以上の結果になった。7位のサムライハートは大種牡馬サンデーサイレンスと名牝エアグルーヴ、待望の初の牡馬産駒。9位タイのダンシングオンは半兄にエアダブリン、全兄姉にダンスパートナー、ダンスインザダークがいる超良血の牡馬。クラブとしても値段と期待が比例した形だ。それ以外の8頭はDMMバヌーシーとライオンレースホースの独壇場となった。

一口馬主クラブ馬セール購入金額,ⒸSPAIA


理由はハッキリしている。「セレクトセールを中心としたセールの超高額馬」を購入してきて、クラブの目玉として募集しているからである。以下がセールでの購入額だ。まずはセレクトセールの6頭。

テンカハル(2019年・3億1320万)
ダブルアンコール(2017年・3億9960万)
キタノコマンドール(2016年・2億0520万)
エブリワンブラック(2017年・1億4500万)
ラヴズオンリーユー(2017年・1億7280万)
ブレイブライオン(2019年・2億1600万)

次に海外セールの英国タタソールズオクトーバーイヤリングセールの2頭。

ファイナルドリーム(2017年・約2億2000万)
ユニコーンライオン(2017年・約1億3000万)

すべて1億超えのセール時の評判馬ばかりである。本来であれば数億円の金額が飛び交うセレクトセールの有力馬に個人が出資できるチャンスは極めて少ない。この2クラブはそれらを叶えてくれるコンセプトのクラブというわけなのだ。それを「夢、ロマン」と捉えられるかは人の価値観という事だろう。

春のクラシック路線は一口馬主クラブ馬が大活躍!秋も止まらぬ大旋風!

一口馬主クラブ馬2021年3歳路線成績,ⒸSPAIA


さて、ここまでは過去の超高額募集馬に注目してきたが、次は春の3歳GⅠ戦線に目を向けてみよう。

実に桜花賞を除く4レースで一口馬主クラブの所属馬が勝利していて、NHKマイルカップにおいては「黒、赤十字襷、袖黄縦縞」のサンデーレーシングの勝負服を身にまとったシュネルマイスター、ソングライン、グレナディアガーズの3頭が上位を独占した。

皐月賞はキャロットファームのエフフォーリア、オークスはサラブレッドクラブラフィアンのユーバーレーベン、日本ダービーはサンデーレーシングのシャフリヤールが制している。特にオークスでは募集額1500万円のユーバーレーベンが、今年亡くなった岡田繫幸総帥へ捧げるクラシック初制覇というドラマを作ってくれた。

では、秋のクラシック戦線に目を向けるとどうだろう。もちろん春の実力馬は要注目なのだが、ここでは2頭の新興勢力に注目したい。まずは社台レースホースの「ソーヴァリアント」。母ソーマジックの産駒は非常に堅実で、ステイゴールド産駒の半兄ソーグリッタリングは重賞戦線で何度も馬券に絡んでおり、ディープインパクト産駒の半姉マジックキャッスルは秋華賞でデアリングタクトをあと一歩のところまで追い詰め、その後牝馬重賞路線で活躍している。

2頭とも古馬に近づくにつれ成長していったが、本馬ソーヴァリアントも今夏の札幌2000mで古馬相手に2連勝を果たしている。弥生賞の際に抜けていなかったキ甲も徐々に抜けてきていて、秋に近づくにつれ本格化が見てとれるようになってきた。今後の重賞戦線で狙いたい一頭だ。

牝馬で言うとシルクレーシングの「アナザーリリック」を推奨したい。佐渡Sでは52kgの軽量だったとは言え、古馬の3勝クラスを圧勝。3着に負かしたモズナガレボシがその後に小倉記念を制覇。一気に注目馬に名乗りを上げた。次走がまだ未定との事だが、秋華賞に向かってくれば相当面白そうな1頭だ。

しかし気になるのは血統面。リオンディーズ産駒は各陣営が意識的に長い所を使っていないとはいえ、8月20日現在の良績は1800m以下に集中していて、2000m以上の勝ち星は54勝中6勝のみ。しかも5勝は未勝利戦。距離がもつか悩ましいが魅力的には変わりない。こちらも今後の重賞路線までしっかり覚えておきたい存在だ。

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。また、自身も若かりし頃に憧れた社台レースホースをはじめ多くの一口クラブに入会し、一口馬主ライフを楽しんでいる。

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