【北九州記念】2歳重賞ウィナーが完全復活! 京大競馬研の本命はジャンダルム

京都大学競馬研究会

北九州記念斤量別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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好メンバーの揃ったスプリント重賞

8月22日(日)に小倉競馬場で行われる北九州記念(GⅢ・芝1200m)。GⅠウィナーで昨年2着のモズスーパーフレアをはじめ、昨年勝ち馬レッドアンシェル、CBC賞覇者ファストフォース、春雷Sを完勝したジャンダルムなど、好メンバーが揃った1戦だ。先週は大雨の中開催が行われたため、馬場状態は大きな要素になりそう。先週の傾向等も踏まえながら予想していく。


先週の大雨で一気に開催後半のような馬場に?

先週小倉芝レース位置取り,ⒸSPAIA


7月1週小倉芝レース位置取り,ⒸSPAIA


まずは先週に行われた芝レース(障害競走を除く)における好走馬の位置取りについて見ていく。先週の芝14レースにおいて4角先頭だった馬は【3-3-1-7】だった。間に中断を挟んでいたため事実上の開幕週だったが、7月第1週の【6-2-0-5】と比べるとやや劣っていたと言える。また、差し馬の台頭も目立っており、ゴール前での様相一変が比較的多く発生していた。

4角先頭馬のコース取りについても、特に日曜日になると極端に内を空ける馬が増えていた。7月の第1週や土曜日と比較してもこの傾向は顕著であり、いかにも「開催後半」という馬場状態になっていた。この状態になってくると、いくら先行有利な小倉競馬場でも外差しがしっかり決まるようになってくる。そのため今回は差し馬にも十分チャンスが出てくると考えられ、逆に逃げ馬は恩恵を受けづらくなっていると見たほうが良いだろう。


斤量が重いほうが有利?

北九州記念・古牡馬に換算した斤量別成績(過去10年),ⒸSPAIA


次に過去10年の斤量別成績を見ていく。北九州記念では3歳馬や牝馬も多く出走しており、3歳牝馬の52kgと古馬牡馬の52kgではあまりに意味が違うため、馬齢・性別を考慮したもので調べた。すなわち3歳馬は+3kg、牝馬は+2kgの調整をしたもので集計している(例:3歳牝馬の52kgは57kg、3歳牡馬の52kgは55kg、古馬牝馬の52kgは54kg)。

過去10年で換算58.5kg【0-1-0-0】、58kg【0-1-0-3】、57.5kg【0-0-2-4】、57kg【3-2-1-17】、56.5kg【0-0-0-2】、56kg【1-0-3-28】、55kg【4-4-2-37】、54kg以下【2-2-2-47】となっており、勝率13.0%、連対率21.7%、複勝率26.1%の換算57kg勢がアベレージ的には優勢。今年の該当馬は3歳牝馬で52キロのシゲルピンクルビーだけだ。

また、重斤量の馬は頭数こそ少ないがコンスタントに結果を出しており、特に近5年に限定すると換算57kg以上の馬が【2-4-1-8】と好成績だ。逆に低斤量馬は好走馬の数自体は多いが5年以上前の例が多く、近5年では換算55kg以下【2-1-1-38】とイマイチ。近年の傾向から考えると斤量が重い馬の方が優勢とみる。


北九州記念斤量別成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

ついに復活ジャンダルム

以上を踏まえて本命はジャンダルムとする。初の1200m戦だった春雷Sの内容がとにかく優秀。トップハンデの57kgを背負っていたが、4番手から直線であっさりと抜け出し2馬身半差の完勝だった。1200m戦で2馬身半差はなかなかつく差ではなく、今年の古馬オープンクラス芝1200m戦での最大着差だ。母がビリーヴということもあり1200mへの短縮がプラスに出たのだろう。今回は57.5kgの斤量を背負うことになるが、前項で述べた通り重い斤量もデータ上は問題なく、前走の勝ち方を見ればモズスーパーフレアの56.5kgやレッドアンシェルの58kgに比べ、むしろ恵まれているとも言えそうだ。中団前目の追走から差し切り勝ちに期待したい。

対抗はシゲルピンクルビー。斤量の面で述べた通り3歳牝馬52kgは換算して57kg。相性の良い斤量だ。前走の函館SSは前が完全に詰まり追えなかったのが響いた。2度目の1200m戦となり追走が楽になるのもプラスだろう。前走以外の負けた2戦はどちらもマイルGⅠで距離も相手も厳しかったが、それ以外ではまだ底を見せていない。人気が落ちそうなので狙ってみたい。

3番手はモズスーパーフレア。昨年の2着馬で言わずと知れた快速牝馬。繰り上がりだがGⅠ勝利もあるように、このメンバーの中では間違いなく地力上位だ。ただ、自分の形にはまらなければ大敗するタイプで信頼できる馬ではなく、昨年の好走があるとはいえ牝馬で56.5kgの斤量は重い。さらに冒頭で述べた通り簡単に逃げ切れるような馬場でもなさそう。地力上位なので勝たれてもいいよう買い目には当然入れるが、軸には向かないとみて3番手評価にとどめたい。

4番手はアウィルアウェイ。前走は開幕週で前が残りやすい馬場だったうえに、トップハンデを背負わされた中で追い込んで3着を確保。前走時は正直軽視しており馬券圏内に入ってきたのには驚いたが、能力があることを示した一戦だった。また、昨年のスプリンターズSのようにペースが速くなれば鋭い脚で追い込んでくるので、モズスーパーフレアがいる今回は展開も向きそう。予想に反してスローペースになればノーチャンスだが、ハイペースなら十分馬券に絡んでくる。

5番手にファストフォース。現在の小倉の馬場で逃げ脚質はあまりプラスには働かないが、前走同舞台で勝ち切ったのはアドバンテージだ。その前走も馬場の恩恵を受けた好走だとみているが、中央再転入後は底を見せていない。というのも負けた2戦は馬体重が530kg以上もあり、明らかに太かった。52kg㎏以下の締まった馬体で今回も出てくれば十分やれていい。

穴馬にアスコルターレ。近走は大敗続きでいいところなしだが、全て敗因がしっかりしている。3走前は完全な前残り&大幅馬体減、2走前は中京で大外を回して間に合わず、前走は珍しく前につけたがそれに戸惑って伸びきれず。4走前では最後方から突き抜けたように、後方で脚を溜めたほうが良さが出るタイプのようだ。確実に人気が落ちているはずなので穴候補として期待したい。

レッドアンシェルは昨年の勝ち馬だが、58kgは流石に重い。あまり得意でない休み明けでもあり、今回は見送りたい。

買い目は、4倍以上つくならば◎ジャンダルムの単勝で厚く勝負したい。あとはオッズ次第で馬連◎-◯▲△×☆も買っておきたい。(文:川崎)

▽北九州記念予想印▽
◎ジャンダルム
◯シゲルピンクルビー
▲モズスーパーフレア
△アウィルアウェイ
×ファストフォース
☆アスコルターレ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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